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『ライフ』の監督が語る舞台裏。執念で撮ったザトウクジラの求愛戦

2011年8月31日 17:00

『ライフ いのちをつなぐ物語』を監督したマイケル・ガントンとマーサ・ホームズ

『ディープ・ブルー』(04)、『アース』(08)のBBC Earth Filmsが、撮影日数3000日、総製作費35億円をかけ、世界18ヶ国でロケを敢行した驚異のネイチャードキュメンタリー『ライフ いのちをつなぐ物語』がいよいよ9月1日(木)より公開となる。本作のキャンペーンで来日したマイケル・ガントンとマーサ・ホームズにインタビューし、撮影大作戦の舞台裏について聞いてみた。

今までのドキュメンタリーとは違う試みとして、動物と同じ視点でとらえることを意識したというマーサ。「全体像は見えていたので、エモーショナルな部分を伝えるためには、どの動物が良いのだろうかと、まず動物選びからスタートしました」。そういうコンセプトで、ザトウクジラやアフリカゾウから、植物のハエジゴクまで、24の生き物が挙げられたわけだ。

マーサは言う。「人間は情報として科学的事実を吸収することができるんだけど、やっぱり心から共鳴できるのは、ストーリーなんです。だからストーリーを伝えられる動物をチョイスし、さらにその動物のエモーショナルな部分を、ドラマティックに撮れるかどうかを考えました。そして、脚本も音楽も音響も、キャラクターが際立つように考えて作りました。音楽を担当してくれたジョージ・フェントンさんは、それぞれの動物のキャラクターに合う楽器から選んでもらいました」。マイクもコンセプトについて「知識として面白い部分はたくさんあるけど、常にエンターテインメント作品であることを意識していました。そこは妥協しなかったと自負しています」。

世界初の映像も15シーン入っている。なかでも一番達成感を感じたシーンについて聞くと、マーサは「ザトウクジラのシーンです」と答えてくれた。「90年代前半にハワイ沖でザトウクジラのヒートランを撮ろうと試みたことがあり、3週間毎日撮影したけど、失敗したんです。しかもその時、死にそうになって」。

今回はハワイではなくトンガの沖合で撮影を敢行した。「ハワイに比べて至近距離に行けるところは良かったのですが、オスがメスをヒートランで追いかける時、すごいジグザグ泳ぎをするんです。それを撮るのがとにかく大変で。水中のカメラマンと、船上のカメラマン、空撮は近くのフィジー島からヘリを飛ばしたんですが、それだけで9時間もかかりました。非常にリスクが高い中で、全部の要素がうまくフィットして、ようやく撮ることができたんです」。

マイケルが達成感を感じたのは、知恵を使って椰子の実を割るフサオマキザルのシーンだとか。「フサオマキザルには、今回見せようとしていたテーマが凝縮されていたんです。それぞれ個々の生物が色々とシビアなチャレンジをし、知恵を振り絞って、困難を乗り越えていく。初心者もいれば、ベテランもいる様子を上手く撮れました。撮影方法も、空撮があったり、ハイスピードのカメラを回したり、ワイドレンズで至近距離を撮影したりと、全ての方法を駆使しています。また、フサオマキザルは二足歩行をするし、悩んで指をくわえたりと、まるで人間のような行動をとったりして、とてもユーモラス。何百回も見ているのに、編集しているといつも笑ってしまう。自分たち人類の祖先が問題を解決する瞬間を見たような気がしましたよ」。

確かに、下手なフィクションのドラマよりも、遥かにドラマティックな物語が展開される『ライフ いのちをつなぐ物語』。CGで作られた虚構とは違う、真実のドラマがそこにある。また一つドキュメンタリーが進化した。そう思える革新的な一作だ。【取材・文/山崎伸子】

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