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現代にも根深く残る闇…驚愕の実話を描いた“KKK”が登場する映画<4選>

2019年3月24日 20:00

巨匠スパイク・リー監督が、脚色賞で初めてアカデミー賞を受賞したことでも話題の『ブラック・クランズマン』(3月22日公開)。黒人のアメリカ社会における立場を描き続けてきたリー監督が本作で題材にしているのが、白人至上主義団体・KKK(クー・クラックス・クラン)だ。そんな本作の公開を機に、KKKとその時代背景を描いた映画を紹介していきたい。

スパイク・リーの積年の怒りが詰まった『ブラック・クランズマン』

【写真を見る】KKKを手玉に取った黒人刑事とは?(『ブラック・クランズマン』) | [c]2018 FOCUS FEATURES LLC, ALL RIGHTS RESERVED.

黒人刑事がKKKに潜入捜査を行ったという衝撃的な実話を映画化した本作。1970年代後半のアメリカ・コロラド州コロラドスプリングスを舞台に、街で初めて黒人刑事として採用されたロン(ジョン・デヴィッド・ワシントン)が、白人刑事フィリップ(アダム・ドライバー)の力を借りながら、電話口はロン、直接の対面はフィリップといったように、2人で1人の“白人至上主義者”になりすましてKKKに潜り込み、企みを暴くという物語だ。

耳を疑う実話ばかり!KKKを描いた映画たち(『ブラック・クランズマン』) | [c]2018 FOCUS FEATURES LLC, ALL RIGHTS RESERVED.

どこか間抜けに描かれているKKK(『ブラック・クランズマン』) | [c]2018 FOCUS FEATURES LLC, ALL RIGHTS RESERVED.

ロンがKKKとの電話口で黒人をこき下ろしまくってドヤ顔を決めたりと、KKKをコケにしたようなユーモアを交え、軽快に話が進んでいく本作。しかし根底には、KKKによる教会爆破で亡くなった子どもたちを題材にしたドキュメンタリー『フォー・リトル・ガールズ』(97)など、人種問題を長年扱ってきたリー監督の差別に対する怒りが存分に詰まっているのだ。

映画史上最大の問題作『國民の創生』

『ブラック・クランズマン』では、黒人視点からの差別に対する怒りが描かれているが、視点が変わると立ち位置も大きく変わってくる。白人の視点からKKKを描いているのが、1915年の映画『國民の創生』だ。本作は、南北戦争とその後の連邦再建の時代を舞台に、アメリカ北部のストーンマン家と南部のキャメロン家という2つの名家が分断され、やがて結ばれるまでをつづった一大叙事詩だ。

映画では名家たちの間に数々の困難が引き起こされていくが、その原因として描かれているのが、黒人たちの振る舞いによる南部の秩序の乱れ。そして、そんな黒人たちを成敗する英雄としてKKKが描かれているのだ。黒人を一方的に悪としたため、人種差別的と問題になり、上映が禁止される都市もあったが、皮肉にも映画は大ヒットを記録。公開された1915年には、アトランタにて“第2のKKK”が誕生していることから、この映画がKKKを復活させたとも言われている。

実際の事件をモデルにした『ミシシッピー・バーニング』

当たり前のようにはびこる人種差別を描いている(『ミシシッピー・バーニング』) | [c]2014 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

KKKを題材とした作品で外せないのが、アラン・パーカー監督による『ミシシッピー・バーニング』(88)だ。本作は、1964年にミシシッピ州フィラデルフィアにて、公民権運動家3名が殺害された事件がモデル。3名の公民権運動家失踪事件の担当となった北部からのFBIエージェント2人が、KKKと結託した地元警察の妨害にあいながらも捜査を進め、3人の行方を追い、人種差別主義者も追い詰めていく…。

実在の事件をモデルとした『ミシシッピー・バーニング』 | [c]2014 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

KKKが黒人の家を焼き払ったり、リンチをしたりと、当たり前といった顔で存在する容赦ない人種差別や暴力に、戦慄を覚えざるを得ない。ちなみに本作は、当時のFBIが公民権サイドに協力的な立場にあった史実はないという指摘もあり、また1988年の時点では、史実に反してでも白人を主人公にしないと映画化されなかったという事情についても、考えさせられるところがある作品だ。

差別の根深さを描いた『マッドバウンド 哀しき友情』

最後は、同じくミシシッピを舞台としたNetflixオリジナル映画『マッドバウンド 哀しき友情』(17)。本作は、第二次世界大戦後のミシシッピの農場に住む、黒人一家とレイシストの白人一家に焦点を当てたヒューマンドラマだ。共に帰還兵で、現在の生活に閉塞感を感じている黒人のロンゼルと白人のジェレミーが、人種を超えた友情を育んでいくものの、あらゆるところにKKKの目があり…という彼らに降り注ぐ悲劇が描かれていく。

バスのシートの分け方、白人専門の店、黒人が出入りできるのは店の裏口のみといった日常の的な人種隔離政策から、自分の息子であろうと黒人をかばうようなら容赦しないというKKKたちの凄惨な行いまで、あらゆる差別を突きつけられる本作。土地に根を下ろし代々受け継がれていく当然の差別思想の恐ろしさという、人種問題の根深さをずっしりと重く描いている。

KKKだけでなく、世界中にはさまざまな人種差別が現在もはびこっている。こういった作品から、何かを考える機会となればいいと思う。

文/トライワークス

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