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『Vision』の岩田剛典と河瀬直美監が、ジュリエット・ビノシュに驚いたこととは?

2018年6月08日 11:15

『Vision』で初タッグを組んだ岩田剛典と河瀬直美監

主演映画『去年の冬、きみと別れ』(18)で、底知れぬ心の闇を冷たく冴える表情で表現した岩田剛典。EXILE、三代目J Soul Brothersのパフォーマーとして活躍する一方で、今年は俳優としての勝負作が続く。岩田が次に挑んだ意欲作が、河瀬直美監督の最新作『Vision』(6月8日公開)だ。役を演じるのではなく、役として生きることを求められる河瀬組。岩田と河瀬監督にインタビューし、現場での撮影秘話を聞いた。

本作は、『イングリッシュ・ペイシェント』(97)のジュリエット・ビノシュと、河瀬監督の『あん』(15)、『光』(17)に連続主演した永瀬正敏をW主演に迎え、監督の故郷・奈良でオールロケ撮影を行なった人間ドラマ。ある調査のため、奈良の吉野を訪れたフランス人のエッセイスト、ジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)が、山守の男・智(永瀬正敏)と出会い、心を通わせる。岩田は山で智と遭遇し、共に暮らすことになる青年・鈴を演じた。

永瀬正敏やジュリエット・ビノシュと共演して感動したという岩田剛典

スクリーンの岩田は山の神聖な空気をまとい、永瀬同様に雄々しい山々の風景にすんなり馴染んでいる。岩田は初めての河瀬組について「いままで経験したことがない新鮮な現場だった」と振り返る。

「役の捉え方から現場での居方を含め、演技ってなんだろう?と、俳優としての原点を考え直させられた現場でした。プレッシャーは現場に入る前に捨ててきたというか、仕事的な捉え方はしてなかったです。現場に“岩田剛典”はいませんでした」。

役者を現場に放り込み、役として生活させることは、河瀬監督の常套手段だ。「鈴がどこで生まれ、どんな人に育てられ、なぜここに来たのか?という点は劇中で描かれないけれど、自分ではちゃんと作ってきてほしいと、岩田くんには事前に話をしました」。

メガホンをとった河瀬直美監督

河瀬監督が思った岩田の第一印象は「素朴な人だけど、野望はめちゃくちゃある人」というものだった。「表裏がなく、場に入ろうとする意志があれば、しっかり入れる人だということはすぐにわかりました。あまり飾らない人だけど、アーティストでいる時は、周りが“岩田剛典”を作っているんです。実際、彼が初日に入ってきた時は、いろんなものをまとっていましたので、そこからマネージャーさんには外してもらいました。山で“岩田さん”と呼ぶのも禁止で、みんな“鈴”と呼んでいました」。

いきなり重いリュックを背負い、森に入ったという岩田は「あのリュック、めちゃくちゃ重かったです」と苦笑い。「その時点から撮られていました。あれ?もう(カメラが)回ってるんだ!とびっくりしました」と言う岩田に、河瀬監督は「そういうやり方に対してブロックされちゃうとやりづらいけど、そうしない人だとは思っていました」と岩田の性格を見抜いていた様子。

「岩田くんはみんなと同じ釜の飯を食べていくなかで、山の人・鈴になっていきました。だから私は演出というものを一切してないんです。」と言う河瀬監督。

岩田は「永瀬さんもおっしゃっているけど、河瀬組では“役を積む”というか、自分自身の経験で役ができあがっていくという感じです。ずっと森の中にいて、心地良くなってくる感覚がありました」と、河瀬メソッドにしっかり順応できていたようだ。

【写真を見る】岩田剛典とジュリエット・ビノシュの共演シーンはこちら | [c]2018『Vision』LDH JAPAN, SLOT MACHINE, KUMIE INC.

ジュリエット・ビノシュとの初タッグについて河瀬は「本物の女優なので、自分で役柄をしっかりと作ってきてくれました」と心から称える。

「台詞についても、『感情が流れやすいように、こういう言い方に変えたい』というようなディスカッションもしてくれました。以前、樹木希林さんからも『ここの台詞をなくそう』とか『このシーンをなくそう』という提案を受けたことがあって。そういう時、まずは理由を聞くんです。樹木さんは自分の役がどう存在すべきかを俯瞰で考え、映画のために言ってくださっていることがわかるから。ジュリエットの時も話し合い、変えていきました」。

ビノシュとの共演シーンがあった岩田だが、河瀬監督によると「岩田くんのことを『セッションができてる』と評価していました」とのこと。

岩田はビノシュについて「ジュリエットさんは、包み込むようなお芝居をされる方。いろんな作品経験を積み、達観されている感じもしましたが、まったく嫌味がないんです。聖母のようにおおらかな感じがしました。また、現場では常に明るくて気さくな点にも驚きました」と感動しきりだ。

河瀬監督が「大阪のおばちゃんみたいだった (笑)。岩田くんのことを『私の鈴』と言っていました。かわいくてしょうがない感じでしたね」と言うと、岩田は「めちゃくちゃうれしいです」と感激する。

フランス人のエッセイスト、ジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)が奈良県の吉野を訪れ、山守の智(永瀬正敏)と出会う | [c]2018『Vision』LDH JAPAN, SLOT MACHINE, KUMIE INC.

また、ビノシュから、英語をマスターしたほうがいいというアドバイスももらったという岩田。将来的に俳優として世界進出をしたいか?と尋ねてみると、岩田は「そこは終着点というか、エンタテインメントを突き詰めたら、世界基準のものに参加して、評価してもらうというところに行き着くと僕は思うんです」と言葉を慎重に選びながらも、熱い想いを口にする。

「自分がいまやるべきことや、背負っているものをある程度、整理できた時、それが見えてくるのかなと。考えることは1つだけじゃないので、いまは『はい、行ってきます!』というのが許されるポジションじゃないと思っています。でも、すごくインスピレーションを受けましたし、夢は膨らみました」。

河瀬組で俳優として、また一皮むけた感のある岩田剛典と、彼の新たな一面を引きだし、俳優としての視野も広げた河瀬監督。2人にとって『Vision』は、実りあるコラボレーションになったようだ。

取材・文/山崎 伸子

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