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【UHDレビュー】映像もサウンドも!4K UHD BDで『AKIRA』は 生まれ変わった

2020年4月23日 11:30

漫画史に残る傑作SFを作者、大友克洋自身が監督を務めて長編アニメとして映像化した『AKIRA』。最高機密“アキラ”を巡ってネオ東京で繰り広げられる破壊と再生の物語は、その独創性あふれる世界観と圧倒的なクオリティで、表現の枠を超えて現在も大きな影響を与え続けている。いよいよ4月24日(金)より発売される「4Kリマスターセット」は、映像と音楽両面を刷新した最新バージョンだ。

第三次世界大戦から31年後の2019年。翌年にオリンピック開催を控えて繁栄を取り戻しつつあるネオ東京を舞台に、国家的な最高機密“アキラ”を巡る戦いが描かれる
第三次世界大戦から31年後の2019年。翌年にオリンピック開催を控えて繁栄を取り戻しつつあるネオ東京を舞台に、国家的な最高機密“アキラ”を巡る戦いが描かれる[c]1988マッシュルーム/アキラ製作委員会

光やディテールがHDR効果で鮮烈に

【写真を見る】作画監督は後に『寫眞館』を監督するなかむらたかし、作画監督補は『アニマトリックス』の森本晃司。大友克洋のもとにトップ・クリエイターが集った
【写真を見る】作画監督は後に『寫眞館』を監督するなかむらたかし、作画監督補は『アニマトリックス』の森本晃司。大友克洋のもとにトップ・クリエイターが集った[c]1988マッシュルーム/アキラ製作委員会

今回、4Kスキャンを行い、さらに4Kリマスターを行った『AKIRA』。その効果はファースト・カットから明らかだ。旧BDでは目立ったゴミや傷が皆無。映像もブレがなく安定しているのがひと目で分かる。そしてタイトルが登場した時の“赤”のインパクトが目に焼き付く。背景から飛び出し、3Dのように迫ってくるのを誰もが感じることだろう。

HDR効果も一度見たら、SDRには戻れない鮮烈さを味わわせてくれる。金田が登場する地下にあるバー、春木屋の場面ではミュージックボックスのタッチボタンやCDの明瞭度などが、本物のような光を放ち、ディテールも際立った。店のメニューやテーブルのゴミといった細部に思わず目が行ってしまうのは、それだけよく見えるようになったからだ。路地で金田と鉄雄が集合する場面ではそれぞれを象徴する赤と薄いブルーの色が、より印象的に飛び込んでくる。彼らのバイクが走り出し、街に繰り出すとHDRはさらに効果を生む。街のネオン、サーチライト、車のヘッドライトなど光源の表現が見事で、今までの『AKIRA』とは別物になっていることが実感できる。その他にHDRらしさが最大限に発揮されているのはドクターが使っているスペシャルパターンのショットだろう。さまざまな色が活発に動き回り、超能力の指数を示す映像は美しさと危うさが同居しているが、ドクター同様、思わず見とれてしまいそうな鮮やかな存在に変貌を遂げている。中盤の見せ場では能力を覚醒させた鉄雄がラボから飛んで脱出する場面で、彼を覆う赤い光とラボの全景のコントラストに息を飲み、クライマックスの都市崩壊で瓦礫から小さな破片まで見えるようになったことで映像のダイナミックさが増すなど、全編見どころだらけになっている。

圧巻の音響体験!“音の実在感”は別次元

音響監督を務めたのは明田川進。今回の4Kリマスター版にも携わる
音響監督を務めたのは明田川進。今回の4Kリマスター版にも携わる[c]1988マッシュルーム/アキラ製作委員会

4K UHDブルーレイ化に際し、音声面でもアップグレードが図られている。音楽監督、山城祥二氏の指揮のもと、大元の素材からリミックスを行い、192kHzのハイパーソニック・エフェクトも活用。チャンネル数こそ5・1chだが、従来のDVDやBDとは別次元のレベルに到達している。

冒頭のタイトル・シークエンスでは風の表情に注目してほしい。東京崩壊の前後に風が吹いているのだが、崩壊前と後では空気の重さが変わっているように感じられる。山城氏の言う、音の実在感がそこには確実に存在しているのが分かるはずだ。金田がバイクに向かうくだりでは砂利を踏む音も生生しく、自分の聴力が上がったような錯覚すら起こしてしまう。バイクの暴走シーンでは、ゴミでいっぱいの路地を突き抜ける衝撃音や、クラウンとのチキン・レースの際の金田のバイク音など、聴いているうちにどんどん音量を上げたくなる衝動に駆られてしまう。またタカシが男と逃げている途中、追っ手の犬を男が撃ち殺す場面で人々が驚く声もはっきり聞き分けられるようになり、臨場感も特筆すべきものになった。排水抗での戦いでは銃声に負けないくらい、押し寄せる水の水圧も感じられ、圧巻の音響体験ができる。

そんな効果音以上に素晴らしいのが、芸能山城組の音楽だ。『AKIRA』が今も輝きを放つのは、彼らが演奏する音楽の魅力が大きな要因だと思うのだが、個々の楽器の演奏はもちろん、歌っている人々までもがスピーカーの向こうにいそうな雰囲気なのだ。最近はフィルム・コンサートなどで映画音楽の魅力を再確認する機会も多いが、この4K UHDブルーレイに収録されている音楽は、そうした生で聴く音楽に非常に近いものになっていて、映画への集中力を高める役割を果たしている。

圧倒的なスケールの画と音で生まれ変わった『AKIRA』の4K UHDブルーレイ。昔のLDに記載された注意書きに倣うならば、可能な限り大きな画面と、家庭環境の許す限り最大のボリュームで楽しんでもらいたい。

文/飯塚克味【DVD&動画配信でーた】


伝説の作品が4Kリマスターで帰還!『AKIRA』特集


■「AKIRA 4Kリマスターセット」4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc
2020年4月24日(金)発売
価格:9,800円+税抜
[特典]
●特典ディスク(Blu-ray)
 ・AKIRA SOUND MAKING 2019
 ・AKIRA SOUND CLIP BY 芸能山城組
 ・エンドクレジット(1988年公開版)
 ・絵コンテ集(静止画)、劇場特報、予告集
●特製ブックレット(岩田光央×佐々木望×小山茉美×草尾毅×明田川進によるスペシャル座談会などを収録)
https://v-storage.bnarts.jp/sp-site/akira/

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