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【第53回NY映画祭】まさに神業!手に汗握る『ザ・ウォーク』がNYで上映

2015年10月01日 17:12

ローマ法王のニューヨーク訪問で、予定より1日遅い9月26日から開催されている第53回ニューヨーク映画祭で、オープニング作品に選ばれた3D映画『ザ・ウォーク』(日本16年1月23日公開)がワールドプレミア上映され、ロバート・ゼメキス監督、主演のジョセフ・ゴードン=レヴィット、シャルロット・ルボン、ベン・シュワルツ、ジェームズ・バッジ・デールが記者会見に応じた。

『ザ・ウォーク』のキャスト陣

同作は、世界同時多発テロで崩壊した、今は無きワールドトレードセンターが舞台。1974年、当時は世界一の高さを誇っていた高さ約411mのツインタワーの間(約43m)を、命綱なしにワイヤーロープを渡りきった、フランス人フィリップ・プティの人生をかけた挑戦を描いた作品だ。

本作は第28回東京国際映画祭でもオープニング作品として上映される事が決定している

同じ題材を扱ったジェームズ・マーシュ監督作『マン・オン・ワイヤー』(08)が既に公開されており、第81回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞しているが、プティが実際にワイヤーを渡る姿は再現できておらず、ここ数年にわたって3Dアニメーションを手掛けてきたゼメキス監督ならではの、スクリーンマジックを駆使したまったく違う作品に仕上がっている。

メガホンをとったロバート・ゼメキス監督 | [c]JUNKO

ゼメキス監督は、「私がこの作品に興味を持ったのは10年くらい前だった。たまたま、2003年に出版された児童書『The Man Who Walked Between the Towers(綱渡りの男)』(モーディカイ・ガースティン著)を読み、わずか8ページの絵本に引き込まれていった。そして無意識に、ワールドトレードセンター跡地を歩いている自分がいた。この本には、魅力的な映画を作るためのすべての要素が備わっていると感じた」と、振り返った。

『ザ・ウォーク』で主演を務めたジョセフ・ゴードン=レヴィット | [c]JUNKO

同作でプティを演じたジョセフのリアリティ溢れる演技は、「最初にこの役を演じるにあたって製作サイドから言われたことは、『実際にワイヤーの上を歩けなくても大丈夫です』ということだった(笑)。もちろん合成でどうにでもなると思ったけれど、どうしても自分でやってみたかったんだ。プティは初めて人にワイヤーの上を歩くことを教えたと言っていたが、彼も、僕が彼を演じるにあたって、実際にワイヤーの上を歩いて欲しいと言っていた。彼は、とにかく前向きで、不可能はないと考える人。『8日間の最後には、ワイヤーの上を一人で歩けるようになる』と言われたときは、かなり厳しいチャレンジだと思ったけれど、彼が僕を信じてくれたから、僕も自分を信じることができたんだ」

「『何かを成し遂げる時というのは、自分ができると信じられるようになった時だ』と言っていた彼の言葉は正しかった。8日間毎日、彼のもとでふたりきりで練習を重ねた結果、彼の言う通り、8日目には自分一人でワイヤーの上を歩けるようになった。撮影中、その後も自分で練習を続けたんだ。痛みも伴うけれど、楽しかった」そうで、まさに血のにじむような努力の賜物だったと言える。

実際の撮影では、練習の成果を生かし、「グリーンバックを背景に、ビルの上層部2階分の美しいタワーのセットを作ってくれて、ポールに固定した高さ約3.65メートルのワイヤーの上を歩いた」という。しかし、やはり緊張感あふれる作品に仕上がったのは、ゼメキス監督の手腕によるところも大きかったようで、「この映画を作るにあたって、今まで私がアニメーション映画で使った以外の全ての特殊効果を駆使しました。観客の皆さんが、いかにもCGだと感じることがないようにしたかったので、様々な技術を駆使しましたが、デジタル技術の力に頼ることが多かったのは事実です」と、ムービーマジックの醍醐味を明かしてくれた。

第53回ニューヨーク映画祭でオープニング上映された

今や超売れっ子となった実力派俳優のジョセフがゼメキス監督の目に留まるのは不思議ではないが、プティになりきるためにフランス語なまりの英語をマスターしたことについてゼメキス監督は、「彼のフランス語なまりの英語は、完璧だった」と絶賛し、フランス人のルボンも賛同。しかし自分に厳しいジョセフは、「撮影の際に居合わせた警察官などのフランス人は正直で、発音を直されたりもしたよ」と、笑いながら謙虚に称賛を受け止めていた。

一方で、『インセプション』(11)、『ダークナイト ライジング』(12)などの大作から、2016年公開のエドワード・スノーデンを描いた『Snowden』(16)などの低予算映画まで幅広く活躍している点について問われたジョセフは、「僕にとって大切なのは、低予算映画なのか超大作なのかということではなく、製作者とその周囲にいる人々の、動機や情熱だと思っている。インディーズ系の映画でも、創造性に欠ける、売名のためだけに製作されているようなものもあれば、大型スタジオの映画でも、嘘偽りのない志で製作されているものもある。大切なのは、組織とか予算ではなく、もっと個人的なところによるものが多い」と、ゼメキス監督を持ち上げた。【取材・文・NY在住/JUNKO】

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