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長江俊和×都市ボーイズ 「放送禁止」生みの親が語る恐怖のメソッドとは!?【ドラマ「東京二十三区女」特別鼎談】

2019年4月19日 21:00

【写真を見る】「放送禁止」シリーズの生みの親、長江俊和が語る恐怖のメソッドとは!?
【写真を見る】「放送禁止」シリーズの生みの親、長江俊和が語る恐怖のメソッドとは!?

WOWOW初のホラーミステリードラマとして、4月12日に第1話が放送された「東京二十三区女」(毎週金曜24時~ 全6話)。本作は、人気のバラエティ番組「奇跡体験!アンビリバボー」や、“ストーカー被害”“隣人トラブル”“自殺”など、様々な社会問題を題材にしたフェイクドキュメンタリーとして、根強いファンを持つ「放送禁止」シリーズなどを手掛けた映像作家、長江俊和の同名小説をドラマ化した作品だ。

本作では、倉科カナ、安達祐実、桜庭ななみ、壇蜜、中山美穂、島崎遥香という豪華女優陣が1話ずつ主演を務め、渋谷区、江東区、豊島区、港区、板橋区、品川区に実在する恐怖スポットについての伝承や、隠された歴史を浮き彫りにしていく。

今回Movie Walkerでは、これまで様々なメディアで“リアルな恐怖”を世に送りだしてきた長江監督と、都市伝説やオカルトについて詳しい若手放送作家コンビ「都市ボーイズ」の岸本誠と早瀬康広との鼎談を実施!前編では「東京二十三区女」の制作秘話について伺ったが、後編では、 “恐怖を演出すること”について、話を聞いた。

長江監督、興味深い話を連発!
長江監督、興味深い話を連発!

「日常にある恐怖とエンタメを融合させるために、リアルな出来事を“利用している”」(長江)

岸本誠(以下、岸本)「前編では『東京二十三区女』の話を中心にお話を聞かせていただきましたが、僕らも放送作家として働いているので、後編では長江監督の “仕事のコツ”などをお伺いしたいなと思っております。これまで『放送禁止』シリーズや『アンビリバボー』などで、“日常に潜む恐怖”をエンタテインメントに落とし込んでこられたと思うのですが、それはご自身の身近にある出来事から発想されるのですか?」

長江俊和(以下、長江)「『アンビリバボー』は実際にあった出来事を紹介する番組なので、ちょっとスタンスが違いますが、『放送禁止』や今回の『東京二十三区女』についてはそうですね。僕の作品は驚愕のラストで終わるものや、荒唐無稽な話が多いので、フィクションの世界に、如何に「リアル」を取り入れるかに腐心しています。僕は筒井康隆や安部公房などの不条理などこかSF的な作品が好きで、ミステリーにしても、どこかぶっ飛んだ話が好きなんです。『放送禁止』シリーズはどれも信じがたい話や驚愕のラストを迎えるものが多いので、視聴者が身近だと感じるような演出をしました。『これ、リアルだな』『こういうことって自分の身の回りでもありそうだな』と思わせて、最後のびっくりするようなオチさえも『これって実際にあったことなのかも⁉』と感じてもらえるようにしたんです。その方法は『東京二十三区女』でも使っていますが、やはり “身近な”とか “本当にありそうな”という要素をストーリーラインに入れ込むことで、グッと視聴者を惹きつけられるんです」

岸本「今回も、そういった演出に、まんまとやられました!」

長江「『東京二十三区女』の企画立ち上げ当初は、世界の実話ホラーをテーマにしたものを作ろうという話をしていました。でも、視聴者が住んでいたり、行ったことがあったりする身近な場所をテーマにして、実はそこには怖い場所や恐ろしい歴史があった!というふうにするほうがおもしろいのではないかという話になり、本作が出来上がりました」

岸本「なるほど、そういう経緯があったんですね」

長江「そういう意味でいうと、日常にある恐怖とエンタメを融合させるために、リアルな出来事を“利用している”というのが正しいかもしれません」

 第6話「品川区の女」で主演を務めた島崎遥香
第6話「品川区の女」で主演を務めた島崎遥香

「墨田区は“バラバラ殺人事件”発祥の地とも言えるんです」(長江)

早瀬康広(以下、早瀬)「本作では描かれなかった別の区で、やってみたい場所や構想などあったりするんですか?」

長江「4月30日に小説『東京二十三区女』の続編が出版されるのですが、そこでは今回のドラマで描かれた豊島区に加え、墨田区、葛飾区、千代田区をテーマに書いています。墨田区には、永井荷風の小説『濹東綺譚(ぼくとうきたん)』の舞台になった街があるんですよ。いまは普通の商店街なんですが、そこには戦前、私娼窟(ししょうくつ)と呼ばれる、いわゆる“赤線地帯”などにいた国が認めた公娼ではなく、許可なく商売をしている娼婦たちがいる一画があったんです。その私娼窟に永井荷風が通っていて、『濹東綺譚』はそこをテーマにしているんです」

岸本「なるほど、これまた興味深いテーマですね」

長江「『濹東綺譚』が書かれたのは1937年なんですが、その5年前に同じ地域のドブの中から、人間の断片がいくつか見つかる事件が起きていて、それをはじめて朝日新聞が “バラバラ”という言葉を見出しに付けて紙面で取り上げたんです。だから、墨田区は“バラバラ殺人事件”発祥の地とも言えるんです。それら2つの要素を合体させた話を作れないかなという発想で書いた話なので、ぜひ読んでみてください」

放送作家として共感する部分も多いよう
放送作家として共感する部分も多いよう

「ノリとしては『ドリフ大爆笑』の“もしもシリーズ”を作っているような感じです」(長江)

岸本「ミステリーやオカルトだけでなく、バラエティなどもこれまで数多く手掛けてこられた長江監督ですが、“笑い”の要素も人を怖がらせるものを作るときに活かされていたりしますか?」

長江「僕自身が関西出身なんでね。子どものころから吉本新喜劇やお笑い番組が、毎日のようにテレビで流れている環境で育ったので、“笑い”というものはすごく好きです。なにかおもしろいことを言った時とかに、人がワーッとウケてくれるとカタルシスを感じますね」

岸本「ウケたときのあの感覚を味わうと忘れられなくなりますよね」

長江「お客さまや読者、視聴者を怖がらせることと、笑わせることって、どこか表裏一体だなと思うんです」

岸本「そうですよね。さっきまで笑える状況だったからこそ、いざ恐い展開になったときのギャップで更に恐く感じるというか。 “緊張と緩和”、逆に“緩和からの緊張”を問答無用で人に突きつけるのがホラーみたいなところがありますもんね」

長江「例えば『放送禁止3 ストーカー地獄篇』の伏線になっている『新幹線がパパを殺した』っていう言葉を思いついた時、笑い止まらなかったです。ダジャレかよ!と思いながら(笑)」

早瀬「あの言葉で、物語の謎が解けるんですよね!それまで、ストーカー被害に悩む女性の話だと思って観ていた視聴者は“新幹線”というワードが、ある人物のことを指していると気付き、ストーカー被害の裏に隠されたもう1つの真実が浮かび上がってくる。オチとしてはゾッとしますが、たしかにあれはダジャレですね」

長江「『放送禁止』なんかは、僕自身が『こんなドキュメンタリーを見てみたい』と思うものをテーマに、『そのドキュメンタリーがこんなとんでもない展開を見せたらおもしろいだろうな』と考えるんです。フェイクドキュメンタリーだから、内容はこちらでコントロールできるので。だから、ノリとしては『ドリフ大爆笑』の“もしもシリーズ”を作っているような感じです」

岸本「なるほど!大喜利的な要素があるということですね。たしかに、視聴者が考えている『このあとこうなったら、すげーだろうな』という展開が、本当に描かれるからびっくりするんですよね」

長江「もしもシリーズって、“もしもこんなタクシー運転手がいたら”とか、そんな感じじゃないですか。『放送禁止』も“もしもこんな大家族がいたら”とか、“もしもこんな隣人がいたら”とか、そんな発想の仕方で作ってました」

早瀬「『放送禁止5 しじんの村』は、特に大喜利的な感じがしますね」

長江「そうですね(笑)『放送禁止5』は、僕が最初にプロットを書いた時は“自殺志願者たちのあいのり”だったんですよ」

早瀬「えぇーっ!?そのテーマも興味深いですね」

長江「そこから紆余曲折あって、逆のスタンスの“自殺を止める人たちの話”になったんです」



WOWOWオリジナルドラマ「東京二十三区女」(全6話) 毎週金曜24時放送

第1話「渋谷区の女」主演:倉科カナ
※WOWOWプライムにて、4月29日(月・祝)23時に再放送
第2話「江東区の女」主演:安達祐実 4月19日(金) 24時
第3話「豊島区の女」主演:桜庭ななみ 4月26日(金) 24時
第4話「港区の女」主演:壇蜜  5月3日(金・祝) 24時
第5話「板橋区の女」主演:中山美穂  5月10日(金) 24時
第6話「品川区の女」主演:島崎遥香  5月17日(金) 24時

WOWOWオリジナルドラマ「東京二十三区女」番組サイト
https://www.wowow.co.jp/drama/tokyo23ku/

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