• TOP
  • ニュース
  • 人気テレビ俳優たちが『The Giant Mechanical Man』で自分探しの旅を等身大で熱演
  • INTERVIEW

人気テレビ俳優たちが『The Giant Mechanical Man』で自分探しの旅を等身大で熱演

2012年5月11日 10:15

監督デビューを果たしたリー・カーク
監督デビューを果たしたリー・カーク[c]JUNKO

自分って何だろう? ソウルメイトはどこにいるんだろう? 自分に向いている仕事は何だろう? そんな悩みを抱えているのは、私たち日本人だけではない。“自分探しの旅”という万国共通のテーマを、人気テレビシリーズでおなじみの豪華キャストが等身大で描いた『The Giant Mechanical Man』(全米公開中)が、トライベッカ映画祭に出展され話題を呼んでいる。

わずか19日で撮影されたという同作でメガホンを取るのは、同作で初監督・脚本家デビューを飾った俳優のリー・カーク。他人事とは思えない、とてもリアルで心温まるストーリーで人々の心を惹き付けてやまない同作のキャスト、「ザ・オフィス」の主役ジェナ・フィッシャー、「シックス・フィート・アンダー」『デビル』(11)のクリス・メッシーナ、「マッドマン」のリッチ・ソマー、『ウォッチメン』(09)でヒロインを演じたマリン・アッカーマン、そして「ザット'70s ショー」『スパイダーマン3』(07)では悪役に挑んだトファー・グレイスがインタビューに応じ、その秘密を教えてくれた。

俳優でもあるリー監督が、自らの苦悩も含め、アメリカの若者が抱える悩みを映画にしたいと考えたのは4年くらい前のこと。ちょうどリーマンショックがアメリカを襲った頃である。

俳優としてもパッとしない毎日を送っていたリー監督は、アーティストして生きることの難しさを実感していたシカゴ在住中にストリートパフォーマーに自身を重ね、その悶々とした思いをペンに託したが、なかなか製作資金が集まらなったという。しかし、この脚本を目にしたジェナが、すぐにプロデューサーとして参加したことで、リー監督の人生は一転した。

同作で、仕事をクビになり、冴えない毎日を送る30歳代のシングル女性ジャニスに扮したジェナは、「この脚本を読んだ時、とても共感できたの。だって私も女優としていつも葛藤していたから。母が私の背中を押してくれていて女優でいられるのはラッキーだけど、仕事がない時はアルバイトをしながら、『いったい自分は何をやっているんだろう』って悩んだりしているもの。等身大の人物だからこそ、どっぷりこの作品にはまってしまったのよ。旅行会社で電話番みたいなアルバイトをした時、4日間で2回しか電話がならなかったなんてことがあったの。歯が抜けた夢もそうだけど、脚本にはそういう私の実体験も幾つか盛り込まれているから、とてもリアルなのね」と嬉しそうに語ってくれた。

ジェナのおかげで資金が集まったといっても、インディペンデント映画の製作費は限られている。収入のないストリートパフォーマーとしてアートを追求するあまり、恋人に振られてしまったティムを演じたクリスが、脚本を読んですごく気に入って、『ギャラが5ドルでも良いから、ジルの役をやりたい!』って言ってくれたおかげで、製作にこぎつけることができたのだそうだ。

ジェナと息のあったところを見せてくれるクリスは、ティムに共感した点について、「役者っていうのはオーディションの繰り返しで、まるでアスリートみたいなんだ。演技はジムのトレーニングみたいなもので、出番のために自分でスケジュールを作って、常に練習する必要があるけれど、待っているだけでは何も生まれないんだ。両親のサポートで幸運にも役者を続けているけれど、バーテンダーのアルバイトをしていた時もある。心身共にとても疲れたし、自分の生き方について悩む時もあった」と語っており、同じアーティストとして、どうしてもこの役を演じたかったようだ。

予算の豊富な人気テレビやブロックバスター映画に出演経験のある、ジャニスの義理兄ブライアンと、腹違いの妹ジル夫妻に扮したリッチ・ソマーとマリン・アッカーマン、そして裕福であることに幸せの基準を置いているジルが、しきりに姉のジャニスの恋人に薦めようとする、作家で活動家のダグに扮したトファー・グレイスもまた、脚本に惹かれて参加を決めた俳優たちだ。

「予算のある作品が、必ずしも良いとは限らない。ヒットさせるための作品ではなく、俳優でもあるリー監督が、自分の体験を基に書いた脚本だからこそ、本当にリアリティがあって共感できるし、見ている人の琴線にも触れるんだと思う」と口をそろえる。

現場の雰囲気も最高だったようで、ジェナによれば、「私たちはまるで移動サーカス団みたいだったのよ。19日っていう短期間で、デトロイトの普通のホテルに泊まって、すごい集中してこの作品を作ったから、とても楽しかった。脚本に忠実に演じたつもりだけれど、監督は俳優一人、一人のアイデアも尊重してくれた」のだそう。

なかでも、自らの著作「Winning Conversations」で、人とのコミュニケーションが不得意な人々を啓蒙する、かなり奇妙な風貌の活動家ダグに扮しているトファーは、「最初、ダグは長髪ではなかったんだけど、監督やジェナと色々話していくうちにああなったんだ。服装についても、『最初はありえない』って言ってたのに、セーターを着せることにしたんだよ。自分の持っている新品を着たんだ」と語り、キャストの仲の良さや、自由で和気藹々とした撮影現場の雰囲気を感じさせてくれるインタビューとなった。

ふたりのエネルギーと、キャストたちの作品への愛情がそのまま反映された作品であることはもちろんだが、特筆すべきは、構想から製作までの間に、リー監督とジェナが結婚し、ベイビーまで誕生するという稀にみるおめでたい作品になったことだ。日々の生活に疲れたら、何度でも見てほしい、悩める現代人にお勧めの一本だ。【取材・文/JUNKO】

関連映画ニュース