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格闘技のような白熱の攻防に興奮!『フロスト×ニクソン』―No.4 大人の上質シネマ

2009年3月27日 2:00

火花散る白熱インタビューはまさに決闘 | [c]2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

ジョージ・W・ブッシュの登場以前、不人気大統領といえば、必ずその名があがったのがリチャード・ニクソン。映画『フロスト×ニクソン』の題名に彼の名前が入っているのを見て、政治的な事件を扱った作品だろうと想像する人がいても不思議ではない。

だが、『フロスト×ニクソン』の面白さの本質は、実はそこにはない。これは、対照的な性格の2人の男による言葉と言葉の“決闘”を描くスリリングなエンタテインメントなのだ。

本作は、テレビ司会者のフロストが元大統領ニクソンに対して行った、1977年のテレビ・インタビューを基に作られた実録ドラマだ。実はこの映画のほとんどは、この2人の男が狭い室内で向かい合って会話を交わすだけの映画である。それにも関わらず、どんなスペクタクル映画よりもエキサイティングな気分を呼び起こす。

そして同時に、2人の男――マスコミの世界での栄光を望むフロスト、ウォーターゲート事件の汚名ゆえ政界の表舞台から去ったが密かに復帰をもくろむ元大統領――の陰影に富んだ内面を、ゾッとするほど見せ切ってしまう、実に濃厚なヒューマン・ドラマでもあるのだ。

フロストのねらいはひとつ。自らの過ちを公に認めないまま大統領を辞任したニクソンから、汚職に関する謝罪の言葉を引き出すこと。しかし、海千山千の政治家がうごめく世界で揉まれて来たニクソンにとって、コメディアン出身でジャーナリストとしては経験の浅いフロストは、たやすい相手。どのようにでも追究をかわせると踏んでいる。

まるでモンスターのようなチャンピオンに挑む、勝ち目のない挑戦者――という図式だったはずが、ラウンドごとに優勢と劣勢が目まぐるしく入れ替わる、格闘技の試合のような展開となり、思わず手に汗握ってしまうような興奮がある。

中でも圧倒的な存在感を放つのは、ニクソン役のベテラン俳優、フランク・ランジェラだ。人間嫌い、傲慢な自信家、愚かな敗北者というマイナスのイメージが強いニクソン像が、ランジェラの手にかかると圧倒的な魅力を放つ人物に生まれ変わる。フロストの執拗な追及に、一瞬見せてしまう呆然とした表情の凄みには誰もがゾクリとさせられるだろう。

知的なスリルと人間を見つめる面白さが詰まった、まさに大人が楽しむための、上質の娯楽作。このエキサイティングな気分は、ぜひスクリーンで体感してもらいたい!【ワークス・エム・ブロス】

■3月28日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

【大人の上質シネマ】大人な2人が一緒に映画を観に行くことを前提に、見ごたえのある作品を厳選して紹介します。若い子がワーキャー観る映画はちょっと置いておいて、分別のある大人ならではの映画的愉しみを追求。メジャー系話題作のみならず、埋もれがちな傑作・秀作を取り上げますのでお楽しみに。

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