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佐藤浩市、『Fukushima 50』の製作は「風化させないためにも、ギリギリのタイミングだった」

2020年3月5日 09:55

『Fukushima 50』(フクシマフィフティ) の日本外国特派員記者会見が開催
『Fukushima 50』(フクシマフィフティ) の日本外国特派員記者会見が開催

東日本大震災時の福島第一原発事故を描く映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ) (3月6日公開)の日本外国特派員記者会見が、3月4日に公益社団法人・日本外国特派員協会で開催され、佐藤浩市、渡辺謙、若松節朗監督、製作総指揮の角川歴彦が登壇した。4人は本作を作る意義や、製作のタイミングについて、しっかりと持論を述べた。

原作は、門田隆将のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」で、福島第一原発事故当時、死を覚悟して現場に残った、地元福島出身の名もなき作業員たちの真実を描く。タイトルは、彼らが世界のメディアから“Fukushima 50”(フクシマフィフティ)と呼ばれたことにちなむ。

なぜ、福島第一原発事故を映画化しようと思ったのか?という質問に対して、角川は「この話を一番最初に持ちかけてくれたのは津川雅彦さん。地震のすぐあとでしたが、あまりにもテーマが難しく、諦めかけていた時、この原作に出会うことができました。復興オリンピックの前に、どうしてもこの映画を、映画人として製作したいと考えました」と答えた。

渡辺も同じ質問について「ひと言で申し上げるのは難しい」としながら「『沈まぬ太陽』の時もそうでしたが、いま、社会情勢がこういうことになっていますが、我々は未来を全部予見することはできないです。そういう岐路に立たされた時、我々がなにをチョイスし、なにに向かっていくべきなのか。そういう意味で、この映画はいい検証材料だと思いますし、未来へのステップになる映画だと僕は理解しています」と答えた。

伊崎利夫役の佐藤浩市
伊崎利夫役の佐藤浩市

佐藤は「最初にこの話をいただいた時、震災の痛みも含め、被災した方々のいろんな想いを考えた時、この作品を映画化するのは早いんじゃないかと思いました」と言ったあとで「実際に映画を作ってみて、福島へ持っていった時、映像として痛みを強いるし、苦しいシーンもいっぱいあるけど、最後まで観ていただいた時、現地の人々が若松監督に『ありがとうございます!』と言ったんです」と述懐。

「ああ、そういうことかなと。逆に言うと、風化しちゃいけないことを、もう一度見直すにはギリギリだったんじゃないかと。その痛みを次の世代に語り継ぐためにも、いまの時期にこの映画を観てもらう。そういうことだと思います」と真っ直ぐな眼差しで訴えかけた。

若松監督も「僕は、人間の弱さや強さが入っている作品が僕は大好きです。この原作も、原子炉建屋に突入できるかどうか、手を挙げるのに大変な想いがあった作業員たちの弱さや強さが重層的にある作品。ぜひやりたいなと思いました。また、3月11日近くになると、必ず、東日本大震災の映像やニュースがたくさん流れるけど、どんどん少なくなっている気がします。毎年この映画をやれたら、皆が思い出してくれる。原発というものを、皆が考えてくれるのではないかと思いました」と熱い想いを口にした。

製作総指揮の角川歴彦
製作総指揮の角川歴彦

また、映画を企画中や製作中に、政府や東京電力などの上層部から、横やりが入らなかったか?という質問も。角川はこれまで、『金融腐蝕列島 呪縛』(99)で銀行を、『沈まぬ太陽』(09)で航空会社を扱った社会派映画の製作総指揮を務めてきたことを例に挙げながらも「最近、忖度なんていう言葉が流行していて、こういう映画を取り上げたくないということで。でも、僕は、最初から、電力会社についての映画や、政治的な映画を作るつもりはありませんでした。この映画の核、物語の核は、人間は自然に勝てない、ということです。映画のなかで渡辺謙さん(演じる吉田所長)が『なにか我々は間違ってたんじゃないか』と言いますが、あれこそがこの映画のテーマです。ですから素直に、この映画のテーマを鑑賞していただけたらありがたいです」と毅然と答えた。

続いて、若松監督も「僕のところにはなにも聞こえてこなかったんですが。もしかしたら後ろでなにかあったかもしれませんが、政府の圧力はまったくないと思います。復興庁が参加していますし、元総理もこの映画をごらんになっていますが、いまだになにもないですから、なんの問題もないです」とキッパリ。

さらに「僕は5日間の闘争に集約して映画を作りましたので、余分なことは一切なく、福島の原発でなにがあったのかと、それに集中しました」と念を押した。

取材・文/山崎 伸子


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