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阿部寛、50代に突入してさらに攻めの姿勢「諦めない力が次につながる」

2016年3月11日 10:27

阿部寛の「諦めない力」に迫る!

世界最高峰の山・エヴェレストを舞台に、男たちの熱き魂のぶつかり合いを描く『エヴェレスト 神々の山嶺』(3月12日公開)。山に魅了された男を渾身の演技で体現した阿部寛は、本作で感じ取ったものを「諦めない力」だと語る。“奮起する男”が似合う役者・阿部寛に、今の仕事への挑み方を聞いた。

夢枕獏のベストセラー小説を実写映画化した本作。スタッフ、キャストが邦画初となる標高5200m級でのエヴェレストでの撮影に命懸けで挑んだ。阿部は過酷ロケが前提となる本作へのオファーを、ワクワクとした気持ちで受け取ったそう。「エヴェレストに行けるということ。実際にそこで演じられるというのは、一番うれしいですよね。大舞台で、自然を相手に芝居ができるというのは最高の環境。それは楽しみでしたね」

実際にエヴェレストに登り、「5000メートル級の場所では夜、酸素が薄くなると頭が痛くなった」そうで、さらには「20日間以上、風呂ナシの生活」ともちろんロケは過酷を極めた。しかし「カトマンズに戻ってお風呂に入ったときは、『風呂っていいな』と思った(笑)。でも、便利に慣れちゃっているだけだから、便利じゃないところに行けば、やっぱりそれに慣れるもんですよ」と男らしく言ってのける。

また、「5000メートルの場所に行くまでは、山に順応しながら登っていかなければならないので、2週間かけて登っていったんです。普通の撮影では『行ったら即、仕事』という現場が多いので、これだけの期間をみんなと一緒に行動できたというのは、すごく貴重な経験になりました」と危険な場所の撮影だけに、絆も固く結ばれた。

そんな中、共演者の岡田准一の頼もしさも目にしたといい、「僕より15歳くらい年下だけれど、今を背負って立っている人。彼は真面目だし、そういう人にはなかなか出会えない。フレッシュだし、誠実なパワーがあって、一緒に仕事をしていてすごく気持ちがよかった。でも彼は体は屈強だけど、結構、寒さには弱いんだよね」と、楽しそうに振り返る。

阿部演じる天才クライマーの羽生は、情熱の塊のような男だ。羽生を演じて強く心に残ったのは「何としても生きようと思った彼の精神力」だという。「手で歩いてでも、歯で歩いてでも、目で歩いてでも進むという気持ち。それって映画の中のことだけではなく、人間ってそういう気持ちで強く生きていけるものなんじゃないかと思った。人生の中で窮地に追いやられたとき、諦めたらそこで終わり。諦めないからこそ、次に続いて行くんだと思った」

力強い言葉が溢れ出すが、役者業も「山に登る気持ちと似ているのかもしれない」と胸中を吐露。「ギャンブル性の高い仕事。でもその方が面白いし、窮地は絶対にあるけれど、そんなときこそ『これをどう乗り越えていくか』という気持ちになる。窮地って、考え方によってはチャンスなんだよね。楽だったときや、自分に自信があったときには絶対に見られなかったものが、見えてくるもの」

作品選びも攻めの姿勢のようで、「守りみたいなことはやりたくない。これくらいの年齢になってくると、格のある作品をやろうとか、危なくない橋を渡って行こうとか思いがちだけれど、俺は危ない橋でいいと思う。常に綱渡り状態にしておかないと自分は面白くないし」とニヤリ顔。50代に突入した今もチャレンジ精神旺盛だ。

そのパワーの源には、蜷川幸雄やつかこうへいと共にした経験があるようで、「蜷川さんやつかさんの場所に行くと、厳しいからこそ心地よかったりするんだよね。そういう経験を終えた後に、色々なものが客観視できるようになった。逃げていたら、今のように仕事や社会を見ることはできなかったと思う。あえて厳しいところに自分を置いてみると、そこから始まることがたくさんあると思う」と厳しい環境や窮地と思えるときこそ、自身を育ててくれたと話す。

阿部寛に“奮起する男”が似合うのは、彼自身が諦めずに役者道を登り続けてきたからだ。全身から情熱をギラギラとみなぎらせた羽生役は、阿部だからこそ説得力を持つ役となりえた。ぜひ大スクリーンで、エヴェレストの雄大さと「諦めない力」を感じてほしい。【取材・文/成田おり枝】

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