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韓国中を震撼させた『コンジアム』監督が語る、ホラー映画に必要な“変化”とは?

2019年3月24日 21:00

昨年3月に韓国国内で公開されるや、スティーヴン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』(18)を抑えて週末動員ランキングで見事1位を獲得。最終的に韓国ホラー映画史上2位となる観客動員記録を打ち立てた『コンジアム』が、3月23日についに日本上陸した。あまりの恐怖に若者の間では「#コンジアム全然怖くない」という言行不一致のハッシュタグが流行するほどの盛り上がりを見せた本作について、メガホンをとったチョン・ボムシク監督は「自分で作った作品ですからね、全然怖くないですよ」と含みをもたせた笑顔で語る。

インタビューでチョン・ボムシク監督のホラー映画への想いが明らかに! | [c]2018 showbox and HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED.

物語の舞台となるのは、青木ヶ原樹海やチェルノブイリ遊園地と並び、世界7大心霊スポットに選ばれた、ソウル近郊にある「コンジアム精神病院」。「韓国のYoutuberにとっては肝試しの聖地のひとつで、初めはフェイクドキュメンタリーを作るなら実際にある廃墟を使うのがおもしろいだろうと思ってこの場所を選んだ」と、ボムシク監督は説明。

劇中ではYouTubeで人気を博すチャンネル「ホラータイムズ」のメンバーが、一般からの参加者とともにコンジアム精神病院に潜入する様子が描かれている。100万アクセスを目標に、様々な噂が飛び交う病院の中を探索していく7人の若者たちは、原因不明の怪現象に遭遇していく。そして“開かずの間”として知られる“402号室の呪い”の真実に直面することに。「実際にある、院長が自殺したという噂、開かずの間があるという噂をもとにして、現代的な要素を絡めながらストーリーを作っていった」とのことだ。

無事にコンジアムから脱出することができるのか? | [c]2018 showbox and HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED.

ホラー映画といえば、実際に撮影現場でも怪現象が起こるという話をよく聞く。本作でもなにかあったのか訊ねてみると、さすがは“怖いもの知らず”のボムシク監督。流暢な日本語で「ないです」と即答。しかし、ある興味深いエピソードを教えてくれた。本作ではソウル近郊にあるコンジアム精神病院とは別に、もうひとつ釜山にある廃坑の寄宿舎だったという廃墟でも撮影が行われている。

「撮影が中盤にさしかかった頃、あるスタッフからこの場所もかなり有名な心霊スポットだと教えられたんだ。それを聞いた途端に、スタッフと俳優が一気に凍り付いてね」と楽しそうに振り返る。「でもコンジアムに比べれば“小物”しかいないことはすぐにわかったよ。どうやらいまでは釜山の近くに住んでいるユーチューバーたちにとって、その場所が“『コンジアム』の撮影をした場所”として新たな聖地になっているみたいだね」と、期せずして “もうひとつのコンジアム”を生みだしてしまったのだという。

【写真を見る】閲覧注意!最恐心霊スポットの内部にカメラが潜入<写真23枚> | [c]2018 showbox and HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED.

また本作では、6タイプ19台のカメラを駆使して作りだされた臨場感たっぷりの映像によって、観客をたちまちコンジアム精神病院の空間へといざなう演出が見どころとなる。「すでに使われているフェイクドキュメンタリーの手法に便乗することもできたけれど、それよりも一歩進んだものを撮りたいという気持ちが強かった」と、その意図を明かしたボムシク監督。ほとんどのシーンが撮影監督ではなく俳優自身が撮影した映像で構成される本作は、通常の商業映画の3倍にも及ぶ映像素材を、実に13か月もかけて編集したということも教えてくれた。

これまで『1942奇談』(07)や「ホラー・ストーリーズ」シリーズなど、ホラー映画にこだわりつづけてきたボムシク監督。「映画の見せ方や観客の趣向が目まぐるしく変化していくなかでも、ホラー映画に観客が期待することだけは変わっていない。けれどもいままでと変わらない手法が続いていたことで、観客は飽きてしまって韓国のホラーは低迷期に入っていた。ハリウッドは常に変化を求めて新しいものを作るが、韓国はそうではなかった」と韓国ホラー界が抱えていた“マンネリ化”という問題を指摘。

全部で19台のカメラを駆使して臨場感たっぷりの映像が実現! | [c]2018 showbox and HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED.

「でもホラー映画を好きな人はたくさんいるのだから、観客の思考を徹底的にリサーチして、違う視点で攻略していかなければいけない」と力説。98年に始まった「女校怪談」シリーズや、アン・ビョンギ監督の『ボイス』(02)やキム・ジウン監督の『箪笥』(03)など、2000年前後に最盛期を迎えた韓国ホラー界は、本作の登場によってふたたび輝きを取り戻そうとしている。これは、同じように低迷がつづく日本のホラー映画界にとっても、新たな活路を見出すヒントになるのではないだろうか。

取材・文/久保田 和馬

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