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鈴木清順ワールドが炸裂した“浪漫三部作”が鮮やかになってよみがえる!

2011年12月21日 21:00

『ツィゴイネルワイゼン』撮影中の故・原田芳雄と鈴木清順監督。「唇が印象的な役者だった」と清順監督は述懐する

“清順美学”と呼ばれる独特の映像センスで、国内だけでなくウォン・カーウァイ、ジム・ジャームッシュといった海外の映画人からもリスペクトされる映画監督の鈴木清順。彼が1980年から1991年までに発表した、いわゆる“浪漫三部作”が、ブルーレイBOXセットになって12月21日(水)より発売中だ。さらに2012年1月14日(土)からニュープリントによる三作一挙リバイバル上映も行われる。

『ツィゴイネルワイゼン』(80)、『陽炎座』(81)、『夢二』(91)の三作からなる“浪漫三部作”は、どれも鈴木清順のエッセンスが凝縮された濃厚な作品だ。大正レトロな風景に、不条理な物語と目もあやな色彩のマジックによって、めくるめく清順ワールドが繰り広げられていく様は、一度見たら目に焼きついてしまって離れないほど。一種の中毒的な魅力によって、他の映画では絶対に得られない体験を得ることができるだろう。

また、豪華な俳優陣の見事な演技も浪漫三部作の魅力の一つ。『ツィゴイネルワイゼン』における大楠道代の妖艶なエロスと狂気、『陽炎座』でアクションを封印した松田優作が見せた危うげな弱々しさ、『夢二』で主演を務めた沢田研二の飄々とした軽やかさなど、どれをとっても邦画史に残る一級の好演ばかり。特に、今年7月19日に惜しまれつつ逝去した原田芳雄は三作全てに出演しており、異様な存在感と野性味あふれる怪演を見せている。見る者を圧倒するような、得も言われぬ力があり、彼の代表作と呼ばれているのも頷けるはずだ。

ちなみに清順監督といえば、あまりに前衛的で自由すぎる映画『殺しの烙印』(67)を作ったことが問題となり、業界から一時期干されてしまっていたのは有名な話。10年もの間、新作を撮ることができず、『悲愁物語』(77)でカムバックを果たした後、全身全霊を込めて撮り上げたのがこの“浪漫三部作”なのだ。積年の鬱憤を晴らすかのように独自の奔放さを爆発させたこれらの作品群こそ、監督の真骨頂と言えるだろう。

既に御年88歳を迎えながらも、現在は前作の『オペレッタ狸御殿』(05)以来となる最新作を準備中だという。制作意欲だけでなく、今年6月には48歳年の差婚をしていたことが明らかになるなど、幾つになっても若々しい巨匠の絶頂期を彩る三作品を見れば、あなたも清順ワールドの虜になってしまうこと間違いなしだ。【トライワークス】

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