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山田孝之、ニューヨーク・アジア映画祭で日本人初の受賞!“世界の山田”へ

2011年7月12日 17:53

2010年には「世界が注目する10人の俳優」に日本人でただ一人選ばれている。世界進出も大げさな話ではないかも | [C]JIN

現地7月1日から14日(木)まで開催されている第10回ニューヨーク・アジア映画祭で、日本映画初のオープニング作品に選ばれた石橋義正監督作『ミロクローゼ』を引っさげ、主演の山田孝之と石橋監督がニューヨークに参上した。同映画祭と、7日から22日(金)まで開催されているジャパン・カッツ!で、『ミロクローゼ』のほか、『GANTZ』(11)、『GANTZ PERFECT ANSWER』(11)、『乱暴と待機』(10)、『シーサイドモーテル』(10)、『十三人の刺客』(10)にも出演している山田は、最も活躍が目覚しい注目のアジア人俳優として、日本人で初めて第3回ライジング・スター・アワードを受賞するという快挙を成し遂げた。山田は黒いスーツにひげを蓄え、貫禄たっぷりで授賞式に登壇した。

21時からの上映にもかかわらず、ほぼ満席(276席)となった会場のニューヨーカーたちに見守られながら、照れくさそうに表彰状を受け取った山田は、受賞した感想を問われると、「日本にはもっと素晴らしい役者さんがたくさんいるので、こんな自分がもらって良いのかと思いますが、賞をいただけると聞いて、のこのことここにやって来ました」と謙遜しながら照れ笑い。しかし、日本でもカメレオン俳優と言われ、様々な顔を見せてくれる彼は、業界紙エンターテインメント・ウィークリー紙の2010年10月号で「世界が注目する10人の俳優」に選ばれたただ一人の日本人。主催者も「これから上映される彼の作品を見たら、あまりの違いに驚くに違いないよ。今後も、君たちが何度も目にすることになる日本を代表する俳優になること間違いなしだ」と絶賛し、会場は暖かい拍手に包まれた。

続いて上映された『ミロクローゼ』は、時空を超えたちょっと風変わりな3部構成のラブファンタジー。オレンジ色のおかっぱ頭のオブレネリ・ブレネリギャー、愛の伝道師の熊谷ベッソン、浪人のタモン(多門)の3役に挑戦している山田と、石橋監督は、観客席で観客と共に同作を鑑賞した後、再び檀上し、観客らの質問に丁寧に応じた。

まず同作に山田を抜擢した理由について石橋監督は、「もともと山田さんのファンでした。とにかく彼には目力がある。彼なら3役でもこなしてくれると確信していましたが、見事にその期待に応えてくれました」と、ライジング・スター賞を受賞した山田の演技力を大絶賛した。

大変だった点については、「新しい試みなので、企画をスタートさせるまでが一番大変でした。発案から製作まで約5年かかりましたが、とにかく撮影している時が一番楽しかったです。多門の戦い(刀)のシーンでは、俳優さんたちには普通に速いスピードで演じてもらい、30mのレールでカメラをゆっくり動かし、20倍のスローモーションで撮影しました。部屋を壊しながらの撮影だったので、やり直しはあまり利きませんから、数テイクの取り直しでどうにか無事終えることができました」と、嬉しそうに撮影秘話を披露した。

また山田は、「3人を演じることができると聞いて、この役を絶対やりたいと引き受け、とても楽しみにしていました。でも実際にはそれがとても大変で、3人を演じるのが限界だと思いました。春にオブレネリを二週間で撮影して、その後、二週間でベッソンを演じましたが、演じる時は自分を消して役になりきるので、オブレネリの後、自分も捨てて、かつオブレネリも自分の中からどかすのは、とても大変でした。ちょっと気が狂いそうになりましたね(笑)。刀や立ち回りに関しては、ちょうど『十三人の刺客』の話が来て、ここでみっちり鍛えてもらったので、準備しなくても10月から多門を演じられました」と、さりげなく他の出演作にも観客の興味を向けさせた。実際に、素晴らしい立ち回りを見せる『十三人の刺客』の撮影が入らなければ、『ミロクローゼ』のために刀の訓練を受け、かつ続けて3役を演じなくてはならなかったため、撮影が途中で中断したのは、彼にとって不幸中の幸いだったようだ。

3人の役柄について誰が一番好きかと問われると、「3人とも好きだから、誰とは言えません。なぜなら、どんなにひどい役をやっても、演じているとその役を好きになってしまうからなんです。ベッソンも見ているとむかつくかもしれませんが、でも演じていると好きなので、皆同じくらいです」と語った。自分を捨てて、役どころを愛し、役に入り込むという徹底した役作りが、カメレオン俳優たるゆえんのようだ。

上映中に観客席から度々笑いと叫び声が入り乱れるなど、実際に観客のリアクションを目の当たりにした感想について、石橋監督は「とにかく海外の方が反応が大きいので、それは嬉しいですね。アメリカと日本では笑いの感覚は違うところがいっぱいあると思います。多門が戦うシーンでは、歌舞伎絵を参考にしました。歌舞伎で手を上げて、目を片目だけ寄り目にするのを歌舞伎用語で“見栄を切る”と言いますが、文化がわからないと、何で戦いの時にポーズを取るのかわからないので、(海外では)笑いにつながるのだと感じました。片目だけ寄り目にするのはとても大変なのですが、山田さんは実際にやってくれたので、CGを使わずにすみました」と、文化の違いを指摘すると共に、全体を通じて、ほとんどCGを使わないセット作りへのこだわりもアピールした。

一方の山田は、「笑いの感覚は日本と大体同じだと思いました。ただ、中村のことを“なきゃむら”ってしている部分とかは、さすがにわからないから、海外では受けないですよね」と笑った。

最後に見どころを問われた石橋監督は、「パーティを楽しむように、ローラーコースター感覚で見て楽しんでほしい映画ですが、じっくり見るシーンもあるし、いろんな面があると思います。時代を超えて好きな人を探し、時代が逆行する。真剣な中に笑いがあるというのは、山田さんのカリスマ性と演技力があったからこそです。見ていて、それはないだろという展開にしたかったので、良い意味で皆さんの期待を裏切ることができたらと思います」と、自信のほどを語った。

説明されればされるほど頭の中には?マークが増えるだけで、とにかく見てみないことには始まらない本作。七変化する山田孝之はまさに必見だ。【NY在住/JUNKO】

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