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Netflixオリジナルシリーズ「FOLLOWERS」の蜷川実花監督、SNSで「エゴサーチはします」

2020年2月27日 20:00

Netflix配信のオリジナルシリーズ「FOLLOWERS」の蜷川実花監督
Netflix配信のオリジナルシリーズ「FOLLOWERS」の蜷川実花監督撮影/山崎伸子 ヘアメイク/早坂香須子(W) スタイリング/斉藤くみ

2019年は『Dinerダイナー』や『人間失格太宰治と3人の女たち』など、独自の世界観を炸裂させた快作を放った蜷川実花監督が、2020年最初に贈る映像作品は、Netflix配信のオリジナルシリーズ「FOLLOWERS」(2月27日より世界190か国に独占配信)。本作で、きらびやかな“TOKYO”を舞台にたくましくサバイブする女性たちの夢や希望、葛藤や挫折などを生き生きと活写した蜷川監督に話を聞いた。

主人公は、中谷美紀演じる写真家の奈良リミ。仕事で成功を収め、恋をしても決して相手に依存しないリミだったが、子どもが欲しいと思い始めてから、本腰を入れて相手を探し始める。また、もう1人、ストーリーの軸となるのが、女優志望だが鳴かず飛ばずの日々を送る百田なつめ(池田エライザ)。ところがある日、リミが撮ったなつめの写真をSNSにアップしたことで、なつめにチャンスが舞い込んでくる。

蜷川監督が、本作の企画を自らNetflixに持ち込んだのは、忖度せずに自分が作りたいものを撮りたかったからだという。「地上波など、お金を払わなくても誰もが観られるメディアで作品を作る場合、観る人全員に寄り添ったものを作れる自信がないし、そこを気にすると作品の角がどんどん取れていってしまう。だから今回は、“選んで観てもらえるメディア”でやったほうがいいかなと思いました」。

「中谷美紀さんは芯が強い女性で、主人公とシンクロしている」

主人公は、中谷美紀演じる写真家の奈良リミ
主人公は、中谷美紀演じる写真家の奈良リミ

中谷、池田をはじめ、夏木マリ、板谷由夏、コムアイ、中島美嘉らが演じる女性たちのライフスタイルは十人十色で、現代を生きる女性の多様性を映しだしている。もちろん、蜷川監督ならではの、ヴィヴィッドで艶やかな映像美が、本作の世界観をより鮮やかに彩っていく。

凛とした立ち居振る舞いが、女性の目から見ても魅惑的なリミ。「中谷さんは芯が強い女性なので、そういう意味ではリミとシンクロしていたかなと思います。髪も金髪にしてもらったのが良かったなと。中谷さんとリミとでは違う部分もたくさんあったと思うので、金髪にすることでスイッチが入るのではと思いました」。

また、池田については「若いのに、自分が相談事をしたくなるくらい、すごくしっかりしています」と、頼もしさを感じていたことを明かした。「彼女はデビューが早かったので、いろいろ迷ったり、がむしゃらだったり、生意気だったりした時期を思いだしながらやってくれたと思います。リミとなつめの関係性のように、私がエライザから学んだこともたくさんあります。若い子が発する言葉や考え方が新鮮だったし、おもしろいなと思いながら一緒に時間を過ごしていきました」。

夏木マリが演じる、リミの友人で実業家の田嶌エリコには、かなり年の離れた恋人がいる。蜷川監督は、夏木について「あんなにすてきに年齢を重ねているカッコいい女性は、なかなか日本にいないし、温かさもある」ということで、エリコ役をオファーしたのだという。「実際に演じてもらったら、エリコ役に説得力が出てすごく良かったと思います。マリさんは『久しぶりに“女”を演じた』と言っていました(笑)。実際は相手役の笠松くんとかなり年の差がありましたが、画にしたら全然違和感がなかったし、こうあったらいいよねという思いも込めて、恋する乙女になってもらいました」。

「自分がやりたいことや大切に思っていることから逃げちゃダメ」

リミの仕事仲間を演じる夏木マリ、板谷由夏、金子ノブアキ
リミの仕事仲間を演じる夏木マリ、板谷由夏、金子ノブアキ

蜷川監督によると「脚本はすごく難航した」とのことだが、脚本を寒竹ゆり、大浦光太と蜷川監督の3人が手掛け、練りに練られたせいか、本作の生々しくリアルな台詞が心に刺さる。「脚本は二転三転し、クランクイン直前までずっと書き直していました。最初に構造的なものを脚本家の方に作っていただきましたが、女性陣の台詞はほぼ私が書いています。私が普段思っていたことや、こういったインタビューでお話しているようなことを、これでもかというくらい入れ込みました」。

主人公のリミが写真家ということで、やはり蜷川監督の生き様を重ねてしまうが、本作で描かれる様々なエピソードは、監督自身の体験もあれば、知人や周りの人から聞いた話や、創作したものなどがミックスされているそうだ。

「私は“メモ魔”で、言われてうっとりした言葉やおもしろい言葉、日々思ったことなどを、携帯に書き溜めているので、その中から引っ張りだしたものが多いです。『ヘルタースケルター』(12)のころから書いているので、数年間分ものメモがあり、ドラマや映画の台詞に使っています。クランクインしてからも、毎日差し込みでどんどん台詞を変えていったので、けっこう大変で、リミの最初と最後のスピーチも、ギリギリまで考え抜きました」。

例えば「写真を撮ることでしか回復できない感情がある」という台詞も、蜷川監督が紡いだ言葉なので、とてもリアルに響く。

「あれは撮影直前に変えた台詞です。表現することでなにかに傷ついた時は、同じく表現することでしか回復できないことがあるし、やっぱり自分がやりたいことや大切に思っていることから逃げちゃダメだなと。ちゃんと向き合って、傷つく時は傷つかなきゃいけないと思っているので。ほとんどの台詞は、自分ならどう言うかなと思いながら考えました」。

池田エライザ演じる女優志望の百田なつめ(池田エライザ)の友人役にコムアイ、ゆうたろう
池田エライザ演じる女優志望の百田なつめ(池田エライザ)の友人役にコムアイ、ゆうたろう

また、SNS時代のいまを切り取った本作だが、蜷川監督はSNSに対してどう向き合っているのか。たとえばエゴサーチなどはするのだろうか?

「普段はしないけど、映画を公開した時にはエゴサーチをします。もちろんネガティブな書き込みも目に入りますが、おもしろくなりそうなことに対してはコメントをつけたりしますし、それで傷ついて体調をくずすこともないです。普段InstagramとTwitterをやっていますが、基本的にはポジティブなことしかあげない。私はたぶんSNSとの付き合い方や距離の取り方がわりと上手な方ではないかと思います」。

また、蜷川監督は「私はポジティブですが、なにかものを作る時の原動力が“怒り”だったりもするので、ネガティブな意見を聞いて奮起することからスタートすることもあるし、この人たちを黙らせたい、ということがエンジンになったりする時もあります。総合的に見れば、ネガティブなものは目にしないほうがいいという数値が出ているそうですが、映画を監督する時にはやっぱり見てしまう。でも、見るからにはそれをどうやってプラスに転換していけるか、みたいなことは常に考えています」。

日々闘いながらも気高く生きている「FOLLOWERS」の女性たちが織り成すリアルなドラマは、きっといまを生きる現代人の心に響く。それは、写真家として、映像作家として、情熱の赴くままに創作活動を続ける蜷川監督の血肉や魂が投影されているからだと実感した。

取材・文/山崎 伸子

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