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巨匠イ・チャンドン監督が明かす、村上春樹原作『バーニング 劇場版』を読み解くヒントとは?

2019年2月1日 19:00

【写真を見る】村上春樹の短編が2時間半の濃厚なミステリー巨編に!観れば観るほど謎が深まる?
【写真を見る】村上春樹の短編が2時間半の濃厚なミステリー巨編に!観れば観るほど謎が深まる?[c]2018 PinehouseFilm Co., Ltd. All Rights Reserved

「時々納屋を焼くんです」。ヨハン・シュトラウスのワルツを聴きながら、マリファナを吸ってワインを嗜む2人の男の間に流れるゆったりとした空気を打ち消すように、この衝撃的なフレーズが突如として登場し、それを聞かされた主人公はその言葉の意味を知るために答えのない迷宮をさまよっていく。日本を代表する作家、村上春樹が83年に発表した短編小説「納屋を焼く」は、ある女性との出会いから幕を開け、彼女が連れてきた謎めいた男の登場により翻弄される主人公の姿をつづった非常に短い物語だ。

物語の基本的な設定とミステリーの要素をすくい上げて増幅し、舞台を現代の韓国に置き換えて2時間半にも及ぶ長編映画へと進化させたのが、巨匠イ・チャンドン監督8年ぶりの新作『バーニング 劇場版』(公開中)だ。昨年12月に来日を果たしたチャンドン監督にインタビュー取材を敢行。観れば観るほど謎が深まる本作の、核心へとたどり着くための“ヒント”を聞いた。

巨匠イ・チャンドン監督にインタビュー!本作のテーマを語ってくれた
巨匠イ・チャンドン監督にインタビュー!本作のテーマを語ってくれた

これまで『オアシス』(02)や『ポエトリー アグネスの詩』(10)などで国際的な評価を勝ち取ってきたチャンドン監督の最新作ということで大きな注目を集めていた本作は、昨年の第71回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門に出品され、批評家から絶賛を浴びた。そして第91回アカデミー賞外国語映画賞の韓国代表に選出され、同国史上初めてノミネーション前に発表される候補一覧、“ショートリスト”に駒を進めたのだ。、惜しくもノミネートはならなかったが、すでに韓国映画史にその名を刻む作品となっていることは言うまでもない。

映画は主人公イ・ジョンス(ユ・アイン)が街角で幼なじみのシン・ヘミ(チョン・ジョンソ)と再会を果たすところから幕を開ける。小説家を志しながらアルバイト生活を送るジョンスと、昔とはがらりと変わって美しくなったヘミ。そしてジョンスはヘミがアフリカ旅行で留守の間、彼女が飼っているという“姿を見せない”ネコの世話を頼まれる。そして半月後、ヘミは現地で知り合ったという謎めいた男・ベン(スティーブン・ユァン)を連れて帰国。それをきっかけに、ジョンスの日常に奇妙な出来事が起こり始める。

イ・チャンドン監督はこれまで『オアシス』や『ポエトリー アグネスの詩』で世界的評価を獲得している
イ・チャンドン監督はこれまで『オアシス』や『ポエトリー アグネスの詩』で世界的評価を獲得している

「村上春樹さんの短編は、韓国では90本ぐらいが翻訳されていますが、そのすべてを読みました」とチャンドン監督は語る。そして「その中で社会的な要素が薄く、ほかの作品よりは映画化しやすかったのが『納屋を焼く』でした。ミステリーを主軸にした物語でありながら結末が明確ではない。だからこそ、映画にするだけの余地が残されていると感じました」と、本作の映画化を踏み切った経緯を明かし「作るうえで難しかったことは、解決しないままの謎のテンションをずっと維持し、さらに強化していかなければならなかったことです」と補足した。

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