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子供の頃は保健室が好きだった!? 『奇跡』に隠された是枝監督の思い

2011年6月10日 21:18

『奇跡』のできばえにとても満足していると語った是枝監督
『奇跡』のできばえにとても満足していると語った是枝監督[c]2011『奇跡』製作委員会

『誰も知らない』(04)で主演の柳楽優弥をカンヌ国際映画祭男優賞に導いたことで注目を集め、世界的に高い評価を受ける是枝裕和監督。そんな是枝監督の最新作『奇跡』が、6月11日(土)より全国公開される。両親の離婚によって離れて暮らす幼い兄弟と、彼らを取り巻く人々の姿を描く本作。主役はお笑い芸人でもある、まえだまえだの前田航基&旺志郎兄弟をはじめとする子供たちだ。何気ない表情や動きをとらえた映像には、素の彼らの姿を切り取ったようなリアリティがある。『誰も知らない』の時と同じく、子供たちへの演出は台本なしで行われたそうだが、その是枝監督流の演出とは?

「台本を使わないのは、子供たちの自由な姿を引き出したかったからです。映像もなるべく枠にはめないようにしているので、子供が走ったらカメラも追いかけて走る。そういう感覚でやっていましたね。あと、現場では怒らないようにしているのですが、これは大人に対しても同じことで。その方が子供たちが現場では自由にしてて良いんだなって思って、笑ったり、寝たりしてくれるんですよね」。

撮影が終わってからも仲が良いという子供たち。そこには、子供たちどうしを仲良くさせるという監督の意図があったようだ。「撮影の前からふたりとはお祭りへ行ったり、バーベキューしたり、映画の中で着ている服を一緒に買いに行ったりしました。そういう時間を重ねながら、セリフを考えたりしていったんです」。

実際、劇中で使われているセリフや行動などには、彼らから聞いた日常の出来事が随所にちりばめられているという。「ある時、まえだまえだのふたりに『どんなときにケンカするの?』って聞いたんです。すると、『ポテチのカスをどっちが食うかでケンカする』『あそこが味が一番しみててうまい』って言われて(笑)。それで面白いなって思って、兄弟がケンカした後、仲直りするシーンにポテチのカスを譲り合うっていうシーンを作りました。そしたら、やっぱり自然な感じになりましたね」。

子供たちの個性を作品に盛り込むことでリアリティを生み出す是枝監督。本作には、監督自身の体験と、伝えたいこと、そして実際に演じる子供たちの個性が絶妙なバランスで組み合わさって作品ができあがっているようだ。

「子供たちへのリサーチだけじゃなく、自分の過去を紐解いたりもしますよ。今回の作品で言えば、保健の先生と図書の先生が登場するんですけど、実は小学生の頃、意外と保健室とかに入り浸ってたんです(笑)。あそこは成績と関係のない、隙間の場所なんですよ。僕は、子供はその隙間を通って冒険に行くんだろうなって思っていて、でも、今はその隙間がなくなっちゃったから。子供が自分の住んでいる場所から離れて、外の世界を見ることに対して、皆、危ないって言うじゃないですか。家庭の中だと、それってじいちゃんか、ばあちゃんなんだと思うんです。そういうところは、自分の子供時代を反映させているかもしれませんね」。

是枝監督が子供を撮ることへのこだわりを持って、家族4人で一緒に暮らしたいという兄弟の切なる願いを優しく丁寧に紡ぎ出した本作。きっと見た人の心に優しさと、日々を生きる活力を与えてくれることだろう。【トライワークス】

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