• INTERVIEW

ケイトやニコールをオスカーに導いた名匠の演出テクとは

2009年6月19日 19:50

映画では日本初来日となったスティーブン・ダルドリー監督

『愛を読む人』(6月19日公開)で、ケイト・ウィンスレットを見事アカデミー賞主演女優賞に導いたスティーブン・ダルドリー監督。本作は、『リトル・ダンサー』(00)や『めぐりあう時間たち』(02)に続く長編監督3作目に当たるが、いずれの作品も各国の映画賞を多数受賞していて、ダルドリー監督はすでに“名匠”の域に入る。

『めぐりあう時間たち』では、ニコール・キッドマンも主演女優賞でオスカー像を手にしているが、ダルドリー監督はどういうメガホンさばきで、俳優陣から最高の演技を引き出してきたのか。その秘訣が知りたくて、来日した監督に話を聞いてみた。

「自分は舞台出身だから、とにかくリハーサルが大好きなんだ。だからリハーサルで事細かくいろんなことを決めていく。本番の撮影に入るときは、だいたい準備万端な状態だよ」

なるほど、映画よりも、舞台の演出に近いということか。舞台の演出家としても名高いダルドリーは、折しも「リトル・ダンサー ザ・ミュージカル」で、第63回トニー賞の最多10冠に輝いたばかりだ。

ケイト・ウィンスレットは、今回の受賞の年を含めて6度もアカデミー賞にノミネートされた若き演技派女優だ。そんな彼女とも徹底的にリハーサルをしたそうだが、ときには意外性のある演出も施したと言う。

「ケイトも僕もお互いを驚かせることが好きでね。ときには、その日の予定になかったシーンをいきなりやってもらったりしたよ。僕たちはそれをとても楽しんだけど、もちろんスタッフは大慌てさ(笑)。たとえば、朗読のシーンなどがそうだ。デビッド(・クロス)の演技は予定どおりだったけど、ケイトは特に決まってないことがよくあった。お互いにサプライズを楽しみながら撮ったりもしてたね」。ふむふむ。こちらも“演出テク”のひとつですね。

『愛を読むひと』というタイトルにもなっているそのシーンとは、新進俳優デビッド・クロス扮する青年が、ケイト扮する21歳年上の恋人・ハンナに本を読み聞かせるというものだ。『リトル・ダンサー』の頃のジェイミー・ベル同様に、デビッドの演技の才も花開かせたダルドリー監督。特に、何度も登場するケイトとデビッドの官能的なベッドシーンからは、ふたりのほとばしる情熱が伝わってくる。

ここはもう少し、ベッドシーンについても聞いてみよう。「あのシーンは、撮影のいちばん最後の数日で、まとめて撮ったよ。ふたりが互いをよく知ってから撮りたかったから。リハーサルはまずケイトとふたりでやって、どういうことをしたいか、こと細かに決め込んだ。それで最後にデビッドに入ってもらった。当日は、彼にプレッシャーを与えないように、ものすごくスピーディに撮ったよ」

ケイトのような演技派女優と、デビッドのような新進俳優の演出の仕方はやはり違うわけだ。さらに監督は、俳優を演出するうえでのモットーについてこう語った。

「いちばん大切なことは、俳優を愛すべきだってこと。僕は舞台出身なので、舞台の経験のほうが豊富だけど、映画の場合も俳優さんとは非常に親しい関係をもつことが多い。俳優といっしょに時間を過ごすのがとても好きだし、そこに喜びを感じているんだ」

『愛を読むひと』をはじめ、『リトル・ダンサー』や『めぐりあう時間たち』など、すべてのダルドリー作品の根底にあるのは、俳優への愛だった。その大きな愛を受け止めた俳優陣が、スクリーンで生き生きとした表情を見せるのも納得がいく。

演出の秘訣、わかりましたよ、ダルドリー監督! あと……、舞台もいいですが、映画の方もぜひ精力的に撮っていってください!【MovieWalker/山崎伸子】


関連映画

関連映画ニュース