間宮祥太朗と桜井日奈子が語る『殺さない彼と死なない彼女』キスシーンの秘話 |最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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インタビュー 2019/11/14 21:00

間宮祥太朗と桜井日奈子が語る『殺さない彼と死なない彼女』キスシーンの秘話

『殺さない彼と死なない彼女』の間宮祥太朗と桜井日奈子
『殺さない彼と死なない彼女』の間宮祥太朗と桜井日奈子

漫画家の世紀末がTwitterに投稿し多くの反響を呼んだ四コマ漫画を、間宮祥太朗と桜井日奈子のW主演で実写映画化した『殺さない彼と死なない彼女』(11月15日公開)。本作は、このタイトルからは想像できないほど、“隠れ清純派”の青春映画に仕上がっていて、心を鷲づかみにされた。今回、初共演となった間宮と桜井に、互いに印象と本作の撮影秘話を聞いた。

間宮が演じるのは、高校生活に失望し、人に対して「殺す」と言うのが口癖の冷めた少年、小坂れい。桜井は、ネガティブで、周囲から孤立しているリストカット常習者のクラスメイト、鹿野ななに扮した。2人が、不器用なやりとりをしながらも、少しずつ互いの孤独な心を埋め合っていく。本作のメガホンをとったのは『逆光の頃』(17)の小林啓一監督だ。

「新鮮に反応してくれる桜井さんを見て、自分もそこに乗っかれました」(間宮)

間宮が演じるのは、人に対して「殺す」と言うのが口癖の高校生、小坂れい役
間宮が演じるのは、人に対して「殺す」と言うのが口癖の高校生、小坂れい役

山戸結希監督作『ホットギミック ガールミーツボーイ』(19)の直後に、本作の現場に入ったという間宮は、26歳ながらも制服姿に違和感はない。「山戸監督から『痩せてほしい』と言われ、役作りで減量したあとだったので、線も細くなっていて、制服を着るにはちょうど良かったんじゃないかなと。そもそも小坂は留年していて、鹿野よりも年上という設定だったのも幸いでした」。

間宮は「死ぬ」「死ね」という言葉が飛び交う小坂と鹿野の会話については「すごく雑なところが良かった」と話す。「通常の脚本は、1つの話題について1人がしゃべると、相手もその答えを戻すというように、すごく丁寧な会話が多い気がします。でも、今回の脚本はそうではなくて、僕たちの日常会話のようなやりとりが多く、すごく汚い言葉も使うので、そこに現実味を感じました」。

『ママレード・ボーイ』(18)や『ういらぶ。』(18)など、まぶしい青春ラブストーリーのヒロイン役が続いた桜井だが、心に闇を抱える鹿野役も、すんなりハマっている。「いままでキラキラした女子高生の役が多く、それとは対照的な役でしたが、鹿野のほうが演じていてしっくりきました。無理しすぎないテンションや、作り込まない心地のいいやりとりで進んでいけたので、そこは良かったと思います」。

間宮の印象について桜井が「いろんな顔を持っている方で、どんな人にも壁を作らない感じがします」と述べると、間宮は「というか、嫌いな人には『嫌い』と言うから、壁はないです」と補足。桜井は「そのさっぱりした感じが好感を持たれるんだと思います。ご一緒している時間は本当に楽しかったし、私は年下なのに、フラットな目線で接してくださいました」と感謝する。

【写真を見る】間宮祥太朗が桜井日奈子を抱きかかえる胸キュンシーン
【写真を見る】間宮祥太朗が桜井日奈子を抱きかかえる胸キュンシーン[c]2019映画「殺さない彼と死なない彼女」製作委員会

間宮も桜井について「すごく生真面目な方」と好印象だったよう。「自分がこうやろうと思ったことができなかった時、桜井さんは悔しさをぐっとかみしめる瞬間があります。きっと人に見られているという意識もあまりなくて、その瞬間は自分だけに向き合っている感じがしました。ある意味、不器用なのかもしれませんが、そこは印象的でした」と指摘。

桜井は「恥ずかしい!そこまで見られていたとはつゆ知らず」と紅潮する。「自分としては気持ちが不安定なお芝居しかできなくて、『ここは集中しなければ』というシーンでも、思うような表現ができないことが多いです。でも、自分がどう演じても、間宮さんは必ず受け止めてくれるので、私は自分のことに集中できたし、少しずつ不安がなくなっていきました。また、間宮さんは、私には咀嚼するのが難しい演技や演出について小林監督とディスカッションされていたのも見ていました」。

間宮が「それは、鹿野を動かすために、監督が僕に『こう変えてみてほしい』と提案されていたことです」と説明する。「小坂が変われば、必然的に鹿野も変わらざるを得ないので。特に今回は長回しのシーンが多かったし、テイク数もかなり重ねたので、そこは効果的だったかなと。それを桜井さんと打ち合わせをしないままやるのがいいと思っていて。僕が起こしたアクションに対して、新鮮に反応してくれる桜井さんを見て、自分もそこに乗っかることができました」。

「キスシーンは、寝ているふりをするのが苦でした」(桜井)

鹿野役では、無理しすぎないテンションが心地良かったという桜井日奈子
鹿野役では、無理しすぎないテンションが心地良かったという桜井日奈子

桜井は、後半のあるエモーショナルなシーンで、そんな間宮の機転に救われたそうだ。「テイクを重ねすぎると、出るものも出なくなったりするのですが、間宮さんがそうやって演技を変えてくれたことで、13テイクくらい撮った一番最後のカットで、一気にこみ上げるものがあり、ようやくOKが出ました」。

間宮もうなずき「そもそもそのシーンでは、小林監督が事前に『感情が出ちゃうシーンだから、段取りでは極力抑えてくださいね』と桜井さんに言っていたんです。それなのに彼女は、テストで感情をドバーッと出しすぎたんです(笑)。案の上、そのあとにやった本番1発目のテイクは『おや?どうした?』となってしまって。でも、めちゃくちゃ大事なシーンだから、そのシーンを延々と1日中撮ることになったんです」。

桜井は恐縮しながら「何度もテイクを重ねていくと、『おいおい、いい加減に決めてくれよ』と思われる方もいらっしゃるのですが、間宮さんはずっと集中して続けてくださったので、本当にありがたかったです」と頭を下げる。

「いや、僕はいいんですが、彼女は感情を吐露しなければいけないシーンだったから、自分で無理やり出すのもなにか違うなと思っていました」と間宮は言う。「しかもそんなに苦しんでいるなかで『次で撮れなかったら終わろう』という話になったんです。その言葉ほど、辛いものはないなと感じたので、僕自身も絶対に最後で決めようと思いました。それで、これまでとは違う感じでいったら、桜井さんもすごくいいリアクションをされました」。

その瞬間、手応えを感じたのかと桜井に尋ねると、無我夢中だったらしい。「ひたすら集中していました。お芝居をしているときは、いつも『よっしゃ!キタ!』と思った瞬間、自分の感情が引っ込んでしまうことが多いので、ただ、鹿野としてそこにいた感じです」。

間宮は「実はその時、隣の部屋から監督のすすり泣く声が聞こえてきたんです」と思いだしたように笑う。「こっちはめちゃくちゃ集中して、もうここしかないという状況でやっていたのに」と言う間宮だが、桜井は「そうだったんですね」とまた驚いていた。

『殺さない彼と死なない彼女』は11月15日(金)より全国公開
『殺さない彼と死なない彼女』は11月15日(金)より全国公開[c]2019映画「殺さない彼と死なない彼女」製作委員会

小坂と鹿野のナチュラルなやりとりが心地良い本作。普段は鹿野に対して「殺す」「死ね」といった暴言を繰り返す小坂だが、鹿野が寝ている時にそっとほっぺにキスをするくだりには、そのギャップに思わず胸がキュンとなる。

間宮は「小坂みたいに普段ズケズケ行く人が、あそこで口にいかないのが、プラトニックな感じでいいのかなと。台本には『キスをする』としか書かれてなかったので、そこも小林監督と話し合いました。監督も『口じゃないと思うんだよね』とおっしゃられていましたが、僕もほっぺかおでこだろうなと思っていました」と説明してくれた。

ちなみに桜井は「寝ているふりをするのが苦でした。目を開けたい気持ちでいっぱいでした」と言うが、間宮は「ダメだよ。台詞でも『いま起きたら殺すぞ』と言っていたし」とツッコむ。

間宮は実際にやってみて「やっぱり寝ている女の子の唇を奪うというのは“隙あり感”が出過ぎるし、あまり誠意を感じない」と感じたそうだ。「たぶん2人にとってファーストキスだったと思うし、小坂は留年していて彼女よりも年上だから、ほっぺになったと思います」。

キスシーンはもちろん、不意打ちともいえる“キュンキュン”トラップと共に、まさかの感涙シーンも待ち受けている『殺さない彼と死なない彼女』。さらに見終わったあと、未来へと背中を押してくれるような余韻も感じられる秀作だと思う。

取材・文/山崎 伸子

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