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西島秀俊がパンチ100発殴られ続ける!「本当に死ぬかと思った」

2011年12月15日 9:58

『CUT』で役者魂を魅せた西島秀俊

「映画のために死ね」という挑発的なコピーが示すとおり、映画『CUT』(12月17日公開)はシネフィル、すなわち映画に人生を捧げた映画狂の男が主人公の映画だ。演じるのは、自身も映画をこよなく愛する西島秀俊。イランのアミール・ナデリ監督の下、心身共に極限まで追い込んだ撮影で、彼が得たものとは? 西島が、想像を絶するほどハードだったという現場を語ってくれた。

ナデリ監督との出会いは、西島が審査員を務めた2005年の第6回東京フィルメックス(映画祭)。来日していたナデリ監督から、いきなり「お前は俺と映画を撮る運命にある」と言われたとか。「ナデリ監督の『サウンド・バリア』(05)を見て、すごいエネルギーのある映画だと思って、衝撃を受けたんです。そんな監督からオファーをもらったので嬉しかったのですが、正直、怖くもありました。その映画では、出演者みんなが極限状態にいる感じがしたので」。

西島が扮するのは、自主映画を撮ったり、アート系映画を自主上映したりと、映画漬けの日々を送る秀二役。ある日、兄・真吾が借金のトラブルで死に、秀二はその借金額1254万円を返済すべく、殴られ屋となる。西島は修二になるべく、ストイックに役作りをした。「監督は、酒もタバコもコーヒーも肉も摂らないので、僕も現場では監督と同じ物を食べました。『俺は映画のために全てを捨てた』と言う監督は、実際に国まで捨てた人ですから。今回、キリストみたいな体になってほしいと言われて、徹底的に体を絞り、体脂肪を限りなくゼロに近づけました」。また、現場ではずっと口を閉じていた。「その分、すごく集中できたので、とても良い経験でした。共演者の皆さんが、そんな僕をわかってくれたのもありがたかったです」。

劇中で、100発殴られ続けるシーンが壮絶極まりない。「実際、現場の壁はとても硬くて、殴られると壁に飛んでいくので、腰がやられました。また、その前の屋上を裸足で駆け回るシーンでは、足の裏の皮が全部めくれて。リアルにボロボロな中、100発のパンチを受けるという撮影が3日間くらい続き、あの時は本当に死ぬんじゃないかと思いました。カットがかかっても立ち上がれなくて。プロデューサーで通訳のショーレ・ゴルパリアンさんは、毎朝僕のところへ来て『今日も生きて、この人が撮影を終われますように』ってお祈りしてくれてましたから(苦笑)」。

現場では、俳優としての価値観が変わるくらいの刺激を受けたようだ。「今までの現場で思っていたのは、俳優は俳優部で、現場はみんなで作っていくものだと。もちろん、今でもそうですが。でも、今回の現場では『特別な存在になれ』と監督に言われて。『周りから気が狂ってると思われようが、お前がここまで全身全霊を懸けてるってことを示せ。それが、全員に波及する』と。これは、今までとは真逆のアプローチの仕方でした」。

ナデリ監督の情熱にほだされたともいう。「人生を映画に捧げてるって言う人はたくさんいるけど、本当に命を懸けている人は多くなくて。ナデリ監督はその中の一人。自分もできることならそうなりたいとは思いますが、そう簡単なことじゃない。とてつもなくすごいんです。朝まで撮影してホテルに帰って来て、また2時間後に出発って時に、『おい、今から紅茶飲もう』って言える(笑)。ああ、この人、本当に寝ないんだなと。怪物です。まさに秀二みたい。映画は信仰に近かったです。ナデリ監督と仕事をすると、自分の中にもそういうものが入ってきちゃう。そういう意味でも大きい作品でした」。

黒澤明、小津安二郎、溝口健二、バスター・キートン、ジョン・フォードなど巨匠の作品の映像を散りばめた『CUT』は、西島秀俊とアミール・ナデリ監督という、ふたりのシネフィルの思いが結晶となった作品だ。是非劇場へ行って、心地良いカウンターパンチを浴びて。【取材・文/山崎伸子】

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    2011年12月17日(土)

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