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『SPEC 天』の堤幸彦監督が『MY HOUSE』でティーチイン!「これを撮らなきゃ死ねないと思った」

2012年5月08日 21:15

『MY HOUSE』のティーチインで登壇した堤幸彦監督と原作者の坂口恭平

『SPEC 天』が大ヒット公開中の堤幸彦監督が5年間も温めてきたモノクロ映画『MY HOUSE』(5月26日公開)。本作の試写会が、5月8日に早稲田大学で開催。上映終了後に、堤監督と原作者の坂口恭平がティーチインイベントを行った。堤監督は、いつになく真摯な表情で、自分が本当に心から撮りたかった本作への熱い思いを吐露した。

堤幸彦といえば、『トリック』『20世紀少年』『ケイゾク』『SPEC』シリーズなど、CGを多用した革新的な作風で知られる監督だ。でも『MY HOUSE』ではそれらを封印し、ミニマルでモノクロームの映像で勝負した。堤監督はあふれる思いを激白。「僕はエンタメ系と呼ばれる作品を幸いにもたくさん撮らせてもらっているけど、常に頭の中の半分は社会問題について考えている自分がいて。今までそれを出さずに撮ってきたのですが、57歳になって図太くなり、こういう作品もやるべきだなと。やり続けないと死ねないと思った」。

映画の原作「TOKYO 0円ハウス」「隅田川のエジソン」を手掛けた坂口は、早稲田大学理工学部建築学科卒業後、コスト0円の家を提唱し続けている建築家で作家でもある。完成した作品について坂口は、「フィルムの中に嘘を乗っけたくなくて、ディテールだけは徹底してお願いしたいと言いました。そういうのがちゃんと出ていた。何の文句もないです」と太鼓判を押す。

堤監督は本作の主人公・鈴本についてこう語った。「モデルとなった鈴木さんは、何も縛られることなく、自分のルールで最大の自由を作り出して暮らしている稀有な方。でも、その分、人間の暴力的な衝動と向き合うリスクも背負っている。その裏腹さを映画にするべきだなと」。坂口は「ある日、鈴木さんに幸せなの?って聞いたら、『俺、無茶苦茶、幸福なの。本当に』って感じで。すごいなって。鈴木さんの強さってのはすごい。師匠としか思ってない」と心からの敬意を語った。

また、学生からも色々な質問が挙がった。本作を撮った動機について堤監督は繰り返し、監督としての信念を強調。「『SPEC』も『エイトレンジャー』(7月28日公開)も、どれもこれも身を削って必死になってやらないと成立しない作品。どんな映画も手間暇かかることは一緒だけど、ジャンルとして“人から頼まれない映画”を撮りたいなと。自分で発案し、プロデューサーをくどいてやらせてもらうという違うやり方で、自分の気になるテーマを作り続けるべきだってね。中年を過ぎた今、棺桶に入れる作品を作って世に問いたいと。じゃないと死ねないという境地に至りました」。

堤監督がどうしても撮りたかったというこだわりの作品『MY HOUSE』。劇中で描かれる「0円生活」では、「何が自由で、何が不自由なのか」という価値観を改めて突きつけられる。質問をした学生の中には、映画に感極まり、人生について「諦めなきゃいけないかと思った」と涙ぐむ学生もいたが、堤監督は穏やかな笑顔でそれを聞きながら、「決して諦めてることはないと思います」と諭す姿も実に印象的だった。【取材・文/山崎伸子】

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