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詩人からボクサーまで!進化し続ける窪田正孝のカメレオンぶり

2020年3月5日 15:00

背中で語る寡黙な漢からハイテンションでコミカルな刑事、彼女に頼りっぱなしのヒモなど、どんな世界にも染まることができる“カメレオン俳優”としてドラマや映画に引っ張りだこの窪田正孝。まもなく放送が開始となるNHKの朝ドラ「エール」の主人公にも抜擢されるなど、イケメン枠から演技派へと飛躍の時を迎えている。

そんな彼の実力を存分に堪能できるのが、立て続けに公開されている『ファンシー』と『初恋』だ。山本直樹の同名短編漫画を映画化した『ファンシー』は、彫師家業を営む郵便配達員の男と、彼がファンレターを届けている町外れに住む詩人、その詩人の熱狂的なファンだという1人の女性が織りなす奇妙な三角関係をエロスとバイオレンスと共に描いている。

『ファンシー』ではロマンチストの詩人を演じている窪田
『ファンシー』ではロマンチストの詩人を演じている窪田[c]2019「ファンシー」製作委員会

窪田が演じる詩人のペンギンというキャラクターは、人付き合いが苦手ながら粗暴な主人公・鷹巣(永瀬正敏)とはなぜか馬が合い、ロマンティストだが性的不能。氷風呂に身を浸したりと、どこか浮世離れしたキャラクターだ。月夜の星と称する熱狂的なファン(小西桜子)に対して、どもるようなしゃべり方などどこか挙動不審な仕草を見せたり、彼女に惹かれているのに抱けないジレンマに苦悩し、伏し目がちに一点を見つめ続けるうつろな表情を浮かべるなど、この掴みどころのない難役を窪田は静かだが心の機微を感じさせるような演技で表現。どこか幻想的な不思議な味わいを作品に与えている。

そんな彼をキャリアの初期から「ケータイ捜査官7」の主演に抜擢し「10年後に窪田を選んだ理由がわかる」とコメントするなど、高く評価していたのが恩師・三池崇史。彼の監督作に『13人の刺客』(10)以来ぶりに出演し、窪田が主演を務めているのが『初恋』だ。

窪田正孝のカメレオン俳優ぶりが止まらない!(『初恋』)
窪田正孝のカメレオン俳優ぶりが止まらない!(『初恋』)[c]2020「初恋」製作委員会

三池監督にとって初の恋愛映画となる本作は、試合でKO負けを喫し病院に運ばれたところ余命いくばくもないという衝撃の事実を突きつけられたボクサーが、男に追われる女性を助けたことからヤクザや悪徳警官から追われる身になり、女性と二人で逃亡するという物語。窪田が演じる主人公の葛城レオは天涯孤独なボクサーであり、鋭い目つき、佇まいなどソリッドな印象を放っている。一方、本作でも共演となった小西桜子が演じるヒロイン・モニカに対しては、不器用ながら温かみある眼差しを向けるなど、視線一つとってもカメレオン俳優の真骨頂とも呼ぶべき巧みな演技で、キャラクターの心の動きを体現している。

【写真を見る】窪田正孝の演技の幅がすごすぎる!(『初恋』)
【写真を見る】窪田正孝の演技の幅がすごすぎる!(『初恋』)[c]2020「初恋」製作委員会

また充分に時間を取って毎日ジムに通い、打ち込みや縄跳びなどのメニューをこなし準備に取り組んだというアクションもキレ味抜群で、その鍛え上げられた肉体から繰り出されるパンチのスピード感やスマートなフォーム、立ち回り方などボクサーという説得力を生み出している。

かたやロマンチストの詩人をどこか幻想的に、かたや余命わずかなボクサーを確かなアクションと共に体現しており、この2作品だけでもそのギャップの振り幅の大きさに驚かされる窪田の演技。この機会に、ぜひスクリーンで観比べてみてほしい!

文/トライワークス

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