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【NY映画祭レポート前編】今年もオスカー参戦間違いなし!ポール・トーマス・アンダーソン監督最新作お披露目でメディアも歓喜

2014年10月09日 19:05

終始なごやかなムードの中、質問に答えるアンダーソン監督 | [c]JUNKO

現在開催中の第52回ニューヨーク映画祭に、09年に出版されたトマス・ピンチョンによる探偵小説「LAヴァイス」の映画版『Inherent Vice(原題)』をひっさげ、ポール・トーマス・アンダーソン監督、ホアキン・フェニックス、キャサリン・ウォーターストーン、ベニチオ・デル・トロ、マーヤ・ルドルフ、本作でナレーションを務めるジョアンナ・ニューサム、マイケル・K・ウィリアムズ、ホン・チャウ、ジェナ・マローン、オーウェン・ウィルソン、サーシャ・ピーターズ、マーティン・ショートの総勢12人が登壇。

8月に撮影を終え、ぎりぎりまで再編集を重ねた最終版のお披露目とあって、暴風雨の中、3時間半以上前からマスコミが長蛇の列を作る熱狂ぶり。キャパ270人の劇場になんと400人以上のジャーナリストが殺到し、急遽別の映画館で試写が行われたものの、ジャーナリストが記者会見を見逃すという前代未聞の事態になり、改めてその期待度と注目度の高さをうかがわせた。

同作は、70年のロサンゼルスが舞台。主演ホアキンが扮するのは、ラリー・“ドック”・スポーテッロというマリファナを常用している私立探偵だ。ある日突然、昔の恋人シャスタがドックを訪ね、愛人関係にある不動産開発の大物ミッキーの救出を依頼する。渋々調査を始めたドックだが、裏にひそむ様々な陰謀に巻き込まれていくというストーリーだ。

多数の登場人物と入り組んだプロットで展開され、映画を見慣れたジャーナリストでさえもストーリー展開を追うのは難しい。しかし、私立探偵が主役のレイモンド・チャンドラー著作「大いなる眠り」をハワード・ホークス監督が映画化したサスペンスで、プロットが込み合っていることで知られる『三つ数えろ』(46)にインスパイアされたというアンダーソン監督は、迷路のように入り組んだ自身の作品についても、「映画を作った僕ですら何がどうなっているか理解できなかった(笑)。だけど、そんなことは関係なかった。とにかく前に進んでいくしかないという、いい例だと思ったんだ」と語り、ストーリー展開や関連性について、観客が理解することを前提としていないようだ。

原作本の映画化は、往々にしてオリジナルと異なる場合が多いが、ユーモアとチープなジョークを交えながら、緻密なプロットで素早く展開していく同作については、「とにかくとてもよくできている原作だから、その素晴らしさをできるだけ生かせるように忠実に脚本を書いたつもりだ」とアンダーソン監督。原作本を読んだか、との問いには、キャスト11人中ベニチオを含む4人しか手を挙げず、後からホアキンが監督と顔を見合わせて苦笑いしながら手を挙げる場面もあり、会場は笑いの渦に包まれた。

『Inherent Vice』でも脚本を手掛けているアンダーソン監督は、完璧なビジュアルとセリフのヴィジョンを持ち合わせており、役者の意見を受け入れないことや、何テイクでも取り直すことで定評がある。ホアキン扮するドックのひげもじゃカーリーヘアをはじめ、70年代のロサンゼルスのファッションやセリフが実に見事に再現されているが、多数いるキャストの中から話を振られたのは、失踪したワケありサックス奏者のコイを演じたオーウェンだ。「最初にまず、監督といろんな話をしたんだ。ポールは僕の意見なんか聞いてくれないんだけど(笑)、どうしても着たいシャツがあった。70年代っぽいかといわれるとそうではないかもしれないけれどね。ポールは、ビーチボーイズのデニス・ウィルソンが着ていた白いオーバーオールにインスパイアされていたので、結局僕はオーバーオールを履く羽目になった。それから、70年代から80年代にかけてオンエアされた人気テレビシリーズ『The Muppet Show』(パペットキャラクターが登場するバラエティ番組)のDr. Teeth and the Electric Mayhemのサックス奏者・ズート(青いカーリーヘア)のサングラスと帽子も僕のファッションのオリジナルなんだ」と説明すると、「コイのファッションが、ズートから来ているっているのはなかなかいい答えだね」とアンダーソン監督が笑いながら答え、なんともアットホームな雰囲気が漂っていた。【取材・文/NY在住JUNKO】

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[c]JUNKO| 写真:SPLASH/アフロ| [c]JUNKO