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永島敏行が『HESOMORI』で幕末の志士から感銘を受ける

2012年5月24日 14:39

『HESOMORI ヘソモリ』で主演を務めた永島敏行

和紙発祥の地・福井県越前市を舞台にした映画『HESOMORI ヘソモリ』(5月26日公開)で主演を務めた永島敏行。福井でオールロケを敢行した本作は、友情、家族愛、アドベンチャー、タイムスリップ、ファンタジーなど、様々な要素が入った娯楽映画だ。永島にインタビューし、 渡辺いっけいや石丸謙二郎ら同世代の俳優陣との楽しい撮影裏話や、今の人生観などについて話を聞いた。

越前和紙の紙すき職人たけじいの孫であるさとしたち仲良し5人組は、10歳の時にいろんな時代へタイムスリップできる不思議な穴(へそ)に遭遇する。永島が演じるのは、40年後のさとし役だ。さとしの幼なじみの4人に扮したのは、渡辺いっけい、石丸謙二郎、中村育二、佐野史郎といった個性派のベテラン勢。

永島は「好きなことをやったら止まらない人たちだったから、現場はとても楽しかったです。プロレスごっことかは全てアドリブだったし(笑)」と楽し気に語った後、本作のテーマをしんみりと話してくれた。「子供の頃は非常に仲が良くても、そのまま大人になっていくのは難しい。特に50代になると、人生に疲れたり、うまく行っていない人も出てくる。佐野さんが演じた井口のように、妻と死別する人もいるだろうし。そうやってみんな、人生をたそがれていくんですよね。この映画はそういうおじさんたちのファンタジーだったから、すごく共感できました」。

そして、もう一つの主役に、永島は“土地”を挙げる。「改めて思ったんだけど、映画って人だけではなく、土地ならではの空気感も出るんだなって。この映画では、越前の方々がどうやってあの土地で生きてきたのかってことを僕らも感じ取って、それを出さなきゃいけないと思いました」。

1500年もの歴史を受け継ぐ紙すきという職業がフィーチャーされる本作。福井県の無形文化財である岩野平三郎も、紙すき職人役で特別出演している。永島は「実際に、紙すきを教えてもらいました。本当に見た目は普通のおじいちゃんなんだけど、紙すきの場にいると輝くんですよ。あの方がいるだけで画になるし、かなわないなって思いました」と感心したという。

劇中では、へその穴からやってきた幕末の志士も登場するが、彼らの志にも感銘を受けたそうだ。「彼らは幕末に、100年後のことを考えて行動し、国を作っていこうと思っていたでしょ。でも、今の俺たちって、100年以上前に彼らが作ってくれたものを食いつぶしちゃってる気がするんです。実際、俺たちって、100年後のことなんて考えていないですから。この映画は震災前に撮ったんだけど、震災が起こり、今の政治なんかを見ていると、本当に俺たちは目先のことしか考えてないよなって思ったりします」。

本作を経て、色々なことを考えたという永島。「やっぱり受け継ぐってことは大事だなって。消費するだけじゃなくてね。たぶん、誰もがいろんな能力を持っているんだろうけど、使う場所がなくなっていくってことが寂しいよね。人間が部品のような世の中になっていってるというか。でも、紙すきは、代々1500年受け継がれて、今あの土地に残っている。それは本作の主役の一つだし、今後も日本の土地をどうやって表現していくかってことで、映画の可能性はまだまだ広がるんじゃないかな」。確固たるキャリアを築いてきた永島が、50代になった今、語ってくれた人生観には含蓄がある。

『HESOMORI ヘソモリ』には、人から人へ受け継ぐことの尊さや大切さが描かれている。とはいえ、全くお固い話ではなく、開けてびっくりのヒューマンファンタジーとなっているので、思い切り楽しんで見てほしい。【取材・文/山崎伸子】

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