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SNS時代が象徴された2018年の映画界。『カメラを止めるな!』などヒット作を識者が分析

2018年11月01日 22:39

第31回東京国際映画祭にて、スペシャルセミナー「BS10 スターチャンネル 映画アカデミー:今どきのヒット映画の裏側」が11月1日に実施された。トークゲストとして、映画ジャーナリストの大高宏雄、『カメラを止めるな!』に出演した竹原芳子、FOXサーチライトのアソシエイトディレクターを務める平山義成が登壇。映画界の各分野で活躍する3人がプロの視点から、18年に話題となったヒット映画の内幕を解説した。

映画ジャーナリスト・大高宏雄(左)、女優の竹原芳子(中央)、20世紀フォックス映画の平山義成(右)が登壇

現在の国内年間映画興行収入ランキングは、シリーズ作品がトップ10以内の半数以上を占めているという状況だ。その内訳について、大高は「『ジュラシック・ワールド/炎の王国』『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』『インクレディブル・ファミリー』『ミッション:インポッシブル/フォールアウト 』は上位に位置しているが、シリーズ過去作と比べると当初よりも力が落ちている。その中で、『名探偵コナン ゼロの執行人』『映画ドラえもん のび太の宝島』がシリーズの歴代記録を更新しているのは大きな意味がある」と言及。さらに、10位の『万引き家族』については「パルムドール受賞作がヒットするのは、各国でも珍しい現象。(第33回カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得した)黒澤明監督の『影武者』(80)に次ぐヒットなのでは」と称賛した。

シリーズ作品がひしめくなか、『万引き家族』が健闘した

一方でトップ10にはランクインしていないものの、今年のヒット映画を語るうえで避けて通れないのが、社会現象を巻き起こした『カメラを止めるな!』であろう。わずか2館での封切りから全国へ拡大公開し、興行収入は30億円が目前に迫っている。同作に女性プロデューサー役で出演し、強いインパクトを残した竹原は、映画祭で観客のリアクションを肌で感じ「すごいことになってる!」と衝撃を受けたそう。中規模の予算で、映画ファンに愛される作品を連発しているスタジオ、FOXサーチライトの国内宣伝を担当している平山は、『カメ止め』の公開直後を振り返り「ゾンビ映画で、ワンカットで撮影している。そこまではわかるんですけど、連日満席で、舞台挨拶でスタッフ&キャストが観客と一緒に盛り上がる。熱狂を生む何かがあるんだろうな、と気になっていました」とコメント。

18年の日本映画界を分析する大高宏雄

そんな『カメ止め』のヒットは、SNSの功績が大きいと大高は分析する。「現在の映画界は、配給が広告費をかけずにメディアがお客さんへ向けて段階的に告知していく“パブリシティ”が、あまり機能していない。かつては上(配給)から下(客)に情報が降りていたが、SNSで個人が情報を発信できるようになっていった」と語ると、竹原も「(『カメラを止めるな!』の)上田慎一郎監督や若い世代のキャストたちは、SNSでのファンの人たちと交流をしていました」とうなずいた。映画とファンの距離の近さが異例のヒットを生み出したといえるだろう。

平山が担当した17年公開の『gifted/ギフテッド』も、SNSがキッカケとなってヒットへと繋がったのだそう。「大阪の女子高生の『これ観た方がいいよ』という何気ないツイートが、数日で確か25万リツイート、9万いいねくらいいったんです。この現象は予想できない。配給・宣伝側で仕掛けることが必ずしもいい結果を生まないこともありますしね」と振り返ると、大高も「配給会社からしたらSNSって怖いんじゃないか。それによって無視されている映画もある。昔は“口コミ”は対面で伝わってていくものだったけど、いまはSNSで一気に広まる。SNSのユーザーに引っ掛からない映画は賞味期限がどんどん短くなってしまうので、それも怖い」とSNSがもたらすヒットの影で、光の当たらない映画もあることを憂いた。

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さらに今年は、口コミで動員を伸ばした劇場版『若おかみは小学生!』や、体感型の『バーフバリ』シリーズなどのヒットも記憶に新しい。大高は「今後どのようなヒット映画が生まれるか楽しみ。『カメ止め』とはまた違う、新しいヒットの形が生まれるのではないか」と今後の日本映画界に期待のコメント。平山も「大作は(製作費回収の)計算が立てづらい。いまは話自体がおもしろくないと受け入れられない時代です。『カメラを止めるな!』の連日の舞台挨拶のように、SNSで盛り上がってもらう“元ネタ”は必要。洋画はパブリシティで作品ごとの“楽しみ方”を発信していかなくてはいけないと思っています」と語り、ヒット作を生み出していく意欲を語った。

取材・文/トライワークス

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