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オスカー受賞のレネー・ゼルウィガー、『ジュディ 虹の彼方に』のためにYouTubeで役作り!?

2020年3月05日 18:00

【写真を見る】『ジュディ 虹の彼方に』でジュディ・ガーランド役を熱演し称賛を浴びたレネー | [c]Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

昨年の第44回トロント映画祭で初披露されて以来、『ジュディ 虹の彼方に』(19)を観た誰もがレネー・ゼルウィガーのアカデミー賞主演女優賞受賞を確信していた。しかし、受賞から2週間経ったいまでもレネー本人には現実味がないのだという。「5分前のことのようにも、10年前のことのようにも感じられるの。だからあまり考えないようにしている。それから犬たちの世話があるから北カリオルニアとロサンゼルスを行ったり来たりで、あまり現実と向き合う時間が取れていない。でも、本当に楽しい、特別な夜だった」とアカデミー賞を振り返る。

レネーがアカデミー賞を受賞したのは、2004年の『コールド・マウンテン』(03)での助演女優賞以来2度目。それからしばらく、レネーはハリウッドの喧騒から距離を置いていたが、『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』(16)で復帰し、変わらぬ芸達者ぶりをみせた。「誰でもそうだと思うけど、人生における16年間の間にはいろいろなことが起きる。そして、人間は変わり続けるものでしょう? 成長できているといいなって思うけど、2004年の自分が思い描いていたのとは違う人間になっているかもしれない。そして、光栄なことに賞を授かった」。レネーはそう言うと、目を細めて笑った。

第92回アカデミー賞にて主演女優賞を受賞したレネー・ゼルウィガー | 写真:鈴木香織 [c]Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

『ジュディ 虹の彼方に』でレネーは、『オズの魔法使』(39)の名子役として知られ、稀代のエンタテイナーとしてもミュージカルやコンサートで艶のある歌声を響かせてきたジュディ・ガーランド役を演じている。

兼ねてからジュディのファンだったレネーは精魂込めてこの役に取り組み、その見事な役柄へのアプローチはスクリーンで表現されている。名子役やミュージカルスターとしてのジュディについては有名だが、『オズの魔法使』(39)撮影時からMGMによる薬物コントロールによって、不眠症や依存症に悩まされ続け、精神的にも不安定になり、酒やドラッグに溺れる姿はあまり知られていない。本作でクローズアップされるロンドン時代のジュディの姿は、大スターの風格と共に、脆く崩れそうな孤独を滲ませる。レネーは、あまりにも大きな実像を担うにあたって、YouTubeにアップされているジュディの映像を参考に役作りを行なったそうだ。

『ジュディ 虹の彼方に』より | [c]Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

「実在の人物を演じる上でいいところは、大事なものごとはすでにできあがっていて、絶対に変えられないということ。それは不利な点でもあって、自分以外の誰かの声を代弁するという責任感も伴う。ジュディが歌っている映像をYouTubeで見始めたら、睡眠時間が取れなくなった(笑)。たくさんの映像があって、終わりがない。映像を一通り見終わっても、ほかにも違う解釈があるんじゃないか、違う角度から撮られたものがあるかも、長いバージョンやもっといい画質の映像があるはず、って。その中に、一般には知られていないジュディとの個人的な体験をアップロードしている人の映像があって、役を研究するにあたってとてもよい材料になった」。

役作りを通じてジュディ・ガーランドが過ごした数年間を追体験することについてレネーは、「この役を掴むのは、いままでの演技とは違った形のチャレンジだった。とても静かで、親密な経験だった。うれしいのは、挑戦そのものではなく、この経験で得たことが私の人生に異なる影響を与えていると感じられること。ジュディは素晴らしい“師”だったわ。粘り強さ、勇敢さ、歓喜とリスクを冒すこと。そして、“自分の声を見つける”ことを学んだわ。歌声のことだけを言っているんじゃなくて、比喩として声を詰まらせるということを学んだの」と語る。

現在、レネーは映画作りや脚本について学んでいるという | 写真:鈴木香織 [c]Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

現在、ハリウッドでは女性の地位向上やインクルーシブ(包摂性)を訴える声が年々高まっている。レネーは女性が映画業界で生きていくことについて積極的に語ったりはしていないが、業界における変化は感じ取っていると言う。今回のオスカーキャンペーンの最中、とあるトークショーでレネーは、『コールド マウンテン』でのオスカー受賞以降の16年間、映画作りや脚本について学んでいたと語っていた。今後、監督や脚本家としての彼女に出会うことはあるのだろうか?

「いくつかプロジェクトはあるの。ずっと脚本を書いているし、いくつか演出への興味を掻き立てる企画もある。いま、とても心を動かされている物語があって、その物語を語る“声”になりたいと思っているの。その作品の脚本家は、あるキャラクターについてどう描くかで行き詰っているんだけど、それ以外はまとまってきている。そして気づいたの。脚本家に頼るのではなく、その物語に共感している者が語らなきゃいけないんだって。そのことを友人で映画監督のパティ・ジェンキンスに相談したら、『そうね、監督にとって、演出しないという選択は演出するという選択と同じくらい重要なこと。なにをしないべきか、どんな時はやらないべきかを判断することが大事よ』とアドバイスされた。そのアドバイスで私は落ち着きを取り戻し、溜飲を下げることができたの。でも、もしまた同じように感じることがあったら…わからないけどね(笑)」。落ち着いて、言葉を選びながら会話をすすめていくレネー・ゼルウィガー。慎重な彼女なら、寄せては返す波を読んで、最高のタイミングで新しい冒険を始めることだろう。

取材・文/平井伊都子


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