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映画ファン必見!『カメ止め』監督と師匠が選ぶ「物語」が優れた名作とは?【榎本憲男×上田慎一郎 特別対談 第3回】

2018年11月18日 20:30

注目の師弟対談、いよいよ最終回!

監督作『カメラを止めるな!』(Blu-ray&DVD12月5日発売)が興行収入30億円を超える大ヒットを記録した上田慎一郎監督と、本作の脚本指導を行い、9月に異色の警察小説シリーズ第2弾『ブルーロータス―巡査長 真行寺弘道』を出版した小説家の榎本憲男氏に、対談形式でお互いの作品をレビューし合いながら「物語の作り方」を紐解いてもらおう、というテーマでスタートした本連載(全3回)。

最終回となる今回は、これまでにお2人が観てきた映画の中から、特に物語が優れた作品を語り合ってもらった。世代は少し離れるが、大の映画ファン同士で盛り上がりながら新旧の必見作品を選定。エンタテインメント映画の奥深い魅力を語ってくれた。

『ミッドナイト・ラン』のシナリオは、エンタテインメントのお手本ですね。(榎本)

まず榎本氏が挙げたのは『ミッドナイト・ラン』(88)。元警官の賞金稼ぎ(ロバート・デ・ニーロ)と、マフィアの金を横領し慈善事業に寄付した会計士(チャールズ・グローディン)との、逃避行の中で芽生える友情をコミカルに描いたマーティン・ブレスト監督作だ。

このタイトルを榎本氏が口にした途端、上田監督から「えー!」と悔しそうな悲鳴があがった。上田監督もイチオシ作品として用意していたらしく、テンションの高いスタートになった。そんなお2人のお墨付きの『ミッドナイト・ラン』のおもしろさを榎本氏はこう分析する。

「まずバディストーリーであること。次に、コメディなのがいい。こういう逃走劇には『手錠のまゝの脱獄』(58)なんてシリアスな名作もありますが、『ミッドナイト・ラン』はコメディタッチなんですよね。緊張感がありつつ笑えるので、上田くんが好きなのもわかる」と語り、さらに「緊張感を生んでいるのは“追われる”という構造です。タイムリミットまでにA地点からB地点に移動しなければいけないけど、なかなかうまく行かないって設定は『レインマン』なんかとも同じですが、『ミッドナイト・ラン』はひたすら追いかけられる。追われることによってテンションがぐんと上がる。ジャンルとしてはロードムービーというよりもチェイスでしょうね。さらに追っ手を複数に設定する、これがミソなんですよ。追われている2人も別に仲がいいわけじゃないんだけど、追っ手同士が対立関係にあって、そこから生まれる諍いによって、主人公たちは九死に一生を得たりもする。いがみ合っていた主人公と副主人公には、最後には友情が芽生える。エンタテインメントのシナリオのお手本ですね」と大絶賛。うなずきながら聞いていた上田監督も「僕も、オールタイムベスト10にいつも出している作品です。過小評価されがちですけど、本当に大好きです」と満足げに語った。

シナリオライターが映画作りの中心にいるケースはまれだが、『ボーダーライン』はその例外に当たる。(榎本)

11月16日より公開中の『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』 | [c]2018 SOLDADO MOVIE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

続けて榎本氏は、最近頭角を現してきたストーリーテラーとして、テイラー・シェリダンを紹介した。アメリカとメキシコの国境地帯で繰り広げられる麻薬戦争の現実をリアルに描いたサスペンスアクション、『ボーダーライン』(15)、『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』(18)を手掛けた脚本家である。監督はドゥニ・ヴィルヌーヴからステファノ・ソッリマに引き継がれているが、脚本はどちらもシェリダンが務めているシリーズだ。

「映画のクリエイターといえばまず監督が指されることが多くて、シナリオライターが映画作りの中心にいるケースはまれなんですが、『ボーダーライン』シリーズはその例外に当たると思います。完全に脚本家テイラー・シェリダン主導で、彼の世界観に則って映画づくりがされているようです。1作目と2作目では監督も撮影監督も違うんだけど、世界観は揺るがない。全体の構造がまた凝っていて、一作目の『ボーダーライン』で主人公を演じたエミリー・ブラントは、実はシリーズ全体の主人公ではないことが2作目で明らかになる。これは"false protagonist"、『まちがった主人公』とでも訳したらいいのか、非常にアクロバティックな手法で、この秋に公開される『〜ソルジャーズ・デイ』からベニチオ・デル・トロが演じる真の主人公が浮上する。この流れからいくとおそらく次作もあるはずで、そこで彼の<復讐の物語>が完結するのだろうと思います。テイラー・シェリダンの特徴は人間関係のビミョーさ、一筋縄ではいかない倫理観で、派手さはないんだけど、僕は大好きです。シェリダンが監督・脚本を務めた『ウインド・リバー』もよかったんですが、Netflixで独占配信されている『最後の追跡』がまた抜群で、スクリーンで上映されるようなことがあるのなら是非見に行きたい」と熱く推薦した。

『ウインド・リバー』は12月4日(火)にBlu-ray&DVDが発売される | [c] 2016 WIND RIVER PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

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