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『カメ止め』や濱口竜介、キアロスタミまで!クラウドファンディングが実現する映画の“多様性”

2018年11月11日 21:00

クラウドファンディングが、映画の未来を変えていく!

18年、映画界を賑わせた作品と言えばもちろん、上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』だろう。わずか300万円という超低予算で作られたにもかかわらず、興行収入30億円を突破するという記録的な大ヒットを果たしたその奇跡とも言える経緯は、ある種のシンデレラストーリーとして語られている。しかし、この“奇跡”は同時に、ここまで面白く、大衆にも支持されるアイデアがあったとしても、なかなか満足な予算が集まらないという日本の映画を取り巻く環境の厳しさを浮き彫りにした。

『カメラを止めるな!』のクラウドファンディングは「MOTION GALLERY」で行われた

制作費、国内外の映画祭エントリーのための字幕制作、さらに単独上映への活動資金など『カメラを止めるな!』の資金調達に一役買ったことで話題となったクラウドファンディングサービス「MOTION GALLERY」は、資金が集まりづらい小~中規模予算の企画への資金調達を目的とし、アッバス・キアロスタミ監督の『ライク・サムワン・イン・ラブ』(カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品)や濱口竜介監督の『ハッピーアワー』(ロカルノ国際映画祭最優秀女優賞受賞&脚本スペシャルメンション)など、映画通をも唸らせるような野心作を世に送り出してきた。

17年8月に立ち上がった「MOTION GALLERY STUDIO」は、資金調達ばかりではなく実際の映画製作にまで責任を持つ、スタジオ形式のサービスである。例えば、『カメラを止めるな!』のアイデアを思いついたのが映画監督ではなく一般人であったらどうなっていたか。高いクリエイティビティを持っていたとしても、作品を成立させることが出来なかった可能性が高いだろう。

18年、劇作家・演出家の平田オリザが率いる青年団の演出部所属という、演劇畑出身の玉田真也が「MOTION GALLERY STUDIO」を使って製作した『あの日々の話』が、第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門入選を果たした。映画畑ではない人間がアイデアと脚本を提げ資金調達に成功し、日本を代表する映画祭に入選を果たした。これは快挙といえるだろう。映画ファンのなかで、にわかに注目が集まっている「MOTION GALLERY STUDIO」について、代表の大高健志氏にインタビューを行った。

「MOTION GALLERY」代表の大高健志氏

――MOTION GALLERY STUDIO(以下MGS)とはどのようなサービスなのでしょうか。

「MGSは、元を正すと11年からスタートしているクラウドファンディングのサイト・MOTION GALLERYが母体となっています。MOTION GALLERYは映画・現代アート・舞台・まちづくり等のクリエイティブな創作活動と、お金の関係性の新たなデザインをすることを目的にしています。映画の場合だと、世界的な評価を受けている監督でもオリジナルの企画が通りづらい土壌があって、これが将来的には良くない兆候だと考えています。クリエイターの自由な創作を支える土壌がフランスを始めとするヨーロッパにはあったりして、日本でも同じようなことができないか、と考えていました。お金を増やす事が求められるビジネスが基盤の投資ではなく、出したお金に対して、体験・経験が生まれるということをリターンにすれば、「ものさし」が商業的成功一辺倒にならず、新しく多様なチャレンジにお金が届く様になり、それが将来的にも、ビジネス的にもうまくいくと考え、サービスを始めて現在7年目です。

国内最大級のクラウドファンディングプラットフォームである「MOTION GALLERY」

幸いなことに、MOTION GALLERYは若手から大御所まで多くの創作者にご利用いただいているのですが、そのなかで多くのネットワークが生まれました。そうした、MOTION GALLERYで育まれた制作者〜支援者のコミュニティを基盤にした映像制作を行えれば、また新しい意義のある環境作りができるのではと考えました。単なるWeb上のプラットフォームを提供するだけに留まらず、実際のものづくり自体にも我々がコミットする事で、表現者にとって、より自由でクリエイティブな制作機会を創出し、そして支援者に共感頂けるよいものができる環境を作っていけると思い、MGSを立ち上げました。

コンセプトは“100年後の未来を照らす”。昨今流行りの“バズる”や“エンゲージメントが高い”ということ以上に、未来につながる映像という視点から、作家主義的な挑戦をしつつもしっかりと観客に共感され、受け継がれていく映画を作っていければいいなと思っています。MOTION GALLERYでクラウドファンディングを行った濱口竜介監督の『ハッピーアワー』は5時間17分という超長尺で、かつメインキャストは役者でない人たち、という掟破りの映画ですが、そんな『ハッピーアワー』が成立し、そしてその“掟破り”が作品にとってプラスに作用し、傑作となった事が濱口監督の最新作『寝ても覚めても』につながった。あのような作品をベンチマークにして、資金集めから製作までを一気通貫で行えるのが目標です。MGSは昨年スタートし、作品を粛々とつくってきました。そして、いまようやくその作品群が公開されるタイミングになってきて、その第一弾が『あの日々の話』です」。

初演時のキャストに太賀、村上虹郎が加わって映画化された『あの日々の話』 | [c]MOTION GALLERY STUDIO

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