『LIFE!』のベン・スティラーにとって人生を変えたアドベンチャーとは? |最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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インタビュー 2014/3/21 11:10

『LIFE!』のベン・スティラーにとって人生を変えたアドベンチャーとは?

『ナイト ミュージアム』シリーズで日本でも人気を誇るベン・スティラーが、主演&監督最新作『LIFE!』(公開中)のキャンペーンで来日。言わずと知れた抜群のコメディセンスの持ち主であるベンだが、本作では深みのある人間ドラマで等身大の男に扮し、人々の心の琴線を振るわせる。来日したベンにインタビューし、撮影裏話を聞いた。

出版社に勤める平凡な男ウォルター・ミティ(ベン・スティラー)が、廃刊予定の雑誌の表紙を撮ったカメラマンを探すため、壮大な冒険に繰り出す。現実と空想が入り交じる世界観を大胆なアプローチで描いている。

物語に奥行きとリアリティーを出すために、なるべくCGに頼らず、ロケ撮影を敢行したというベン。「アイスランドで撮影してとても良かったと思う。実際にその場所へ行って撮影すると、観客にも臨場感を感じてもらえると思ったから。海に飛び込むシーンも、僕が実際にトライしたんだ。わざと9月後半の波が高い時期を狙って現地入りした。飛び込むのは怖かったし、実際に寒かったから、その時のウォルターになり切れて、演じる上では楽だったよ」。

ウォルターが会いに行く、冒険家でもある著名カメラマン、ショーン・オコンネル役にショーン・ペンが扮している。彼とのシーンは劇中のハイライトの1つだ。「ショーン・ペン自身も監督をするし、しかもこれまでに映像作家として、かなりアドベンチャー的な映画を撮ってきた。そういう意味では適役だったし、素晴らしい演技をしてくれたと思う。また、撮影が終わった後、気がついたら自分から機材を持って下山し始めたんだ。彼は、キャストやスタッフといっしょになって働いてくれたよ。その姿を見たら、僕もそんなふうに何か手伝わないといけないなと思ったね」。

本作のウォルター役には、どういう思いを込めたのか?「若い時はとにかく仕事で認められたい、人に評価されたいと、一生懸命に頑張る。でも、ある年齢に達すると、そうじゃなくなり、同じ仕事でも自分のためにやるようになるんだ。自分のためにこつこつ仕事をするのが大事なんだと、目的意識が変わっていく。それが大人になるということなんだ」。

さらにウォルターの誠実な仕事ぶりが、ショーン・オコンネルから高く評価されるシーンも、胸が熱くなる。「1つ言えることは、普通、人って、その人が100%もっている面の全てにスポットが当たるわけじゃない。この映画のポイントとなったのは、100人いたら100人全ての人が気づかなくても、たったひとり、その人の素晴らしさに気づいてくれたのなら、それで十分だという点だ」。そう、だからこそ、最後に用意されたサプライズが、見るものの心を鷲づかみにする。

では、ウォルターのように、ベンにも人生観を変えるようなアドベンチャーをやった経験があるのかどうかも聞いてみた。ベンは「人生そのものがアドベンチャーだよ」と微笑む。「僕はいろんなチャンスに賭けたり、今まで行ったことのないところへ旅に出るのも大好きだ。たとえばアフリカへ出掛けたり、大地震の後のハイチにも行ったりした。そういうところへ行くと、自分がいかに、幸せな立場にいるのかがわかり、人生の視点が変わったりする。今、振り返ってみると、そういったことがアドベンチャーだったのかなと思う」。

ベン・スティラーは、俳優としても監督としても、順風満帆にキャリアを積んできたが、今後、彼はどういうことを目指したいたいのか、その理想像についても尋ねてみた。「これまでずっとなりたいと思ってきてなれないのがより良い人間だね。もっと自分を向上させたいと常に思っているけど、言わばそう思うこと自体が人生そのものなのかもしれない。それが、人間として成長していく過程でもある。願わくば、10年前の自分よりも今の自分が少しは良い人間になってくれていればなと。また、10年後の自分もさらに良い人になっていてほしい。年を経るに連れて、今生きている瞬間を大切にすることがとても大切だと感じてくるよ。子供たちを見ていてもそう思う。時はすぐに過ぎ去るけど、その時間を大切にしてゆきたいね」。

おちゃめでコミカルな役の印象が強いベン・スティラーだが、その素顔はとても柔和な人柄のジェントルマンだった。本作の力強いメッセージは、ベンがすべての人に贈るエールのようだ。『LIFE!』は、多くの人が新しい門出を迎える春だからこそ、見ておきたい一作である。【取材・文/山崎伸子】

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