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【レビュー】甘くて苦い…「泣ける」と話題の『弥生、三月』は、いまを生きるすべての人に刺さる!

2020年3月26日 11:45

甘い、ほろ苦いというよりも、極端に甘く苦いロマンス映画が、「泣ける」と話題の『弥生、三月 -君を愛した30年-』(公開中)だ。というのも、青春時代の甘い初恋とすれ違い、それに現実社会で様々な問題に向き合わなければならない大人の事情、そのどちらも描いているから。

『弥生、三月 -君を愛した30年-』を映画ライター・よしひろまさみちがレビュー! | [c]2020「弥生、三月」製作委員会

まずは青春時代。弥生と太郎の高校時代は、むちゃくちゃよくあるラブロマンスの定型にハマっている……かのように思える。一見、平凡な青春に見せておくことで、大人になってからの彼らの生活の厳しさ、社会に出るまでの間に何が起きたのか、という後半部分の過酷さが活きてくるという仕掛けには驚かされるはず。

青春時代の弥生と太郎は、よくある幼なじみ同士で、気兼ねなくものを言い合える親友同士。しかも、お互いが近すぎる距離のために、本当の気持ちは言い出せない。というよりかは、本当の気持ちに気づけないでモヤモヤしたまま、高校の卒業を迎える。そこに、互いの親友のサクラの病死という事件が、冷水を浴びせるかのように、彼らの“モヤモヤ”した気分を流して、ふたりを“ただの親友”に戻してしまう。

親友・サクラ(杉咲花)との別れを経たふたりは高校卒業後に別々の道を歩み始める | [c]2020「弥生、三月」製作委員会

親友との死別ほどの大事件はそうそうないものの、こういうモヤモヤは幼なじみや旧友同士には、まぁまぁよくあること。同窓会で再燃!なんてことが割とありがちな話として出るくらいなので、モヤモヤを伝えられない、その語彙と勇気がない、ということは、青春時代にはけっこうある話。とてつもなく甘い。

ところが、ここから先がありがちじゃない。ほろ苦いどころか、苦すぎる。

お調子者の太郎は早くも26で、できちゃった婚! | [c]2020「弥生、三月」製作委員会

全く別々の道ながらも、自分の希望していた進路で社会に出ることができたふたり。…これも、うまく見せるよねー!と、感じるのは最後まで観てからの話。大人になってからしばらくのエピソードは、別々の道に進んだ親友同士が、うまいこと自分の人生をエンジョイしているように見えるのだが、思いも寄らぬ方向に話は突き進む。ネタバレにならない程度にいうと、2011年の東日本大震災とそれ以降の日本社会で注目された“家族の絆”が重くのしかかる。これがもう…重量級。だけど、重いからといってロマンスが消えるわけでないのが、この作品のすごいところだ。

互いに家族を持つがそこにも試練が訪れ… | [c]2020「弥生、三月」製作委員会

30年間の3月だけを切り取って弥生と太郎を描く、という離れ業のおかげで、30年という時間の経過を大河ドラマのようではなく、まるでファンタジーのように見せていることも、この作品の特徴。その構成は決して新しいものではなく、これまでいくつかの作品で使われている手法ではあるのだが、いまの日本でしか描けない社会状況や環境をうまく組み込んでいるところが、いまを生きるどの世代にも響くことだろう。また、年数を「○年後」とあえて表示せずに、30年をランダムに見せるところはオリジナリティたっぷり。くれぐれも時系列通り、というわけではないので、スクリーンからは目を離さずに!

『弥生、三月 -君を愛した30年-』は公開中 | [c]2020「弥生、三月」製作委員会

文/よしひろまさみち


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