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アカデミー賞有力! A・キュアロン監督が放つ全編スペイン語の白黒作品『ROMA/ローマ』

2018年12月13日 20:30

A・キュアロンが65mmのモノクロ映像で描く“映像詩”の魅力とは?

アカデミー賞7部門を受賞した『ゼロ・グラビティ』(13)の監督として知られるアルフォンソ・キュアロンの新作映画『ROMA/ローマ』。いよいよ明日14日(金)からNetflixで配信開始される本作が、今年から来年にかけての賞レースで有力であると米国で注目を浴びている。

『ROMA/ローマ』の舞台は1971年、メキシコの”ローマ”という街。4人の子どもがいる家庭で住み込みの家政婦として働くクレオが、人種も階級も異なる一家と強い絆で結ばれていく様子を、移り変わる季節と共に描く。本作はキュアロン監督の幼少期の記憶から構成されているが、ストーリーは監督を育てた乳母の”リボ”をモデルにした主人公、クレオに焦点があてられている。

クレオを演じたヤリッツァ・アパラシオは、メキシコの学校教師だったそう

俳優陣は、母親のソフィア役を演じるマリナ・デ・タヴィラ以外は演技経験のないキャストと、現地で働く本物の医者や受付嬢といったエキストラが起用されている。米IndieWireの記事によると、主役のクレオを演じたヤリッツァ・アパラシオは、メキシコのオアハカの学校の教師だったそうだ。監督はアパラシオの子供に対するあふれる愛を感じ取り、主人公のクレオ役に抜擢したそうだ。

演技経験のないキャストで固められた作品だけあり、撮影の段階でもユニークな工夫が施された。全体の台本の内容を知っていたのは監督のみだったそうで、キャストはその日に大まかな流れとセリフの説明を個別に受け、あとはほぼアドリブで生のリアクションが撮影されるという演出方法がとられた。作中には、フランスの映画監督ジャン・ルノワールの『ゲームの規則』(39)を彷彿とさせるシーンもある。

住み込みの家政婦として働くクレオの1年を、移り変わる季節とともに描く

当初キュアロン監督は『ゼロ・グラビティ』で撮影監督を務めた名カメラマン、エマニュエル・ルベツキと再タッグを組む予定だったが、撮影スケジュールの関係でルベツキが参加不可能になったため、なんと自身で撮影監督も担当した。セットとして使われた家も、監督の育った家に限りなく近づけるように当時の家具を集めてデザインされ、映像に映っていない部分までも巧妙に本物の家具や小道具が設置されたのだそうだ。

本作は「過去」を象徴するため全編白黒で撮影されているものの、6Kの65mmデジタル・シネマカメラ「ARRI ALEXA 65」が使用され、鮮明な映像が実現している。それは過去をノスタルジックに見るのではなく、「現代の視点から観察する」というキュアロン監督の決断からだそうだ。

クレオの目線で浮き彫りにされる1971年6月10日の学生運動弾圧事件「血の木曜日」や、人種によって隔てられる当時のメキシコの階級社会と価値観の違いなど、 歴史の教科書ではただの文章でしかない事実を観客は体感することができる。人々の生活の背景に描かれる、水、土、風、火といった要素は、様々な生き様の命のシンボルとして描かれているようだ。

本作は、ヴェネツィア国際映画祭の最高賞である金獅子賞を受賞した

キュアロン監督は「時間と空間は、私たちの人生を制約しながらも、人々の絆を生みだす可能性も見出してくれます。この作品は、メキシコだけでなく米国にもある社会階級や人種と隔たりを描いています。いま移民問題は、社会政治学的な観点でより深刻化していますが、この作品は絆と別離によって経験する心の傷こそが人間を形成する様を描いているのです」と語っている。

『ROMA/ローマ』は現在米国内で劇場公開中で、明日14日からは世界25か国のNetflixで配信される予定だ。 素朴にも、強く生きぬく女性たちの物語を通して、それぞれ自分の生き方に投影させて観てほしい作品だ。

『ROMA/ローマ』は、12月14日(金)よりNetflixにて全世界独占ストリーミング配信される

LA在住/小池かおる

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