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江口洋介、本木雅弘と初共演後に驚いた現場とのギャップ

2015年9月10日 9:00

『天空の蜂』で主演を務めた江口洋介

原発テロという、いまや絵空事ではなくなった脅威を描いた『天空の蜂』が9月12日(土)より公開される。主演の江口が、いかに本作に向き合ったのか?また、満を持しての初共演となった本木雅弘から、どんな刺激を受けたのか?江口にインタビューし、熱い胸の内を語ってもらった。

『天空の蜂』で描かれるのは、最新鋭で日本最大のヘリコプターを乗っ取り、原子力発電所の真上に静止させるという原発テロで、その危機に立ち向かう人々の攻防がサスペンスフルに描かれる。江口は、ヘリコプターの設計士・湯原役を、本木が原発の設計士・三島役を演じた。

原作は1995年に東野圭吾が発表した同名小説で、江口は脚本よりも先に読んだと言う。「あの原作のリサーチ力、洞察力、時代の嗅覚はすごいです。これだけの事件に“天空の蜂”とタイトルをつける文学的なセンスも格好良いなと思いました」と賛辞を惜しまない。

でも、内容が内容だけに、オファーを受ける際には、江口の頭の中で、いろんな思いが頭を駆け巡った。「3.11を経験した僕たち日本国民には、ぐさぐさと刺さる内容でした。映画化すればすごい作品になるだろうけど、映画としては社会性が強すぎる気もして。でも、やるなら堤監督から、エンターテインメントとして、人を楽しませながら伝えていくものにしたいという意識を伺いました。だからこれはやらせていただこうと」。

自身が演じた主人公・湯原がヒーローではなく、等身大の普通の男だったという点に共感を覚えたという江口。「8時間のなかで、1人の設計士が日本を救う。設計士だけど、奥さんには怒られるわ、子どもとはうまくいってないわと、大ピンチの男がさらにとんでもないピンチに陥って、ものすごい行動に出るんです」。

今回、本木雅弘については「ジェネレーションも近いですし、役の選び方、つかみ方みたいなものは、ずっと作品を通して見ていました。今回、本木くんの名前が上がったので、これは絶対上手くいくという感覚が直感的にありましたね」と語る。

そして、いざ現場に入ってみると、本木のストイックさに舌を巻いた。「とにかく緻密な役作りをしてきました。現場では、台本とプロデューサーを永遠に離さず、自問自答しながら役を作っていた感じがしましたね。僕もけっこう作り込む方なんですが、シンプルな台本を、どこまで深読みするんだろうと感心しました」。

江口と本木の演技対決は、湯原と三島の対峙する構図に反映されている。「あの熱量は、本木くんとやって初めて生まれるものだったし、映画を引っ張っていく1つの演技合戦として、結果論としては面白くなったと思います。でも、現場は本当に大変でした」。

ところが、映画が完成し、プロモーションが始まると、本木の自分に対する接し方が180度変わったことに戸惑ったと言う。「豹変したように変わりました。同じ人とは思えない」と笑う江口。舞台挨拶では、江口をいじるという、お約束のようなやりとりが笑いを呼んできた。

「ぜんぜん違うんです。現場ではあんな冗談とか、一切言わなかったし。本木くん自身も、重要な社会的要素がある役柄だったので、シリアスに受け止めてやっていましたから。だからこそ、いま、思わず笑ってしまうんです。もちろん、それは信頼関係ができたということでもあると思います」。

江口洋介、本木雅弘という二代スターを迎えた『天空の蜂』。江口は“ジェットコースターのような映画”と表現したが、まさにそのとおりで、走り出したら逃げる場所はどこにもない。2015年、いまだから成し得た社会派エンターテイメント作品なので、腹をすえて観てほしい。【取材・文/山崎伸子】

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