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オスカー有力候補!『Foxcatcher』製作理由を監督がNY映画祭で明かす

2014年10月14日 18:13

シュルツ兄弟の弟マークを演じたチャニング・テイタム | [c]JUNKO

第52回ニューヨーク映画祭で、カンヌ国際映画祭監督賞を受賞した話題作『Foxcatcher(原題)』が上映され、ベネット・ミラー監督、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、チャニング・テイタム、スティーヴ・カレル、マーク・ラファロ、シエナ・ミラー、アンソニー・マイケル・ホールが記者会見に応じた。

アメリカで第2位を誇る大手化学会社デュポン一族は、メロン財閥、ロックフェラー財閥と並ぶアメリカの三大財閥と呼ばれている。同作は、その子息で跡取りであった富豪の故ジョン・E・デュポンが、米国レスリングチーム“Foxcatcher”を立ち上げ、オリンピックメダリストの育成に力を注ぐ過程で、選手のデイブ&マーク・シュルツ兄弟との間に生まれた確執と悲劇を描いた実話に基づくストーリーだ。

同作でメガホンをとるのは、実話を撮らせたら右に出る者はいないといわれているべネット・ミラー監督で、『カポーティ』(05)、『マネーボール』(11)に続いて3作目の実話映画化となる。

「いろんな角度から描けるような出来事を調べるのが好きなんだ。実話をエンタテインメントのように扱っているテレビ番組を見ると、不満足感と欠乏感が生まれる。閃光のようにぱっと物語を見せて、『これは、こういうことです』って結論付けて、次の事件に進むという感じだから。情報が氾濫している世界で、これだと感じられるものがあったらじっくり腰を据えて、徹底的に掘り下げたいんだ。この作品を撮りたいと思ったのは、面白かったから。アメリカ屈指の資産家がレスリングチームを自分の敷地でトレーニングさせ、自分がやったこともないレスリングを指導するなんて、なんとも面白いと思った。もちろん結末以外はね」とベネット監督がとりわけ同作に惹かれた理由について語ってくれた。

実在の人物について描くとき、ましてや由緒あるデュポン家のような場合には、真実を描くこととその一族への配慮という葛藤が生じることがある。しかし、「この映画を製作するにあたっては、色んな人が手助けをしてくれたが、中でも実際にジョン・E・デュポンやデイブ・シュルツにインタビューした人物からの情報がとても役に立った。彼がすべての情報を提供してくれたんだ。ほとんどの人たちが情報を快く提供してくれたし、デュポン家にもとても寛容な人たちがいた。僕たちも節度を持って製作したつもりだし、実際にこの製作を阻止しようとする動きもなかった」という。

ジョン・E・デュポンを演じているスティーヴ・カレルは、5月にカンヌ国際映画祭で同作が公開されて以来、オスカー主演男優賞の有力候補の1人といわれているが、もともと凄くやりたかった作品ではなかったという。「97年に起きた事件は知っているけれど、それ以後は自分の記憶の中で消え失せていた。だから自分でロビー活動をしたわけではないんだ。でも脚本が送られてきて、ベネット監督と出会って色々な話をしているうちに、とても興味深いと思った。明らかに、これはものすごいチャンスだとも思った。ベネット監督の作品に出られるということが、この役に大きく引き寄せられた理由だよ」と語った。その変貌ぶりから『40歳の童貞男』(05)のコメディ俳優スティーヴ・カレルの面影は見当たらない。

「メイクアップデザイナーのビルと僕で、どんな風貌にするのが一番いいのかを決めるのに、数か月かけてカメラテストをしたんだ。ジョン・E・デュポンの容姿は、彼の周囲の人たちに大きな影響を与え、それ故に彼を特別視したのではないかと考えずにはいられなかった。だから、できるだけ彼の風貌を真似しようと思ったんだ。彼の映像を見て、彼の振る舞いを研究し、彼の顔を真似ることは彼の一部に過ぎないと思っていたし、あまり深く考えていなかったんだけれど、実際にメイクをして撮影現場に現れたら、皆の扱いが違ったんだ。僕だけ孤立状態だったから、今日みたいなプロモーションで初めて共演者を知ることができて、とっても楽しいよ(笑)。ピッツバーグでの撮影中は、今の雰囲気とはまったく違った。そういった皆の僕への対応が、僕を役にのめり込ませてくれたんだと思う」と語り、いつものスティーヴ・カレルらしく周囲を笑わせた。【取材・文/NY在住JUNKO】

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