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「破壊されたいと考えている」『IT/イット』完結編で描かれるペニーワイズの“変化”とは?

2019年10月30日 19:00

監督&プロデューサー&ビル・スカルスガルドの3人が『IT/イット』完結編を深掘り!
監督&プロデューサー&ビル・スカルスガルドの3人が『IT/イット』完結編を深掘り![c]2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

「ペニーワイズの中に“殺されてしまいたい”という願望があるところに、僕はすごく惹かれたんだ」。ホラー小説界の巨匠スティーヴン・キングの小説を原作に、2017年に全世界興収7億ドル突破のホラー映画史上ナンバーワンヒットを記録した『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』。その27年後の物語を描いた完結編『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(11月1日公開)を、前作に引きつづき手掛けたアンディ・ムスキエティ監督は、本作を象徴するキャラクター“ペニーワイズ”の変化について言及する。

「彼は子どものイマジネーションの中に生きる存在だから、前作の時には必死でサバイバルしようとしているキャラクターだった。生き続けるためには殺しつづけないといけない。殺し続ける限り、彼は生き延びられる」。そう語るムスキエティ監督に、ペニーワイズを演じたビル・スカルガルドは「でも前作で彼は、ルーザーズクラブの子どもたちにやっつけられそうになる。そんな経験は彼にとって初めてだったから、その仕返しをしたいと思っている。怒っているし復讐もしたい。でもその一方で、無意識のうちに破壊されたいとも考えているんだ」と、ペニーワイズの内面に秘められた複雑な心情を明らかにした。

ペニーワイズについて綿密に話し合ったというビル・スカルスガルドとアンディ・ムスキエティ監督
ペニーワイズについて綿密に話し合ったというビル・スカルスガルドとアンディ・ムスキエティ監督[c]2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ムスキエティ監督は本作を作る上で、ビル自身がペニーワイズというキャラクターに共感できることを大事にしたと明かす。「僕とビルは何時間もかけて話し合いをしたんだ。彼がペニーワイズにどのようにアプローチするのか。ビルの頭の中を毎日確認することはしなかったけれど、ペニーワイズはどうあるべきなのかや、どのように怖い存在なのかといったコンセプトのようなものを、たっぷりと話し合うことにしたんだ」。それにはビルも「今回は2度目なので、僕もアンディもよくわかっていた。ペニーワイズはとても技術が必要な役なので、スムーズにコミュニケーションが取れたことは良かったと思っている」と語る。

「そうした話し合いを通して僕らが決めたことの一つが、“ペニーワイズは予測がつかない”ということだ」とムスキエティ監督は明かす。「そこからスタートしたので、ビルは僕を驚かせるようなことを次々にやってくれた。撮影を始める前に僕は、それぞれのシーンをどう編集するつもりなのかについてビルに話していた。そして彼にそれぞれのテイクでまったく異なるパフォーマンスをやってもらい、それらを編集で組み合わせていった。かなり実験的なことをしたと自分でも思っているが、予測がつかないものは予定ができない。予定通りにやったら生まれないものを期待していたからね。そのおかげですばらしいものになったと自負しているよ」。

【写真を見る】ビル・スカルスガルドがペニーワイズの複雑な心情を告白!?
【写真を見る】ビル・スカルスガルドがペニーワイズの複雑な心情を告白!?[c]2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

さらにビル自身も、ペニーワイズを演じる上で「共演者を怖がらせることでも観客を怖がらせることでもなく、ルーザーズクラブをはじめとした登場人物たちを怖がらせること」を重視したと告白。「いくつか新しいやり方も使ってみたけれど、前回も今回も同じアプローチで演じたんだ」と、子どもから大人に成長したルーザーズクラブの面々との関わり方について語っていく。

「彼らはもう大人だから、怖いと感じることも大人なりになっている。けれども彼らの中にはまだ未熟な部分がある。この映画が見せるように、彼らは子どもの頃の恐怖体験を拭い去ることができず、大人として完全には機能していないんだ。だからペニーワイズはルーザーたちを挑発する。『僕は君を知っているよ。君は怖がっている小さな子どもだ』とね。ペニーワイズは彼らを大人として見ていない。ビルのことはビルとして、スタンリーのことはスタンリーとして見ているんだ。それにこの映画は本当に見事なキャスティングをしていて、大人になった彼らと子ども時代の彼らがちゃんと同じ人に見えるからね」。

また劇中で、おなじみの白塗りのメイクではない素顔に近い姿も披露したことについて「メイクをしていないけれど、あれもまだ違うメイクをしているんだ(笑)。撮影当日に初めてあのメイクをやったんだけど、そのルックスがとても気に入って、写真も撮ったり良い気分でセットを歩き回ったよ」と楽しそうに振り返るビル。「彼は完全にペニーワイズではない、なにか別のものだ。今回の撮影では何度も頭が爆発しそうになったが、これもそのひとつだった。実際に本編で使われていたのは、僕が即興で演じたもので、脚本ではああじゃなかった。現場であのような奇妙で怪物的なものが生まれていったんだよ」と強い自信をのぞかせていた。

プレミアに出席したアンディ・ムスキエティ監督と、プロデューサーのバーバラ・ムスキエティ
プレミアに出席したアンディ・ムスキエティ監督と、プロデューサーのバーバラ・ムスキエティ[c]2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ムスキエティ監督と言えば、本作でプロデューサーを務める姉のバーバラ・ムスキエティと手がけた短編映画を自ら長編リメイクした『MAMA』(13)で脚光を浴び、前作の監督に抜擢。一躍ハリウッドのヒットメーカーの仲間入りを果たした。単なるホラー映画とは違う複雑なテーマ性を携えた本作を作るにあたり、“子ども時代のトラウマを乗り切ることができても、それを完全に捨て去ることはできない”ということを重視したというムスキエティ監督は「信じることというのはひとつの武器になり、それが彼ら自身を守ってくれている」と語り、本作のテーマをわかりやすく表現しながらも本編からカットされてしまったシーンを教えてくれた。

「マイクがペニーワイズに『あなたを助けに行きます。いまの僕はあなたを信じています』と言い、ペニーワイズは『彼らは僕を信じるんだよ』と言うシーンがある。子どもが大人になった時に失うものには想像力がある。本当は何もないのに、そこに何かがあると信じる力だ。マイクはペニーワイズを信じてしまうわけだが、それはルーザーズをふたたび子どもにするというペニーワイズの得意技だ。でもルーザーズも、ペニーワイズに勝つためには子どもに戻らなければならない。言ってみれば、ペニーワイズとマイクはチェスをやっているようなものだ。映画のペースを落とさないためにカットしたシーンだけど、惜しいとは思っていないよ」。

それについて、プロデューサーのバーバラも「この映画の最も大きなメッセージは、いつかその傷口に直面しないといけない時が来ると言うこと」と補足する。「それをやらないままだと、人生を100%生きられない。大きさは違ったとしてもトラウマは誰にでもあるもの。だけど、それを完全に取り除くことは無理。ルーザーズは27年を経て団結することで、ペニーワイズに立ち向かう勇気を得る。でもペニーワイズは彼らの絆を分断させることのプロ。ルーザーズを分断することで勝とうとするけど、彼らは子どもの頃の、傷がまだ新鮮だった頃の自分たちはどうだったのかと思い出すことで勝利を目指していくの」。

ルーザーズはペニーワイズに勝つために、子ども時代のトラウマと向き合っていく
ルーザーズはペニーワイズに勝つために、子ども時代のトラウマと向き合っていく[c]2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

これまで数多くの著作が映画化されてきた原作者のスティーヴン・キングも「ラストは最高だ!」と、本作のクライマックスに熱烈な賛辞を送っている。はたして、子どもの頃のトラウマに立ち向かうルーザーズ・クラブのメンバーたちとペニーワイズとの最終決戦の結末は…。そしてついに明らかにされるペニーワイズの正体と目的とは?是非とも劇場で、恐怖と感動の両方が待ち受ける圧巻のクライマックスを堪能してほしい!

構成・文/久保田 和馬

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