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『岸辺の旅』深津絵里と浅野忠信、共通点多く意気投合

2015年9月29日 15:30

深津絵里と浅野忠信が、第68回カンヌ国際映画祭ある視点部門で日本人初の“監督賞”に輝いた黒沢清監督作『岸辺の旅』(10月1日公開)に出演。がっつりと共演したのは初めてだった2人だが、互いに似ていることを確信し、意気投合したようだ。深津絵里と浅野忠信にインタビューし、役者としてのいまについて話を聞いた。

『岸辺の旅』の深津絵里と浅野忠信にインタビュー | 写真/加藤アラタ

『岸辺の旅』の原作は湯本香樹実の同名小説。深津演じるヒロイン瑞希が、3年間失踪した後、突然帰宅した夫・優介(浅野忠信)と再会し、共に旅をしていく。でも、どうやら夫はこの世の人ではないらしい。

黒沢監督とは、『アカルイミライ』(03)以来、久しぶりにタッグを組んだ浅野。「役者を始めた頃、何もわかってなくて、自分の経験したことや、周りのいろんな人に当てはめて演じることに一生懸命でした。でも、ある時期から、自分が想像もつかないような役をやってみたいと思い始め、やっていったんです。ところが最近また、やっぱり自分を軸にしないと役作りはできないんだなと気づいてきて。そんなさなかに、このお話をいただいたので、自分に当てはめたり、周りの友だちが経験したようなことを想像したりして演じました」。

深津は、本作に出演した理由をこう述べた。「原作の設定自体がとても面白かったですし、黒沢監督と浅野さんと一緒に作品に取り組めるというのが大きな魅力でした。難しい特殊な設定でしたが、原作から理解できることがたくさんあったので。原作でも、死んだだんなさんと旅をすることについて、あまり違和感を感じませんでした」。

深津は浅野と、同世代で感覚も近いから、最初から構えずに共演できたと言う。「以前から、自分と似たタイプの俳優さんだなと感じていたんです。役の捉え方や距離感、入り込みすぎず、でもきちんと温度があるというか。自分で言うのも恥ずかしいのですが(苦笑)。あと、趣味は何ですか?と言われても『ないかなあ』という答えまでいっしょだったのでびっくりしました。だから、お芝居をしたらすごく楽しいだろうなと思っていました」。

浅野も大きくうなずく。「僕は、俳優さんに対してすごく仲間意識を感じるのですが、それが同世代の方だと、さらに強くなるし、心の支えになるんです。良い意味ではライバルでもありますし。今回これだけ強烈な時間を過ごさせてもらったことで、その後、共演しなくても、常にいっしょに頑張っているという気持ちでいられるかなと。そういう強い絆を、作品を通じて作らせてもらったような気がします」。

劇中で、蒼井優演じる優介の不倫相手が、瑞希に発する言葉の一突きが強烈だ。深津と蒼井は、互いの舞台を見に行ったりしていたそうだが、意外にも初共演となり、深津は楽しみにしていたそうだ。「緊迫しなきゃいけない関係だったので、なるべくよけいな話はしないようにずっと我慢していました。あのシーンは、唯一、現実的なシーンで、感情を露わにするシーンでしたし。蒼井さんがリアルな声のトーンで、すごく現実味を与えてくださったので、やりとりがとても楽しかったですね。監督も楽しそうにニコニコしながら撮っていました」。

完成した映画で、自分が演じた優介のことで、女同士が火花を散らすシーンを観た浅野は「嫌ですよね。ああいうのは」と苦笑い。「僕は特別な思いで観ていたと思うんです。わー、この2人がこんなことしていたんだと思いながら。一観客として観れば良いのに、気まずくて。ただ、最後にみっちゃん(深津絵里)がやられるのを見て、やっぱり彼女が奥さんで良かったなと思いました。みっちゃん、頑張れ!と強く思いましたね。みっちゃんからすれば、ふざけんなという感じでしょうけど」。

終始リラックスした自然体のやりとりから、お互いへの信頼関係が垣間見れた深津絵里と浅野忠信。2人がつむいだ切なく美しい夫婦愛をじっくりと味わってほしい。【取材・文/山崎伸子】

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