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ニコラス・ケイジが語る“ヒーローを演じる”理由

2009年7月09日 11:30

眉間のシワがトレードマーク(?)のニコラス・ケイジ | photo by EMMY PARK

ニコラス・ケイジは、いつもシリアスで困った顔をしている印象があるけれど、それは彼が好んで選んでいる役柄のせいだと思っていた。でも、どうやらそれだけではないようだ。

ニコラス主演のディザスター・ムービー『ノウイング』が7月10日(金)に公開されるにあたり、ハードなスケジュールの合間をぬってインタビューに応じてくれた。

取材当日は、風邪をひいてちょっとお疲れ気味だったニコラス。それでも、「すみません、一本だけ電話させてください」と丁寧に断りをいれ、鼻をかみ終えると「お待たせしました」と挨拶を忘れない。本当に礼儀正しい人なのだ。その人柄が、シリアスな役選びと演技にも通じている。

本作の主人公は、男手ひとつで息子を育てている宇宙物理学の教授ジョン。今回の役柄もまじめで実直な人物だ。この役を演じたいと思った理由を聞いてみた。「『ノウイング』には、アートとしての素晴らしさと人間ドラマにリアリティがあって、観客とのつながりを感じられる作品だと感じたから。丁度アクション映画が続いた後で、タイミングもベストだった。それとこの作品の核になるのが、父親と子供の関係だというところ。今まで、母子家庭はあるのに父子家庭を描いた作品がないのが不思議だったんだ。親子関係で苦しんでいる父親は、世の中にたくさんいるからね」とのお言葉。彼自身も父子家庭経験者だから、妙に説得力がある。

中でも、息子とのクライマックス・シーンで見せるニコラスの演技は格別だ。「長男が小学生だったときのことを思い出していたんだ。それに、子供のいる親や、子供を失った親のことも考えた。そうしたら自然に涙が出てきたんだよ。僕たちが生きている間に地球が滅亡するとは思わないけれど、将来はわからないよ。僕にとって、家族が一番大切だから」と話すだけで、ニコラスの目がうるんでいたのは、気のせいだろうか。

“家族命!”がニコラスと主人公ジョンとの共通点だとすると、相違点は、ニコラスが「起こったこと、起こりうることにはすべて意味があると思っている」ところ。それなら、「『ワールド・トレード・センター』(06)でも、“ジョン”という人物を演じたのも意味がある?」と、答えに窮しそうな意地悪な質問をしてみたが、「それもただの偶然ではないと思う。ジョンっていうのは、正義感があってとても強い、現実的な人物の名前だからね」と即答されてビックリ! 彼の人生の辞書に、“なりゆき”という言葉はないらしい。

「では、あなたが役者であることも?」と尋ねてみると、「自分が役者でいることにも、なにか意味があるのだと信じたい。最近ヒーローを演じることが多いのは、お客さんが、僕の映画を見て少しでも元気になってくれたらって思うから。人生には辛いことも多いから、今は、何かを破壊する悪役よりも、人をポジティブにできるものをやりたいんだ」というニコラス。彼は観客の目線に立ってエールを送り続けている。

最後に、この物語のキーとなるタイムカプセルについて聞いてみた。「タイムカプセルに何かを入れるとしたら、ベートーベンとかバッハの音楽、ワーグナーのオペラなどの優れた芸術作品を入れたい」とあくまで謙虚だが、インタビューを通じて感じたことは、ニコラスが、役者という使命感に燃えて毎日を懸命に生きているということ。さらに、今だけではなく、後世のことまで考えているのだから、ずっとシリアスなのは当然のことだろう。

そんな彼も、声の出演を務める次回作『ATOM』(09)に話が及ぶと、「秋には、東京国際映画祭で日本に行くから楽しみにしていて」と顔をほころばせた。【取材・文/JUNKO】

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