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宮藤官九郎、『中学生円山』の新星に厳しくも愛のムチ

2013年5月15日 21:06

『中学生円山』の宮藤官九郎監督と平岡拓真にインタビュー

NHK連続テレビ小説「あまちゃん」が絶好調の人気脚本家・宮藤官九郎が、『少年メリケンサック』(09)以来、4年ぶりに監督を務めた『中学生円山』(5月18日公開)。草なぎ剛を主演に迎えたオリジナル脚本を映画化した本作は、宮藤節炸裂の快作となった。宮藤監督と、重責のタイトルロールを務めた平岡拓真に単独インタビューし、愛のムチが連発された過酷な現場について話を聞いた。

平岡拓真が扮するのは、エッチな妄想に明け暮れる中学生男子の円山克也役。彼が一人のシングルファーザー(草なぎ剛)と出会い、成長していく物語がコミカルかつパワフルに描かれる。なかでも克也が“自主トレ”と称し、前屈して自分のアソコをなめようと、毎日柔軟体操に励むという設定には思わず失笑する。ある意味、大胆不敵な内容だが、映画会社にプレゼンする段階で躊躇したりはしなかったのか?と突っ込んでみた。

「全くしなかったです」という宮藤監督。「脚本だけだと、この映画は怪しいとか、まずいんじゃないかと思われるかもしれないけど、僕の頭のなかでは、綺麗な映像としてイメージされていたから。自分では、変な内容のものには絶対にならないという自信がありました。これは青春映画ですから。最初は本当に伝わらないなあと思いましたが、最終的には通りました。僕の熱意に皆さんが根負けしたのかもしれないです(苦笑)」。

克也役に平岡を抜擢したのは宮藤だ。平岡に、本作に臨んだ当時の決意から聞いてみた。「以前、宮藤さんのドラマ(「11人もいる!」)でやらせていただいた役が、今までやったことがないような役で、すごく楽しかったから、また宮藤さんの作った役を演じてみたいと思っていたんです。脚本を読んでちょっとびっくりしましたが、脱いだりするのも初めてだったし、こういう役はなかなかないと思ったから、やる気になりました。常にチャレンジしたいとは思っています」。

現場での宮藤監督は、かなりスパルタな演出をしたようだ。平岡は「プレッシャーに負けてしまい、何回もセリフをかんだり、テークを重ねたりもしました」と申し訳なさそうに告白。宮藤は「僕自身が円山役に平岡くんをすごく強く推薦したから、僕が責任を取らなければと思っていました」と語る。「だから厳しくしましたが、最後までよくやってくれた。俺が中学生だったら『もう明日、現場へ行かない』と弱音を吐いていたと思う。あんなに毎日、裸になったり、恥ずかしいことをやらされたり、しかも散々怒られていたら、絶対に嫌ですよ」。平岡は「厳しかったけど、監督はいつも役柄の気持ちに合わせて現場の雰囲気を作ってくださったんです。愛がありました」と照れながら答える。

宮藤はそれに対して、こう語った。「平岡くんは現役の中学生なので、そういったことを恥ずかしいこととか、嫌らしいことだってことに、気付かないようにしたんです。これは仕事であり、この映画を良いものにしなければいけないという使命に向かって、みんなが頑張っているんだと。だから、君の仕事は、恥ずかしがらずに脱ぐことだ、というような追い込み方をしました」。

その結果、平岡も熱演したことへの手応えを感じたようだ。「すごく厳しい指導で、撮影中は追い詰められ、怖いなとは思いましたが、完成した作品を見たら、自分でも納得できました。いろんなシーンの撮影を思い返し、監督が僕に付き合ってくださったから、自分でも満足できるような芝居になったんだなあと。監督の指導のおかげです」。

監督と役者の情熱と思いが表裏一体となった時、とても良い化学反応が生まれる。『中学生円山』はまさに、そのことを実感させられる唯一無二の青春映画となった。【取材・文/山崎伸子】

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