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『RAILWAYS』の余貴美子が語る「男と女はややっこしい(笑)」

2011年12月01日 16:54

『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』で主人公の妻を演じた余貴美子

事務員からミステリアスで癖のある女性まで、どんなキャラクターにも染まることができる女優、余貴美子。新作『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』(12月3日公開)では、初めて実年齢と同じ55歳の主婦・佐和子を演じた。そんな彼女に、役のこと、女優業、そして最愛のパートナーとの生活を聞いた。

本作は、中井貴一が主演した前作『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(10)に続く、シリーズ第2弾。雄大な北アルプスが望める富山県を舞台に、仕事一筋に生きてきた電車の運転士とその妻の、すれ違う心と人生の再出発が描かれる。

余貴美子が演じるのは、定年間近の電車の運転士・滝島徹(三浦友和)の妻・佐和子だ。「ガン検診で再検査になったことをきっかけに、佐和子は人生を見つめ直すんですけど、彼女は夫にそれを言わないんです。私からすれば『言えば良いのに』って思うんですけど、蔵方監督や三浦さんと話をしているうちに、夫に言うとややっこしくなるから言わない女性っていうのは確かにいるなと。ホント、男と女はややっこしい(笑)。そんなところが面白くもあるんですけどね」と、余は監督や三浦友和と相談しながら役作りしたことを教えてくれた。

夫が定年を迎え、娘も嫁ぎ、じきに孫も生まれる佐和子は、看護師の仕事に復帰することを決断する。それがきっかけで、夫と大喧嘩になってしまうのだが、余はその気持ちがよくわかるという。「彼女は、周囲の環境が変わったことで、自分の気持ちに正直になって、これからの生き方を考えたと思うんです。『これから先は長いんだぞ』っていう。三浦さんも好きなセリフと言っていましたけど、まだまだ長い道のりであろう人生をどのように生きていくかって真剣に考えた時に、佐和子は看護師の仕事に復帰したいと思った。そんな中、落雷が落ちたりもするんですけど。人生って転機を迎えた時に、何かが起こる。それが人間なのかもしれませんね」。

劇中で第二の人生を歩き出す佐和子だが、女優・余貴美子は、数え切れない人生を歩いてきた。「今まで何度人生を繰り返したことか。何度も棺桶に入って、生き返って、遺影なんて何枚も持っている。時々、私って死んでいるのかしらと錯覚することだってある。実在している人の人生を体験することなんて普通できないですよね。それを仕事として体験することができるのだから、こんな面白い仕事は他にない!って最近思います」。

ユーモアを交えながら、こちらの質問に一つ一つ丁寧に答えてくれる余貴美子。同席する製作総指揮を務めた阿部秀司が繰り出す鉄ちゃん(鉄道ファン)ネタも、興味津々な様子で聞き入っている。そんな彼女に、鉄道にまつわるエピソードを聞くと、「東京には山手線という、ぐるぐると回っている路線があるんですけど、電車の中って集中できるから、何かを覚える時なんかによく利用するんです。昔はセリフを覚えるのにも使っていました。電車に乗っていると頭も冴えてくるし、いろんな人が乗ってきますから、人間観察にもなるんです」と教えてくれた。

現在、最愛のパートナーと暮らす妻の顔を持つ彼女に、劇中のような大喧嘩をしたことがあるのか尋ねると、即答で「ないんですよね」と返ってきた。「もちろん『このやろー』と思うことはありますよ。でも人って、思いも考え方も生き方も違う生き物だと思いますから、同じ方向を向いて認め合っていくことが大事なんじゃないかなって思うんです」。そう話すと穏やかな笑みを浮かべた。

最後に、本作で初メガホンを取った蔵方政俊監督が「長く夫婦を続けていると、一緒にいるのが当たり前すぎて、掛け替えのないものを見失いそうになるんだけれど、寄り添って前に進む相手がいるって本当に幸せなことなんですよね。この映画を見て、夫婦って良いなと感じていただければ」とアピールする『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』は、人生の岐路に立つ夫婦の絆の物語。切符片手に『RAILWAYS』という名の列車に乗って、夫婦の旅路を体感することをお勧めしたい。【取材・文/大西愛】

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