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マッツ・ミケルセン主演『ポーラー 狙われた暗殺者』は、Netflixの強みが凝縮された逸品

2019年1月28日 23:30

『ポーラー 狙われた暗殺者』でマッツ・ミケルセンを堪能!
『ポーラー 狙われた暗殺者』でマッツ・ミケルセンを堪能!

先日ノミネートが発表された第91回アカデミー賞では、アルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』(配信中)が作品賞を含む10部門で候補にあがり、ジョエル&イーサン・コーエン監督の『バスターのバラード』(配信中)も3部門に候補入りを果たすなど驚異的な存在感を示したNetflix。ほぼ同じタイミングでハリウッドの主要スタジオが加盟するアメリカ映画協会への新規加盟も発表され、もはや“動画配信サービス”という位置付けから映画界の一端を担う“製作会社”へと、確固たる成長を遂げたといってもいいだろう。

【写真を見る】引退目前の暗殺者の苦悩と狂気をマッツ・ミケルセンが体現
【写真を見る】引退目前の暗殺者の苦悩と狂気をマッツ・ミケルセンが体現

そんなNetflixから1月25日に全世界同時オンラインストリーミングで配信が開始されたオリジナル映画『ポーラー 狙われた暗殺者』は、いわゆる“賞レース向け作品”ではないが、マッツ・ミケルセンをはじめとした渋いキャスティングや北欧出身のMV監督のビジュアルセンス、そして思い切りの良いアクションシーンなど、多くの映画製作者から自由度の高さが評価されているNetflixの強みが凝縮された作品と言える。

物語はマッツ・ミケルセン演じる史上最強の暗殺者“ブラック・カイザー”ことダンカンが、50歳になるのを機に殺し屋稼業から足を洗おうとしていた矢先、かつての雇い主ブルートから賞金を立てられてしまい、自身が殺しのターゲットとして狙われることになってしまう。次から次へと送り込まれてくる暗殺者を驚異的なテクニックで倒していくダンカン。時同じくして彼は、近所に暮らすカミーユという女性と心を通わせていくのだが…。

Netflixだからできたヴィジュアルと怒涛のアクションに驚嘆必至!
Netflixだからできたヴィジュアルと怒涛のアクションに驚嘆必至!

マッツ・ミケルセンと言えばカンヌ国際映画祭で男優賞に輝いた『偽りなき者』(12)での繊細な演技から、『007/カジノ・ロワイヤル』(06)や『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)といったハリウッドの超大作で見せるスター俳優としての一面など、様々な顔を持つ北欧屈指の演技派俳優だ。本作で彼は初めて製作総指揮にも名を連ね、隠居を控えた殺し屋の苦悩と狂気、そして体を張った壮絶なアクションを巧みに体現していく。1本の映画の中でマッツの多様な表情が確認できる、まさに徹頭徹尾マッツを堪能するための映画といってもいいほどだ。

時には目を背けたくなるような凄惨な描写も織り交ぜながら、序盤からクライマックスまで幾度となく繰り返される怒涛の銃撃戦。そしてしんしんと雪が積もる荒涼とした空気感と、個性的すぎる殺し屋たちとの対比。またクライマックスの銃撃シーンで映し出される、ハードボイルドな画面の中に一点だけ映える鮮烈な赤のインパクトなど、ミュージックビデオ界で鍛え上げられてきたヨナス・アカーランド監督の手腕は、過去に日本に紹介された彼の長編映画とは比較にならないほど洗練された印象を受ける。おそらくそれこそが、本作がNetflix製作という恩恵を最大限に受けた部分であろう。シンプルなストーリーラインを飾るだけの映像的な冒険が、そこかしこに垣間見える。

また、原作はヴィクター・サントスが2012年から発表しつづけている人気グラフィックノベルシリーズで、その作中には往年のノワール映画へのオマージュがふんだんに込められていることでも知られている。もちろん映画版にもそれをにおわせる部分が多々登場しており、それが映画ファンの心をくすぐることは言うまでもない。いずれにしても、本作が迎える意味深なラストを観ると、この映画版がシリーズ化されることに期待せずにはいられないはずだ。

『ポーラー 狙われた暗殺者』はNetflixにて独占配信中。

文/久保田 和馬


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