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『僕達急行』初日で松山ケンイチ「ポジティブなものを教えてくれた森田監督にお礼を言いたい」

2012年3月24日 13:23

『僕達急行 A列車で行こう』初日舞台挨拶

故・森田芳光監督の遺作となった映画『僕達特急 A列車で行こう』が遂に公開初日を迎え、松山ケンイチが共演の貫地谷しほり、村川絵梨と共に舞台挨拶に登場した。現在、NHK大河ドラマ「平清盛」の撮影で多忙を極めている松山が、その様子をのぞかせるサービスたっぷりのコメントの連続発言。会場にかけつけた観客を笑わせると共に、昨年他界した森田監督への思いをじっくりと語った。

鉄道マニアの青年ふたりの奮闘を描いた本作。上映後に登場した松山ケンイチは「皆さん、すっきりした顔されてますね。幅広いジャンルを撮ってきた監督の原点とも言えるような作風。本当だったら監督がこの場にいてほしかったですけど、皆さんに監督の思いが伝わったんだなと思って嬉しいです」と挨拶。松山が演じたのは、劇中、貫地谷演じるあずさと、村川演じる社長令嬢のみどりから思いを寄せられる鉄道マニアの男性・小町。その役柄について「仕事や趣味は急行で、恋は鈍行。地に足のついている自分自身をもってる人間で、そんなところにみどりもあずさも惹かれたのかなと思います」とコメントした。

今回が二度目の共演となった貫地谷しほりについて松山は、「森田監督はアドリブを許さない方なんですが、軽々と超えたのが貫地谷さんでした。監督も大ウケして採用されていた。演じた小町としても俳優・松山ケンイチとしてもやられた」と話した。「前に共演した当時は、撮影の合間とかあんまり話しませんでしたたよね」と言う貫地谷に対し、松山は「でも、一緒に電車で帰ったのは覚えてますよ。隣りではなくて対面みたいに座って」と貴重なエピソードを披露した。「会う度に全然違う印象を受けるのが不思議。役の影響もあると思いますが、本当に役者さんだなあと心から尊敬します」と話すのは、松山と三度目の共演を果たした村川絵梨。松山は「自分を持ってないから。いろんなものに影響されやすい。この映画の小町と『平清盛』のキャラクターが全然違うので、ここにどういう佇まいでいたら良いか、わかんないんですよね」と本音をちらりと漏らした。

また本作には、全20路線80モデルに及ぶ電車が登場するのも見どころの一つ。村川は「良い季節だから、何に乗っていても気持ち良いですよね。伊豆急行がオーシャンビューで素敵。美味しいお魚を食べに行ったり、そんな休日を送りたいです」と話し、貫地谷も「私は箱根ロマンスカーのCMがいつも気になるんです。温泉とか入りたいな」とコメント。すると松山は「僕は、話を聞いただけで十分。旅行してる場合じゃないんで、今。スタッフ、キャスト共にやらなきゃいけない時期なので、頑張ります!」と、忙しい清盛としてちゃっかりそちらの作品もアピール。観客たちから温かい拍手が送られた。

本作のエンドロールには、「ありがとう」という森田監督直筆のメッセージが現れる。村川は「この映画で『少し好き』っていう感覚について考えさせられました。監督のメッセージの深さを感じました」と、貫地谷は「普段、物事をじっくり考えるタイプではないですが、監督が諦めずに私にたくさん駄目出しをしてくれたこと、ありがたいなと思います」と、それぞれ監督に対する思いを話した。最後に松山は「『人間がまじめに生きているところに生まれる笑いを撮りたいんだ』と言われてました。だから『人を笑わせる演技は寒いから止めてくれ』と。僕は、監督の演出に追いつこうとするのに精一杯で、追いつけなかったかもしれない。でも、まさかこんなに早く亡くなられるとは思ってなかった。僕たちの仕事は人と出会うことが多く、毎日が刺激的。僕は田舎人間で、閉鎖的だけど、監督は人とコミュニケーションをとるのが好きで、そんな監督を見ていると、そっちの方が豊かできらきらしていて良いなと思えた。だから、今は楽しい。そんなポジティブなもの教えてくれた監督にお礼を言いたい」と、監督へのあふれる感謝の気持ちを語った。

作品ごとに違った顔を見せる松山ケンイチ。これまで彼が演じてきた数々のキャラクターや、もちろん平清盛とも全く違う、本作で見せる好青年ぶりは見る者を温かな気持ちにさせてくれる。森田監督の人に対する思いとユーモアに富んだ演出を是非楽しんでほしい。【取材・文/鈴木菜保美】

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