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『黒く濁る村』のカン・ウソク監督「役者の魂のこもった演技を見ていただきたい」

2010年11月18日 12:00

カン・ウソク監督は1989年に『甘い新婦(原題)』で映画監督デビュー
カン・ウソク監督は1989年に『甘い新婦(原題)』で映画監督デビュー

11月20日(土)より公開となる『黒く濁る村』は、2007年に連載が開始されたWEBコミックが原作だ。大韓国民漫画大賞優秀賞を受賞した原作にほれ込んだ

カン・ウソク監督は『シルミド SILMIDO』(04)や『公共の敵』(06)など、オリジナル作品でヒットを放ってきた自身の原則を破り、コミックの映画化に挑んだ。

――原作がWEBコミックですが、どんなところが監督を惹き付けたのでしょう?

「はじめ、WEBで掲載されていた時は読んでいなかったのですが、1冊目が刊行された時に手にとって読み、衝撃を受けました。その後はWEBで続きを読むようになりました。これまで、日本の影響を受けたコミックが多かった韓国において、とても韓国的な作品でした。恐怖の描かれ方が面白い。村の設定が面白い。あまり見慣れない話だったんです。韓国に限らず、日本でもアメリカでも田舎だったり農村で起こりうるような話でした。とても新しい題材だと思いました」

――コミックが原作ということで、多くの原作ファンが注目していたと思います。映画化に際し、監督が最も注意を払った点はどこでしょうか?

「この原作を映画化に向けて手がけ始めた時、実はとても後悔しました。コミックは映画にするべきではないですね(笑)。コミックだからこその説得力があるのに、映画にするとうまくいかない。何度も撮影中に『もうやめよう』と思いました。その差を埋めることがこの作品のもっとも苦労した点です。コミックでは主人公以外の人物についてあまり描かれていなかったので、映画では助演の人々の背景を肉付けしていくことに尽力しました。そうしてリアリティを持たせたのです。助演が輝いていない映画は主演も輝きませんから。そこが成功すれば映画も成功する、と思って取り組みました」

――ずばり本作の魅力はどこでしょうか?

「これだけ役者を見せる映画は少ないのではないかと思います。韓国でも『どうやって演出したらあんな演技を引き出せるのか?』と聞かれました。主人公だけでなく、ひとりひとりの役者の魂のこもった芝居を見ていただきたいです」

――本作を通じて監督が最も訴えたかったことは何でしょうか?

「人間は善なる存在なのか、罪を犯した後に生まれ変われるのか、理想は打ち勝つのか、がテーマです。世の中には裏切りが蔓延している。だからこの映画には理想をこめました」

――原作ファンの間でキャストの第一候補になっていたパク・ヘイルを起用されましたね。彼を起用した理由と、彼の演技について聞かせてください

「原作者が初めからパク・ヘイルさんをイメージしてアテ書きしていたそうです。ほかの俳優もイメージしてみましたし、スター俳優からも『出演したい』という声がありましたが、やはりパク・ヘイルさんに出演を依頼しました。パク・ヘイルさんはとても善良な顔立ちですが、狂気を帯びた人物を演じることができる俳優でした。彼には特に『目の演技をしてほしい』と話しました。ただ、か弱い人物ではなく、ヘグクには二重性を持たせたかったのです。ヘグクにはいろんなことが降りかかるので、何が起きても観客が納得できるような二重性を持った人物であることが重要でした。パク・ヘイルさんとは仕事をしたことがなかったので実は少し心配していましたが、それは杞憂でした。また是非一緒に仕事をしたいですね」

――紅一点となるユソン役のイ・ヨンジについて、プレスシートには「2010年韓国映画界が最も注目すべき女優!」と書かれています。彼女は監督の新作『グローブ』にも出演されますが、彼女の魅力はどんなところでしょうか?

「演技力が一番の魅力です。演技が深い、コメディもできるし、悲劇はもちろん上手。胸の中に恨みを持っているような表情、さらに『グローブ』で色々な面を見ることができました」

――監督の作品を待ち望んでいる日本のファンがたくさんいます。是非メッセージをお願いします

「またひとつ映画を撮って、皆さんに会いに来ました。この映画はジャンルで見るとスリラーに近いですが、ミステリーの要素もあります。ユーモアもあります。映画は2時間40分ととても長いですが、ゲーム感覚で監督と戦う様に観ていただければ、事件を解決していくような気持ちで面白いのではないでしょうか。私はまた新しい作品を撮っています。『グローブ』という野球の映画です。2011年、また皆さんにお会いできるのを楽しみにしています」

韓国では340万人を動員し大ヒットとなった本作。外の世界とかけ離れて孤立する村を舞台とするため、村そのものを丸ごと作り上げたり、主要男性俳優全員が使用したかつらが最高級セダン1台が買えるほどだったとか、何かと話題も多いが、やはり本作の魅力は出演者たちが紡ぎ出す人間ドラマである。いかなる結末が待ち受けるのか、カン・ウソク監督の世界にどっぷり浸かってもらいたい。【Movie Walker】

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