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周防正行監督、デビュー作の秘話や最新作『カツベン!』に込めた想いを熱弁!

2019年4月27日 18:32

『Shall we ダンス?』(96)や『舞妓はレディ』(14)などで知られ、これまで日本アカデミー賞最優秀監督賞を2度受賞している周防正行監督が27日、早稲田大学の人気講義「マスターズ・オブ・シネマ」に登壇。映画界に入ったきっかけや、これまで手掛けてきた作品のマル秘エピソード、そして12月に公開される最新作『カツベン!』についてなど、約1時間半にわたり現役の学生たちに向けて語った。

周防正行監督が早稲田大学の講義に登壇!
周防正行監督が早稲田大学の講義に登壇!

冒頭、周防監督は立教大学の学生だった時代に高橋伴明監督と出会い、ピンク映画の現場に出入りするようになったことから話をはじめ、84年に公開された監督デビュー作『変態家族 兄貴の嫁さん』で日本映画界の巨匠・小津安二郎監督のテイストを再現した理由について告白。「助監督をやっているうちに、なにを撮っていいのかわからなくなった。どうしようと思っていた時に、大好きな世界を撮りたいと思って小津監督の映画にしました。ピンク映画という枠組みの中で徹底的に小津映画のモノマネをするとどうなるのか。僕にとっての卒業研究のようなものでした(笑)」。

そして「映画を作りながら気付いたのですが、オリジナリティや個性というものは出そうと思って出すものではない。隠そうと思っても出てしまうもの」と力強く語る周防監督。出席した学生の多くが小津監督の作品を観たことがないということに苦笑いを浮かべながらも「少なくとも戦後の小津作品を観てから(『変態家族 兄貴の嫁さん』を)観ていただければ楽しめるかと思います」と述べた。

『Shall We ダンス?』をはじめ、数多くの傑作を世に送り出してきた周防正行監督
『Shall We ダンス?』をはじめ、数多くの傑作を世に送り出してきた周防正行監督[c]2019「カツベン!」製作委員会

さらに周防監督は「自分が興味を持てる世界しか描かない。その世界に出会って、知りたいというところから始まるんです」と自身の作家性について言及。「取材をしていくことは楽しい。『おもしろいけれど、なぜおもしろいのか?』を追求していくんです」と語り、興味を持った世界に初めて踏み入れた時の驚きや喜びを忘れずにいることを大切にしていると明かす。「取材をしていると、最初に疑問に思ったことが当たり前になる。でも映画を観てくれる人はその世界をほぼ知らない人たち。観客と特殊な世界を結ぶために、登場人物は相撲の世界に入る学生であったり社交ダンスを始めるサラリーマンと、観客に近い素人を置いていくんです」。

その後『Shall We ダンス?』の抜粋映像を参考にしながら、いまなお絶大な人気を誇る同作の着想のきっかけや、劇中の表現方法なども深掘り。「東横線の駅から見える雑居ビルの社交ダンス教室を見つけて、子どものころからダンス教室ってあったなと思う一方で、そこに通っている人を誰も知らない。どんな人が通っているのかとか、もしその場所に美しい人がいたら心ときめくかもしれないと思ったのがきっかけです」と明かし「途中下車したサラリーマンの冒険として映画が撮れそうだと思ったんです」と振り返った。

【写真を見る】成田凌、黒島結菜ら新たなキャストを迎え、日本映画の“一歩目”を描き出す!
【写真を見る】成田凌、黒島結菜ら新たなキャストを迎え、日本映画の“一歩目”を描き出す![c]2019「カツベン!」製作委員会

そして最新作『カツベン!』について語り始めた周防監督。最新作で描くのは日本映画黎明期に活躍した活動弁士。何故このテーマを選んだのかと訊かれると「フィルムからデジタルへの大転換が終わり、映画がどんな形で作られて観られてきたのかをおさらいしたかった。映画を作る人でも、フィルムを見たことも触ったこともない人が生まれている時代。多くの若い人に、映画が発達してきた一歩目を見てもらいたいなというのがきっかけです」と、映画人ならではの熱い想いをあらわにし、日本独特の文化である活動弁士の歴史や当時のサイレント映画を取り巻く環境についても丁寧に解説。

最後に「映画を勉強している若い人ですら昔の映画を観なくなっている。でも、ずっと続いて積み重ねられて技術革新があって、いま公開されている映画がある。その第一歩を見てもらうと、映像表現の歴史を見るだけでなく、これから観る映画の面白さを発見することにつながる」と語り、「この映画全体に通じているアクションの表現もサイレント映画のアクションシーンをイメージし、映画全体の仕組みとしても活劇と言われた時代のものにしようとしています。講義のようなものではなく、エンタテインメントの中に日本映画の歴史が少しずつ刻み込まれていくようなものにしようと思っています。映画って、こんな風に進んできたのだなと感じてもらえればありがたいと思います」と結んだ。

取材・文/久保田 和馬




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