• TOP
  • ニュース
  • 吉高由里子、『検察側の罪人』で共演した木村拓哉と二宮和也は「影で努力する2人」
  • INTERVIEW

吉高由里子、『検察側の罪人』で共演した木村拓哉と二宮和也は「影で努力する2人」

2018年8月23日 15:30

『検察側の罪人』のヒロインを務めた吉高由里子
『検察側の罪人』のヒロインを務めた吉高由里子

木村拓哉と二宮和也の初共演作『検察側の罪人』(8月24日公開)で、大役を担ったヒロインの吉高由里子。確かな演技力はもとより、ふわっとした柔らかい雰囲気で、常に現場のムードメーカーとしても愛されてきた彼女だが、本番でスイッチが入ると、女優としての本領を遺憾なく発揮する。そんな吉高に、木村や二宮との共演エピソードを語ってもらった。

『検察側の罪人』は、雫井脩介の同名小説を映画化した社会派ミステリー。時効廃止以前の殺人事件や、捜査機関によって生まれる冤罪などを通して「真の正義とはなにか?」を問いかけていく。木村はエリート検察官・最上毅役を、二宮は最上をリスペクトしつつも反ばくしていく新人検察官・沖野啓一郎役を、吉高は沖野の担当事務官・橘沙穂役を演じた。

沙穂は生真面目な検察事務官として登場するが、やがてある過去が明かされる。「沙穂のミステリアスな雰囲気や、正義感、信念の強さを出すために、なるべく顔を覆うような髪型がいいと思い、前髪を切り揃えたヘアスタイルを監督に提案しました」。

エリート検察官・最上毅(木村拓哉)と新人検察官・沖野啓一郎(二宮和也)が対峙していく
エリート検察官・最上毅(木村拓哉)と新人検察官・沖野啓一郎(二宮和也)が対峙していく[c]2018 TOHO/JStorm

メガホンをとったのは、『関ヶ原』(17)など骨太な人間ドラマの名手・原田眞人監督だ。「テスト段階からカメラが回り、自分から現場の軌道に乗っていかないと追いつけない感じで、常に緊張感がありました。長回しも多く、最上がわーっとしゃべって、最後に1行だけ沙穂が台詞を言うようなシーンもあり、かんでしまったらどうしようという不安に苛まれながらやっていました」。

吉高と二宮は「GANTZ」シリーズ以来、久しぶりの共演となった。最上が犯人として的を絞り込んだ松倉(酒向芳)を取り調べをしていくなかで。沖野は激昂し、沙穂も思わず身がすくんでしまうというシーンもある。

「二宮さんは、毎回違うお芝居をされますし、輪郭のないお芝居が上手だなと思いました。例えば口を鳴らして松倉を挑発する仕草は、最後のテイクで初めてされたものです。この人は、どれだけ器用に立ち振る舞えるんだろう?と、その柔軟性に驚きました。沖野がいきなり怒鳴るシーンもかなりびっくりしました。二宮さんは普段、決して声を荒げるようなタイプではなく、淡々と場を回す感じの方なので。キャンキャン吠えていた子犬がいきなり成犬になったみたいな印象で、『ええっ!?』となりました」。

沖野の担当事務官・橘沙穂(吉高由里子)。このヘアスタイルは吉高の提案だったとか
沖野の担当事務官・橘沙穂(吉高由里子)。このヘアスタイルは吉高の提案だったとか[c]2018 TOHO/JStorm

取り調べのシーンはかなりの長台詞で、二宮の台本にはたくさん書き込みがされていたそうだ。「一度、車の中で、集中されていた姿をお見かけしたことがあって。私たちの前では『頑張ってやっている』というのを見せずに、影で努力するタイプ。木村さんもそうですが、完璧主義な2人なのではないかと思います」。

最上と沖野が真っ向から対峙するシーンは、本作のハイライトでもある。完成した映画で同シーンを観た吉高は「本作の醍醐味ですね。バチバチしていてどっちも譲らない。見応えがありました」と興奮気味に語る。

【写真を見る】木村拓哉と二宮和也が織りなす演技合戦に息を呑む
【写真を見る】木村拓哉と二宮和也が織りなす演技合戦に息を呑む[c]2018 TOHO/JStorm

木村の検察官役といえば、「HERO」シリーズの久利生公平役が印象深いが、本作では次第にヒール側に回っていく。「木村さんの闇を抱えた検察官役はすばらしかったです。最上自身は『自分は間違ってない』と思い込んでいたというか、自分が正しいと思っていた正義が、他人にとってそうじゃないこともあるのかなと、観終わったあとに感じました」。

いつも朗らかでマイペースな印象を受ける吉高だが、それはガラスのような繊細さを押し隠す術でもある。「落ち込む時はすごく落ち込みます。ただ、現場で本当に困っていても、そう見えないタイプなんです。現場に慣れるということは今後も絶対にないと思います」。

木村拓哉と二宮和也のプロ意識の高さについて語った吉高由里子
木村拓哉と二宮和也のプロ意識の高さについて語った吉高由里子

吉高は、朝ドラ「花子とアン」の撮影を終えたあと、1年間休みを取り、海外を15か国も回ったそうだ。「本当に行っておいてよかったと思います。当時、仕事をやめたがっていたし、たぶんあの年齢であのタイミングじゃないと休むという勇気は出なかったのではないかな」。

そこで少し立ち止まったことが功を奏したことは言うまでもない。「25、26歳なんて一番働き盛りの歳なのに、休んであちこち行きまくりましたが、ちゃんと帰る場所を取っておいてくれた事務所には本当に感謝しています。すごくきれいな空を見て、人って不満や理解できないことをたくさん抱えながら、毎日仕事に通っているんだよなあと思って。そのうち、自分はなにをやっているんだろとう思い始め『すいません。働きます』と思い直して戻ってきました。その時、悪の根源が吐きだされたというか、自分のなかの膿が出てスッキリした感じでした」。

1年間の充電期間を経たことで「きっとどこか変わったし、どこかしらに影響していると思っています」という吉高。そのあとで出演した主演映画『ユリゴコロ』(17)の殺人者役では、新境地を開拓し、第41回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。次に臨んだ映画が本作『検察側の罪人』だが、初の原田組で改めて初心に立ち返ることができたそうだ。

「本当に待ってくれない感じのパワフルな現場で、自分から追いつき追い越すくらいの勢いで作品に食らいついていきました。それくらい精神力が必要だったし、圧倒させられる共演者の方々にも囲まれていて、すごく刺激的な作品でした」。

取材・文/山崎 伸子

関連映画

関連映画ニュース