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『ゼロ・グラビティ』の監督「サンドラとジョージのキスシーンがなくて良かった」

2013年12月12日 11:00

『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロン監督を直撃

アカデミー賞最有力と呼び声の高い『ゼロ・グラビティ』(12月13日公開)のアルフォンソ・キュアロン監督が来日。『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)、『トゥモロー・ワールド』(06)など、ファンタジーやSFの話題作を手掛けてきた監督は、以前から宇宙探査に興味があったということで、息子ホナス・キュアロンと共に脚本を執筆。撮影にあたり、大掛かりな装置まで開発し、驚嘆の3D映像で見事な宇宙遊泳シーンを再現した。キュアロン監督にインタビューし、気になる撮影秘話について聞いた。

主人公は、スペースシャトルに初めて乗船した医療技師のライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)。彼女は船外活動中に事故に見舞われ、ベテラン飛行士(ジョージ・クルーニー)と共に宇宙に放り出される。その後の息をもつかせぬサバイバルドラマと、壮大な映像美が圧巻だ。特筆すべき点は、物語がずっと宇宙空間で展開されるところだ。登場人物の心理描写や内面を表すために、地球での日常生活や過去のフラッシュバックなどを挟むのが常套手段だと思うが、監督は敢えてそれらを排除した。

監督は、「何よりも、それがやりたかったことなんだ」と、満足気に話す。「とにかく見ている方々がこの世界に没入し、まるで自分が体験しているような映画を作りたいと思った。実際、そのことでは、製作サイドと闘ったよ。地球上にカットバックして、地球の管制室を映したりするのって、ありがちでしょ。僕は、常に、サンドラたちにカメラを据え続けたかった。その方が実存的で、生きるということを考える旅を描けるんじゃないかと思ってね。そういうテンションをキープする脚本作りは、僕の十八番なんだよ」。

登場人物は、ほぼサンドラとジョージの2人だけ。さらに監督は「今回はバックストーリーや説明を極力減らし、セリフも可能な限り少なくした」と言う。「そうするとテンションが上がるから、常にドキドキ感や恐怖を味わえるし、エモーショナルな心の旅を、キャラクターと共に経験することができる。だからこそ、視覚的には、メンタルなものをたくさん織り込んだ。胎児を思わせるシーンや、母なる地球が背景に映っているのはそのためだ」。監督によると、宇宙遊泳する際のロープも、母とつながっているへその緒のメタファーだそうだ。

もちろん、演じたサンドラとジョージの存在感あっての本作である。キャスティングについては「サンドラに先にアプローチし、決定してから相手役をどうしようということで、ジョージ・クルーニーの名前が上がったんだ。ジョージは、以前から仕事をしたい俳優だったし、彼も自分との仕事に興味を示してくれたので、それはとても自然な選択となった。それをサンドラに伝えたら『彼とはずっと仕事をしたかった』と喜んでくれたよ」。

彼らは旧知の間柄だが、本作が初共演となった。「元々、2人の仲が良かったことは好都合だったよ。掛け合いが自然だったし、お互いのことをとても大切にしているので、助け合いつつも競い合うという理想的な関係性だったから。良かったのは、キスシーンがなかったことかな。兄弟のような関係性だから、そういうものがあったら、ぎこちなくなっていたかもしれないからね(笑)」。

本作の脚本で、キュアロン監督は、公では初となる息子とのコラボレーションを果たした。息子とのタッグを組んでみて、いろんな発見があったそうだ。「映画作家というキャリアのなかで、一時期は、巨匠たちがやったことを模倣したり、追いかけたりするけど、僕は若い人たちからも学ぶべきだと思う。彼らは新しい意見をもっている。実際に、彼らよりも、僕が彼らから学んだことの方が大きかったんじゃないかな。彼らは若いからこそ、恐れ知らずで、変な先入観にとらわれないアプローチの仕方をする。キャリアを重ねていくと、思い込みなどで固まってしまいがち。でも、彼らはそれらを完全にぶち壊してくれるんだ」。

監督のイマジネーションを軸に、良き俳優、良きスタッフが最高のコラボレーションを見せた『ゼロ・グラビティ』。この映画でまた新たな3Dの映像革命が始まる!【取材・文/山崎伸子】

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