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深田晃司監督が合作映画を作る理由とは?日中仏の映画製作者が国際共同製作のいまを語る

2019年11月05日 7:00

「第16回文化庁映画週間」で国際共同製作に関するシンポジウムが開催!

本日11月5日まで開催されている第32回東京国際映画祭で4日、共催・提携企画の「第16回文化庁映画週間」のシンポジウム「国際共同製作の今を語る」が開催。中国電影合作制片公司顧問でプロデューサーのミャオ・シャオティエン、作曲家・脚本家・プロデューサーのロナン・ジール、『よこがお』(19)など積極的に海外との合作作品を手掛ける深田晃司監督、ジャ・ジャンクー監督作品などで知られる市川尚三プロデューサーが登壇した。

第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『万引き家族』(18)の是枝裕和監督が日仏の共同製作で手掛けた『真実』(公開中)や、今年の東京国際映画祭の特別招待作品に選出された日中合作の『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』(11月15日公開)など、近年機運が高まっている国際共同製作。昨年5月に日中映画製作協定が、今年2月には日仏映画協力協定が締結されたことで、今後さらに多様化していく可能性を秘めた国際共同製作の意義や魅力、将来の展望などについて、日本・フランス・中国それぞれの国の視点から語られていった。

日中合作映画で印象に残ってる作品として『空海 KU-KAI』を挙げたミャオ・シャオティエン

「日中合作映画の取り組み」で登壇したシャオティエンは、中国での国際共同製作の申請プロセスについて解説し、現在日本を含んだ22の国と中国が国際共同製作協定を結んでいることを明かす。そして「近年、多くの日本の映画人が中国の映画製作に参加されていて、中国の製作者も日本の映画に携わっている。このような協力は、日中双方の相互理解を促進することができる」と語り、「このような機会を通して協力関係を深めていけば、今後本格的な共同製作に取り組む時に非常に役に立つ。日中の映画製作者の協力をサポートしていきたいと思います」と述べた。

また、近年の中国の映画市場ではハリウッドの大作のみならずインディペンデント作品やアート系作品など多様な作品が興行的に成功を収めるようになったとのことで「この変化は、観客が寛容になりより多くの作品を楽しめるようになったのだと思います。なので日本のインディペンデント映画の製作者の皆さんも、この共同製作協定に基づいてどんどん申請していただければ。中国の映画市場は、多様なジャンルの映画を歓迎しています」と呼びかける。そして「中国と日本が協力していけば、北米を超える市場になる。双方の資本を使って素晴らしい作品を作りたいと思います」と意気込んだ。

フランスの助成金システムについて語ったロナン・ジール

続いて登壇したジールは「フランスにおける国際共同製作の現状と展望」として、ヨーロッパにおける共同製作の定義や、資金調達のプロセス、公的資金や商業的資金による助成金など、具体的にフランスで国際共同製作を行うための方法を解説。そして実際にフランスで映画を製作した日本人監督たちの実例として是枝監督や黒沢清監督、大島渚監督らの名前を挙げ、フランスで資金を獲得する時に必要になる厳しい要請事項“EUポイントシステム”についても丁寧に紹介していく。

そして結論として「フランスでパートナーを見つけることは可能。でも“フランス映画”として作るのはなかなか困難なことです。戦略を決めて、計画をはっきりするためにディールメモを交わしてください」と、ある程度の資金を確保した上で渡仏することや、経費などを明確化することを勧める。「皆さんの価値が認められれば、フランスで資金を確保するのは可能です。皆さんのプロジェクトの成功をお祈りしています」と会場に集まったクリエイターたちに向けて語った。

【写真を見る】国際共同製作で映画を作るには?世界各国の製作者たちが丁寧に解説

その後行なわれた「共同製作概論2019」では、先に登壇した2人に加えて深田監督と市山プロデューサーも登壇。市山プロデューサーは90年代にホウ・シャオシェン監督の作品に出資した経緯や、2000年代に入ってからのイラン映画への出資やジャ・ジャンクー監督作品を手掛けるようになった経緯などの実例を、フランスの公的な助成金申請の経験を織り交ぜながら語っていく。

また、深田監督も合作作品を手掛ける理由について「一つは合作にすることによって日本以外の文化圏で育った人たちのセンスや意見が入ってくることで、より豊かな作品になる。それがものづくりの上でのおもしろさでもあります。そして具体的にはお金です」と明かす。そして、日本はインディペンデント作品への助成金が少ないという実情に触れ「フランスやインドネシアと合作するのは大きな力になります」とコメント。質疑応答コーナーでも各国の国際共同製作へのスタンスの違いや今後の可能性などに関する質問に対し、予定時間を大幅に超過して活発な議論が交わされていた。



取材・文/久保田 和馬


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