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アカデミー賞を沸かせたスコセッシ監督が語る『ヒューゴ』と『タクシー・ドライバー』の秘話

2012年2月29日 20:00

『ヒューゴの不思議な発明』のマーティン・スコセッシ監督が来日

『ディパーテッド』(06)のマーティン・スコセッシ監督も気づけば御年69歳、“アラセブ”“アラ古希”である。そんなスコセッシ監督が初の3D映画に挑んだ『ヒューゴの不思議な発明』(3月1日公開)が、本年度アカデミー賞で見事最多タイの5部門受賞。3D効果を最大限に活かした奥行きのある映像、みずみずしい演技を魅せる子役、映画愛を散りばめた新鮮な作風に映画ファンはうなった。来日したスコセッシ監督に、製作秘話や、しなやかな感性の源について聞いた。

本作の主人公は孤独な少年ヒューゴ。彼が父の遺した壊れたままの機械人形を巡り、色々な出会いを果たしていく。重要なサブストーリーのキーマンとなるのが、伝説の映画監督ジョルジュ・ メリエスだ。演じたのはオスカー俳優ベン・キングズレーで、彼はスコセッシを手本にして、この偉大な監督を演じたという。それを聞いたスコセッシは「初耳だよ。まあ、私もメリエスも慌ただしく動き回る監督だからね。彼も常に映画の仕掛けや効果を考えていた方だし」と照れながら語った。

キングズレーだけでなく、レオナルド・ディカプリオやロバート・デ・ニーロなど、スコセッシ組の常連俳優はもとより、数多くの映画人からリスペクトされているスコセッシ。彼の一番の強みは、作家性を貫きつつも、新しい技術を果敢に取り入れる若々しい感性かもしれない。フィルムからデジタルへの移行についても、冷静に話してくれた。

「近年、昔ながらのカメラの製造が終わり、私が好きな70mmのカメラも製造中止となった。でも、私としては、極力、融通のきく機材を使いたいと常々思ってきた。だから役者にとっても邪魔にならないカメラで、かつ少ない機材で撮影できるのなら、それが私の最も好む映画の作り方だ。もちろん『ヒューゴ』のような作品が好きじゃないという意味ではなく、規模は作品によりけりだ」。

大作を手掛ける苦労については、こうぼやいた。「何度も経験していることだが、あまりにも映画の規模が大きくなってしまうと、たとえば天候が悪くなった場合、他のシーンを撮影しようとしても、機材やクルー、トラックなど全てを動かさないといけないから無理だと言われる。そうなると、お金も時間もエネルギーも全て無駄になってしまう。もう少し融通のきく環境であれば、他のことができるのにね」。

スコセッシは続けて初期の代表作『タクシー・ドライバー』(76)の撮影時のエピソードも聞かせてくれた。「当時も色々な葛藤があったよ。私はどうしてもあの映画を撮りたかったけど、当時1974、75年の頃は、ああいう映画を周りが作ってくれるような状況じゃなかった。それで、モノクロのビデオテープで撮ったらどうか?という案が出てね。でも、実際見てみたら、質があまり良くなかったんだ。フィルムからデジタルへと時代が変わっていく今、そのやりとりを思い出したよ。でも本作では、(撮影監督のロバート・)リチャードソンが、まるでフィルムで撮ったような素晴らしい世界を作り上げてくれた。やっぱり新しい技術を学習することは大事だと思ったよ」。

その結果、本作はアカデミー賞で撮影賞、美術賞、視覚効果賞、録音賞、音響効果賞などの技術賞を総ナメした。特筆すべき点は、最先端の3D映像で、映画創世記の世界観にオマージュを捧げたところだ。あっぱれ、巨匠マーティン・スコセッシ監督! 折しも公開は3月1日(土)の映画の日なので、是非巨匠による贅沢な映像マジックを劇場で体験してもらいたい。【取材・文/山崎伸子】

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