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寺島しのぶら俳優陣が若松孝二監督を偲ぶ「人間として学ぶことが多すぎた」

2013年1月18日 13:11

若松孝二監督の遺作『千年の愉楽』の舞台挨拶で寺島しのぶらが登壇

2012年、事故で急逝した若松孝二監督の遺作『千年の愉楽』(3月9日公開)の特別先行上映会が、1月17日にテアトル新宿で開催。既にエンドロールから拍手が起こるなか、寺島しのぶ、高良健吾、高岡蒼佑、佐野史郎、井浦新が舞台挨拶に登壇した。若松監督作『キャタピラー』(10)で第60回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した寺島は、本作でも主演を務めた。寺島は「監督は今、どこかで見てらっしゃると思います」と感慨深い表情を見せた。登壇者全員が監督を偲ぶ、熱い舞台挨拶となった。

寺島は「監督を見ているのが楽しい、監督といるのが楽しい、人間として学ぶことが多すぎて。何で今、いないのかが本当に不思議です」と寂し気にコメント。佐野は「監督不在の舞台挨拶は初めてです」と戸惑いを口にした後、「新宿で酒を飲みながら、『今度のはちょっと良いんだよ』と、『千年の愉楽』にとても満足そうな手応えを感じていらっしゃいました」と語った。高良は「監督と初めて会った時、焼き鳥屋で自分の思いを聞いてもらいました。監督にすごい勇気とパワーをもらいました」と、若松監督との在りし日の思い出を振り返った。

高岡はバッシングを受けていた頃に若松監督から激励を受けたことを告白。「一昨年の夏以降にこの話をいただいて、監督が居場所を作ってくれました。監督が何も否定せず、何も聞かず、生きる場所をそっと作ってくれたような気がします。監督が『高岡くんの今の状況なんて、人生においてたいしたことないんだよ。俺なんて公安から目をつけられて、入れない国もあるよ』と。器の大きさを感じさせてくれました」。

最後は『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08)以降、若松監督作5作品に連続出演した井浦新が監督への思いを吐露した。「撮影後、皆さんがいなくなった後、(ロケをした)掘っ立て小屋の持ち主に深々と頭を下げて、感謝されていました。若松監督とはそういう人間です。みんなが見ている前でボス面はせず、ロケ弁も一番最後に食べ、ロケ地をお借りした人には元の状態に戻して綺麗にして返す。僕はただただ監督の背中を見て、待っていました」。

また、井浦はこうも語った。「若松監督は初期の作品から、映画作りの姿勢、監督のテーマ、何も変わっていません。社会に対しても、人の付き合い方にしてもです。すごい人間だと思います。ぶれずに自由で真っ直ぐ。自分の思うままに、返ってくるリスクを全部自分で背負っていた監督はすごいです」。

ゲストも観客も会場全体が一体化した舞台挨拶では、熱い弁を聞き、すすり泣きをする声も聞こえた。若松監督の最後の渾身の一作『千年の愉楽』を劇場でしかと見届けたい。【取材・文/山崎伸子】

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