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「いまも危機は終わっていない」池上彰が『Fukushima 50』トークショーで振り返った東日本大震災

2020年2月19日 20:40

『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)トークイベントに登壇した池上彰
『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)トークイベントに登壇した池上彰

マグニチュード9.0、最大震度7という、日本観測史上最大の地震となった東日本大震災時の福島第一原発事故を描いた映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)(3月6日公開)のトークイベントが19日、東京の神楽座で開催。ジャーナリストの池上彰を迎え、‟映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)のココを見ろ!ココに学べ!”と題された熱いトークが繰り広げられた。

福島第一原発事故の関係者90人以上への取材をもとに綴られたジャーナリスト、門田隆将のノンフィクション作品「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」が原作となっている本作。福島第一原子力発電所を舞台に、世界中が注目した現場では本当はなにが起きていたのか、なにが真実なのか。家族やふるさとを守るため、死を覚悟して発電所内に残った地元福島出身の作業員たちの知られざる‟真実”が明らかになる。

事故後1年経ってから、福島原発に行ったエピソードも披露
事故後1年経ってから、福島原発に行ったエピソードも披露

今作を観て、「改めて事実の確認ができた」と語る池上。当時、政府は半径250kmまで人が住めなくなるのではないかという最悪の事態も想定していたと話し、「もしそんな事態になっていたら東京にも人が住めなくなっていた。首都圏だけで3000万人もの人が国内避難民になっていたかもしれない。最後まで残ってくれた方たちのおかげで、我々はいまここにいられるんです」と、改めて当時の作業員たちに感謝の意を述べた。

原子力発電の仕組みについてわかりやすく説明しつつ、事故当時の状況をパネルを交えて説明する池上は、「実は当時から津波が10m以上になる可能性は想定できていた。あのころ、堤防のかさ上げをやっていれば、いまとは違った結果になっていたかもしれない」と語る。また、アメリカやフィンランドなど他国の例を挙げ、日本の現状について、まだまだ対応が遅れていることも指摘し、「なんとかしなければならない」と警鐘を鳴らした。

撮影秘話を語る椿プロデューサーと池上彰
撮影秘話を語る椿プロデューサーと池上彰

日本の映画で初めてアメリカ軍の協力を得て撮影されたという本作。その苦労を語ってもらおうと、壇上に急きょ椿プロデューサーが呼びだされることに。椿プロデューサーが、許可を取るのがいかに大変だったかという裏話を明かすと、会場からは驚きの声が上がっていた。

事故が起こったのは9年前だが、「いまも危機は終わっていない」と話す池上。いまも地下水が流れ込むことによって汚染水が出続けており、日々新たな汚染水が作り出されているという現状を語り、「いまもタンクに水を貯め続けているんです。でもいつかはタンクの置き場所もなくなってしまう」と、このままではいけないと話し、「当時の作業員たちの努力に報いるためにも、これからどうするかを考える必要がある」と、決して人ごとではない、いまも続く問題として受け止めてほしいと会場の人々に訴えていた。

また、いま世間を賑わせている新型コロナウイルスの問題についても触れ、「ダイヤモンド・プリンセス号の問題だってそう。あの中で感染の危険と背中合わせになりながらも頑張っている人たちがいる。私たちの知らないところで任務を果たそうと頑張っていらっしゃる方は、世の中にたくさんいるんです」と、責任感を持って現場を守っている人たちにも思いを馳せてほしいと呼びかけた。

取材・文/オチアイユキ

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