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『極道めし』の木村文乃、思い出めしは母の特製お雑煮

2011年9月23日 18:08

『極道めし』で、健気なヒロインを演じた木村文乃

受刑者たちが刑務所内で、妄想の食のバトルを繰り広げる。そんな土山しげるの人気コミックを映画化した『極道めし』(9月23日公開)で、好感度大のヒロインを演じた木村文乃にインタビュー。彼女に劇中のラーメン作りの撮影秘話や、彼女自身の思い出めしについて話を聞いた。

CMでも爽やかな魅力を発揮している木村だが、『極道めし』では自然体の生き生きとした表情で、永岡佑扮する主人公・栗原健太に献身的に尽くす水島しおり役を好演。演技については「監督から『オーディションの時の自然な感じがすごく良かったから、特に作り込んだりせずに自然体でやってね。ただ、これまでとは違う木村文乃が見たい』と言われました。だから、初めて髪を染めたり巻いたり、可愛らしくメイクしたりと、外見は普段の私とは違う感じにして。演技は本当に自然な感じで、セリフもアドリブが多かったです」。

監督は、『ブタがいた教室』(08)の前田哲だ。「決まったセリフだけではなく、その場で生まれた言葉を言う形で撮影しました。永岡さんに『おいしい?』って聞いたりするやりとりもほとんどアドリブでした」。このやり方は、今までのアプローチの仕方とは全く違ったそうだ。「私っていつも勝手に役を作り込んじゃうタイプなんです。しかも、こうだろうって決めつけたやり方で、柔軟性がない。今回監督から『自由にやって、そのままでいいから』って初めて言われて、なんだか一つ肩の荷が降りた気がしました」。

健太としおりは、孤児院時代の幼なじみで、久しぶりに再会するという設定だが、準備段階で行った前田監督の演出も興味深い。「監督から『台本の読み合わせの時に、お互いの小さい頃の写真を何枚か持ってきて』と言われて。二人で中学生、高校生くらいまでの写真を5、6枚くらい持参して並べ、当時の話をしたんです。今思えば、その監督の采配はありがたかったなと。幼なじみという設定にすんなり入れたので。監督には、撮影に入る前から指導されてたんですね」。

前田監督は、しおりがラーメンを作るシーンでもこだわりを見せた。「夜遅くまでかけて、本当に何度も何度も撮りました。実際のラーメン屋さんをお借りしたんですが、狭いし空調も効かせられなくて、湿気がすごいし。全部私が作ってるんですが、ネギのばらけ方や、焦がしネギの置く位置、最後のネギ油のかけ方まで監督は全てにこだわって。ちょっと違うともう一回やり直し。本当に最後の最後、ようやく上手くいきました。だから、今もあのシーンを見るとほっとしてしまいます」。そのかいあって、特製ラーメンはおいしいネギ油の香りが匂い立ってきそうな勢いだ。

ところで、彼女にとっての忘れられない“思い出めし”とは?「母親が作ってくれたお雑煮ですね。家は醤油ベースのダシ汁で、レンコンやニンジンなどの野菜とお餅を入れるんですが、実は私があまりお餅が得意じゃなくて。野菜はすごく好きですが。でも、弟は野菜が嫌いでお餅が好きなんです。それで二人の食べ方を見ていた母親が、次の日、鍋一杯に野菜が入ったお雑煮を作ってくれたんです。でも、それはもはやお雑煮ではなくて煮物で(笑)。でも、それが私はすごく嬉しくて。私が全部野菜の具を取った後、弟は自由にお餅を入れて食べられるという、笑顔になれる料理。母親に愛情を感じました」。

最後に、女優としての今を語ってもらった。「今までは好きなことを真剣にできれば満足って感じでしたが、それじゃいけないと。嫌なことから逃げていたら全然良いものは生まれないし。でも、最近ふと、追われてる時も楽しいなって気づきました。逆境の中で走り続けるスタイルが私には合ってるかもしれないと。まだまだ追われてばかりだけど、いつか絶対追いつき追い越して、首根っこを捕まえてやると思ってます。何十年もかかると思うけど、常に前へ前へです」。【取材・文/山崎伸子】

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