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“スペシャル・パルムドール”受賞のゴダールがビデオ通話で会見!カンヌ受賞結果一覧

2018年5月20日 15:20

世界三大映画祭のひとつ、第71回カンヌ国際映画祭が閉幕。是枝裕和監督のパルムドール受賞の快挙が日本中でニュースになっているが、ゴダールやスパイク・リーの受賞など、カンヌの結果をまとめて現地リポート。

5月19日19時15分(現地時間)より行われた授賞式で審査員賞、グランプリ、パルムドールの発表を前に、「今年は一つ特別な賞が設けられた」とケイト・ブランシェット審査員長がアナウンス。

第71回カンヌ国際映画祭の審査員長を務めたケイト・ブランシェット

スペシャル・パルムドール。貢献賞の意味を持つ“名誉パルムドール”とは違う、特別な賞である。今年急遽設定されたもので、初めての賞であり、今年だけの特別な賞である。この賞は今年のコンペに「The Image Book」という作品を出品したジャン=リュック・ゴダール監督のために設定されたようなものである。今年50周年を迎えた、若者や若手作家による68年のカンヌ映画祭粉砕運動の指導者の一人だったゴダールに捧げられたものでもある。

ブランシェットが言う。「ゴダールの作品について話し始めたら、皆止まらなくなった。"わかる/わからない"は置いておいて、私たちを混乱させ興奮させる作品だったの」。

“スペシャル・パルムドール”を受賞したゴダールの会見はスマートフォン上のビデオ通話で!

それは作品というよりもゴダールという監督の存在に対してのものといえよう。"映画"というものについて、60年代にそれまでの常識を覆し、新しい映画の地平を切り開き、87歳のいまも切り開き続けていることをこの新作で示したゴダール。「昔もいまも未来の映画を考え、巨大な影響を与え続けている存在に対してのパルムドールを」と設けられたのが、この特別パルムドールなのだ。

審査員賞が授与され、残った賞がグランプリとパルムドールになる。どちらも是枝監督にとっては初めての賞になる。プレゼンターとしてある視点部門の審査員長を務めたベニチオ・デル・トロが登壇。審査員からはチャン・チェンがその隣に並ぶ。ここで一つハプニング。ある視点部門長編コンペ部門のある視点賞を「ボーダー」という作品が受賞しているのだが、この部門の審査員長であるデル・トロが作品名をアナウンスしたため監督が立ち上がり舞台に向かってきてしまったのだ。慌てたのは司会者。「彼の受賞は祝うけれど、今は本選のグランプリを発表して」とデル・トロを促した。

そして発表されたグランプリはスパイク・リー。コンペティションには27年振りの復帰での受賞である。

スパイク・リー監督は授賞式で「君が世界をどう感じるかが問題なんだ」とコメント

「この作品はアメリカのことだけを描いたのではない。いま、世界はThe Year of Living Dangerously(ピーター・ウィアー監督の『危険な年』)になっている。それに気がついているかな。君が世界をどう感じるかが問題なんだ」とコメントした。

ついに歴史的な瞬間が訪れる。「KORE-E-DA!」今年度審査員長ケイト・ブランシェットの声が響いた。『うなぎ』から21年振りとなる、日本映画のパルムドールが決まった瞬間だった。

登壇した是枝監督は、「さすがに足が震えています」と第一声。トロフィーの箱に握りしめた手を乗せ、一言一言かみしめるように話し始める。「映画を作り続ける勇気をもらいました。対立する人と人を、隔てられている世界を、映画がつなぐ力を持つのではないかという希望を感じます」。

キャストやスタッフ、支えてくれた家族、そして選んでくれた審査員に感謝する受賞者がほとんどの中で、映画の力への希望とそれを作り続けるという勇気、世界の分裂と対立に、映画がなにかが出来るはずだと信じることを語った是枝監督の言葉は、会場の人々の感動を誘った。

【写真を見る】『万引き家族』パルムドール受賞の快挙を果たした是枝裕和監督、はにかみながらトロフィーを掲げる

確かに今年のカンヌには引き裂かれた社会、その犠牲になる子どもたちなどを描いた作品が目立ち、接戦だったと審査員長が明かす。しかしその中で『万引き家族』をパルムドールに選んだ理由をケイト・ブランシェット審査員長はこう説明した。

「映画のすべての要素がすばらしく完成していた。演技も撮影もすばらしかった」。審査員のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が続ける。「私たちに深い感動を与えてくれました。上品で、パワフルで。とにかく深く心を揺さぶられ、魂に響いた」。審査員たちもうなずきながら聞いていた。『万引き家族』、文句なしのパルムドール受賞である。

昨年までは賞状だけでトロフィーのなかった賞に対しても小ぶりながらパルムと同じショパールの、クリスタルに金の椰子の葉がついているトロフィーが授与されるようになったのもピエール・レスキュール会長による改革の一つ。そのせいか、会見場を引き上げようとしてトロフィーを置き忘れそうになる受賞者が二人ばかりいたのはご愛敬、である。是枝監督によるとこのトロフィ、特にパルムのトロフィは大きいのでかなり重いそうだ。

「授賞式から会見、フォトコールとずっと持ち上げていると腕がつらい」と、本音を漏らす是枝監督だが、その重さがパルムドール受賞監督の重さであることをしっかりと感じているようだった。

その他のコンペティション部門受賞結果は下記の通り。

●パルムドール 是枝裕和『万引き家族』(日本)

●スペシャル・パルムドール ジャン=リュック・ゴダール『The Image Book』(スイス)

●グランプリ スパイク・リー『BlacKkKlansman』(アメリカ)

●監督賞 パヴェウ・パヴリコフスキ『Cold War』(ポーランド、イギリス、フランス

●脚本賞 アリーチェ・ロルヴァケル『Happy As Lazzaro(英題)』(イタリア、スイス、フランス、ドイツ)、ナデル・サイーヴァ『3 FACES』(イラン)

●審査員賞 ナディーン・ラバキー『Capernaum(英題)』(レバノン)

●男優賞 マルチェロ・フォンテ『Dogman』(イタリア、フランス)

●女優賞 サマール・イェスリャーモワ『Ayka』(ロシア、ドイツ、ポーランド、カザフスタン)

●短編部門パルムドール チャールズ・ウィリアムズ『All These Creatures』(オーストラリア)

取材・文/まつかわゆま

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