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榎木孝明が13年かけて命懸けで挑んだ時代劇『半次郎』が熱い!

2010年10月07日 9:27

榎木孝明が、自ら企画・主演を果たした『半次郎』について熱く語る!

榎木孝明が13年前から企画を温め、主演を務めた話題作『半次郎』(10月9日公開)がいよいよ今週末に封切られる。彼が扮したのは、幕末・明治維新の時代に西郷隆盛の下で尽力した薩摩武士・桐野利秋(中村半次郎)。彼の波瀾万丈の生涯を体現した榎木孝明をインタビューしたら、熱き撮影秘話が次から次へと飛び出した。

剣の腕が立ち、忠義心の強かった中村半次郎役は、薩摩の古流剣術・ジゲン流の使い手である榎木にはぴったりの役どころ。「豪放磊落な、現代人にはないヒーローで、いつかは彼を演じたいと思っていました」と話す榎木。監督は『HAZAN』(03)、『アダン』(05) 、『長州ファイブ』(07)と、榎木と何度もタッグを組んできた五十嵐匠だ。「監督と仕事をするのは、この作品で4本目で、お互いに気心が知れているし、彼は情熱の男なんです。今回はその情熱が必要でした」。特に西南戦争の戦場シーンは、臨場感と躍動感に満ちあふれた力強い画を映し出している。

何よりも、榎木自身が懸けた情熱が、作品の原動力となった。彼の情熱は、良い形で共演者たちにも伝染していく。特に、半次郎の盟友・永山弥一郎役で、初の時代劇に挑戦したEXILEのAKIRAの存在感が出色だ。榎木は彼を手放しで絶賛する。「あれだけ超売れっ子なのに、人が良いんですよ。また、時代劇が初めてで、それに加えて殺陣まわりが多い役なので最初は心配しましたが、彼の撮影現場を見に行ったらぶったまげました。うまさというよりも熱が伝わってきて。鳥肌が立ちましたね。30年くらい時代劇をやらせてもらっていますが、そんな経験はしたことがなかったです。よく頑張ったという評価を通り超して、本当に鬼気迫るものがあって! 彼がやってくれてベストでした」。

過酷な撮影では、身の危険を感じた瞬間があったそうだ。「好きでやっていることですから、苦労とは思っていませんが」と前置きしつつ、こう語った。「最後のシーンは10月下旬に撮影したのですが、撮影していた3日間ずっと雨に打たれっぱなしで。だんだんと体感温度が低くなっていって、低体温症みたいな状態になり、感覚が麻痺していったんです。その時思ったことは、今もしも本当に死んでしまっても、撮りこぼしはないから大丈夫だろうなって(笑)。このまま逝っちゃうんじゃないかと思ったくらいに朦朧としました。カットがかかっても起きられなくて、身体が冷えきって自分の思う様に動けなくなっていました」。

そこまでやり切るのもすごい。そんな本作は榎木のキャリアにおいて、どういう位置付けの作品なのか。「僕の集大成のひとつですね。本当にやりたいことは待っているだけじゃだめで。だったら、自分でやるしかないと、覚悟を決めて始めました。だから、どんな状況でも苦労じゃないんです。自分の楽しみだから」。彼が浮かべた柔和な笑みからは、言い知れぬ充実感が感じとられた。

映画の最後に出る“道しるべを持たない若者たち、道しるべになれない大人たちへ”という榎木孝明の署名入りのメッセージが、観る者の心に突き刺さる。「自ら命を絶つ人が多い現代と半次郎たちが生きた時代とでは、死生観が違いすぎる。命に対する重みの差を伝えたかったのです」と語る榎木。時代を駆け抜けた中村半次郎の生き方には、俳優・榎木孝明の信条も投影されているような気がした。【Movie Walker/山崎伸子】

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